文化庁「あいちトリエンナーレ」補助金を不交付「表現の自由に圧力かける官僚的やり方」
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 慰安婦を象徴する少女像の展示などへの抗議が殺到し、わずか3日で中止となった国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」。文化庁は26日、愛知県に対して交付する予定だった補助金約7800万円を全額交付しない方針を決めたことがわかった。

 文化庁によると、会場の安全担保や円滑な運営をするために重要な内容があったにもかかわらず、申告なく進めたことを問題視したという。愛知県の大村秀章知事は25日の会見で、「芸術監督の津田大介さんを厳重注意の処分に」「芸術祭を本来の形に戻すためにも中止となった企画展を速やかに再開させたい」と再開に向けた協議を始める方針を明らかにしていた。

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 朝日新聞によれば、あいちトリエンナーレの総事業費は約12億円で、負担額は愛知県が約6億円、名古屋市が約2億円。そのうち「表現の不自由展・その後」に関連する費用は約420万円と、全体に占める割合は少ない。そんな中、補助金交付を全額撤回した文化庁の対応について、東京大学先端科学技術研究センター助教の佐藤信氏は「非常に驚くべき判断」と苦言を呈する。

 「文化庁は全額不交付の理由について、企画書の中に全体の内訳が書かれていなかった、だから全体について判断するしかないという手続き上の話だとしている。当然、今回のような問題が起こっていなければ不交付という事態にはなっていないわけで、結局は電凸や脅迫などで特別な警備体制が必要になったり十分な対応ができない状態に追い込んだりしてしまえば、同じようなことを起こせるということでもある。表現の自由について判断はしないということだが、迂回して今回のような展示に圧力をかける官僚的なやり方。表面上の理由は違うかもしれないが、問題の根本に展示内容は関係しているわけで、こういう形の決定でいいのかは問題になる」

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 また、今回文化庁がこのような判断をしたことで、地方自治体でも追随するような判断が出てくることが懸念される。佐藤氏は「組織として問題があったという文化庁の理屈は、地方自治体が支出するものに関しても同じことが言える。愛知県の場合は大村知事がサポートする姿勢を取っているが、名古屋市は反発する態勢を取っていて、名古屋市が今後同じような方針を出すことは考えられる」とした上で、「なぜこのような問題が起こったのか、起こる問題に対してどのような対策が取れるかという観点で見ることが大事。今回の展示内容は抜きにして、脅迫といったものの効果を認めることはどうなのか。そこに対する問題意識を持つことが重要」だと指摘した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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