独身男性向け“モデルファミリー付きモデルハウス”に批判の声…「家族の形に正解はない」
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 「あ!パパおかえり!」笑顔で父の帰りを出迎える娘。友人を招待したパーティの準備に汗を流し、手料理に「味見だ味見、おいしい!」と父親。そして、妻はふと壁を見つめ「お腹の子が大きくなったら、ここを間で仕切ってセパレートにしてもいいね」とつぶやく。

 よくある家族のワンシーンだが、実は妻と娘は女優だ。住宅メーカーが企画した今月17日の「家族の日」に併せ、独身男性に家族のいる生活を疑似体験してもらおうという、世界初の「モデルファミリー付きモデルハウス」なのだ。実施したリガード社のマーケティング事業部の高谷一起氏は「家族と過ごすということに対してイメージがつかないという方々も増えてきている。皆様に一つの選択肢として提供できたら良いなと」と説明する。

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 この日は20~30代の独身男性4人と既婚男性1人が参加。その一人、岩崎司さん(31)は「そろそろ、みたいなことを考えた時に、企画として面白そうだったので。ちょっとほっこりしましたね。普段ずっと独りなので、帰った時に“おかえり”と言われるのも、もう10年以上なくて。なんか久々だなあって。このまま2人を連れて帰って良いのであれば、持って帰れればなみたいな。冗談ですけどね(笑)」と話していた。

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 しかし、この企画に対しては、「結婚は相手が必要という指摘は的外れ」「昭和平成の家族観」「価値観の押し付けだ」といった否定的な声も少なくない。それでも

こうした社会状況に、新橋の既婚サラリーマンたちからは「生涯1人でいて自由に暮らしている人間と、子育て含めて苦労している人間が同じかって言われると、俺は違うと思うな!社会人的な責任が違うんじゃないかっていうのはあるよ!」(60)、「やっぱり自分で家族を養ってなんぼやと思っていたし、そのために仕事を一生懸命頑張ろうと思っていたし。だから部下の子たちにも、家族を持って、そこで一生懸命ひと踏ん張りして欲しいなって思う時はある」(42)という意見も聞かれる。

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 クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏は「こういうサービスがないと家族を自分事化して想像できなくなっていることが気持ち悪い。それより気持ち悪かったのは、新橋のおじさんたちのコメントだ。自分がこうだったから、これが幸福なんだぞ、と言っている感じだし、結局は大企業が社員に家族を持ってもらい、“お前転勤しろ。家族を食わせないといけないだろ”と人質にするような制度の中で出てきた、家族を持っている人間こそが一人前の社会人というロジックだ。僕の場合、両親は離婚してまた再婚していて、別々に暮らしていた時期もある。本来、人それぞれに家族生活があるはずだ。そして僕は36歳で独身だが、自分の会社には25人の社員がいる。どっちが社会的責任を全うしているんだっけという話になる。“モデルファミリー”という、正解があるような言い方も違うと思うし、古い家族観が批判されているのではなく、一つの正解があるかのように表現することに批判が出てくるのは仕方がない。ただ、こういう性風俗サービスみたいなビジネスモデルが出来てくる未来は想像できる」とコメント。

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 先日結構を発表したばかりのタレント・倉持由香は「“結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです”というゼクシィのキャッチコピーが称賛されていたこともあったが、今は娯楽も豊富だし、1人で暮らしても、友達と暮らしても楽しい人生を送ることができる。その中の一つの形として結婚があってもいいので、当然、結婚しない人がいてもいい。それぞれに幸せの形があるのに、押し付けるのはあまり良くない」とした。

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 リディラバ代表の安部敏樹氏は「確かに結婚した女性に限ってみると出生率が2.0近くなるので、少子化対策のためには結婚させようという国や社会の圧力が強まってくる。しかし、本当にそうなのかと。国が政策の前提としてきた、親が健在で子どもが2人いて、郊外に一軒家を持って…というようなロールモデルの世帯も、今や10%もいない。一方で、シングルマザーの2人に1人は貧困だという状態だ。そういう風に考えていくと、結婚をしていなくても子どもを育てられる社会にしたほうがいいのではないか、ということになる。そういう見せ方をしていった方がいいのではないか」と指摘。

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 教育・介護アドバイザーの鳥居りんこ氏は「例えば新宿区は単身者向けに家賃を補助しているし、国も空き家対策としてシェアハウスを支援しようとしている。そういうものをもっと打ち出して、みんながハッピーになるのがいい」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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