首里城の火災原因を巡って“デマツイート”も…佐々木俊尚氏「政治やSNSに飲み込まれている」
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 31日未明に発生し、首里城の正殿、北殿など計7棟が焼け、延焼面積は4836.33平方メートルに及んだ火災。

 首里城は1925年、戦前の「国宝」に指定され、1945年には沖縄戦で焼失したが、1989年に復元工事が開始された。2000年には「首里城跡」が世界文化遺産に登録されている。日本では消防法、文化財保護法により、国宝や重要文化財の防火対策が義務付けられているが、今回消失したのは復元された建物だったため、防火対策の範囲外だった。そのため正殿、北殿、南殿にスプリンクラーの設置はなく、放水銃は3基設置されていたものの使われることはなかった。また、正殿には“水の壁”を作る「ドレンチャー」が設置されていたが、これが作動したのかは現時点では不明だという。

 文化財のスプリンクラー設置について、工学院大学理事長の後藤治教授は「中の美術品などを濡らしたくないため、スプリンクラーを設置している国宝や重要文化財は少ない。スプリンクラーの設置は人命救助を基準に決まるので、建物の文化財としての重要性とは無関係」と説明。市民防災研究所理事・事務局長の坂口隆夫氏は「警備員が消火器や放水銃で初期消火すれば消火できた」「現場が山の上だったため、麓からホースをつなぎ、水を持っていくのが大変な作業」としている。

 また、菅官房長官は会見で「文化財の防火対策については、本年4月ノートルダム大聖堂の火災を踏まえて、文化財の防火対策に関するガイドラインを作成するなど取り組みを進めてきた。火災発生の原因や防火設備の対応状況など、こうしたものを含めてしっかり調査を行い、再発防止に努めていきたい」とコメントした。

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「今回消失した建物は新しくはあるが、記念碑的なものだ。80年代の復元時に、ものすごく苦労して資料集めて作った。そもそも日本の建物は木造で、火事や災害によって再建を繰り返しているものも多い。伊勢神宮でも、20年ごとに式年遷宮をしているので、常に新しい建物だ。そう考えると、造り方を伝えてきている部分ももっと評価して、文化財並みの防災対策をしたほうがいいのではないか。結局、文化財とは何か、災害の多い国でどうやって古いものを残すのかということについての基本的な共通認識がないことも問題だ」とコメントとした。

 今回の出火原因について、消防は1日午前から警察と共に実況見分を行い、原因の究明にあたるとしているが、ネット上には「自分がやった」などのデマツイートなど、様々な情報が拡散している。

 これについて佐々木氏は「何が起きても中国や韓国のせいにする投稿と、安倍首相のせいにする投稿で溢れていて、あらゆるものが政治に飲み込まれてしまっていると感じるが、中には正義感から本気でそう言っている人もいる。また、富士山で滑落したYouTuberの問題もそうだが、ある意味でSNSが生活そのものになっていく中で、それに振り回されている人も増えている」と指摘していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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