フェイクニュース対策、民間主体で自然淘汰できる? 石戸諭氏「プラットフォーマーにも責任を」
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 インターネット上のフェイクニュース対策で政府は、事業者の自主的な取り組みに委ねるとする案を取りまとめた。果たして、表現の自由と対策の実効性は両立するのか。

 フェイクニュースを巡っては、選挙の公平性を歪めたり国の安全を脅かすとして各国が規制に動く中、政府は有識者会議を設置し対策を議論してきた。会議では、政府とSNSなどを運営する“プラットフォーマー”と呼ばれる巨大IT企業が情報共有する場を持つなどの対策案を含む報告書が了承された。

 フェイクニュースが問題となったのは2016年、アメリカの大統領選挙。マケドニアなどの若者がアクセス数を稼ぐ(広告収入を増やす)ためにフェイクニュースを量産し、選挙に一定程度の影響を与えたのではないかと言われている。

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 総務省の検討会では、規制の方法が議論されていた。例えば海外では、トランプ大統領は自身に都合の悪いニュースをフェイクニュースと認定。法律による規制を始めたシンガポールでは政府が11月、野党メンバーのSNS投稿をフェイクニュースと認定した。しかし、当然野党側は反発。ロシアにも当局がファイクだと判断した報道を禁止する法律がある。

 検討会では、表現の自由の観点から「政府の介入は極めて慎重であるべき」とされた。そこで提案されたのが、SNSなどの企業による自主的な規制だ。例えば、Twitterは政治的な広告の掲載禁止を発表。Facebookは2020年の米大統領選に向け、海外の国家とつながるメディアに「国営」ラベルをつけたり、虚偽掲載でアカウントを削除するなどの対応を取るとしている。

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 では結局、誰が「フェイク」を判断するのか。検討会では、ファクトチェック団体の設置が提案されたが、その活動コストをどうするかなどは「議論継続」となったままだ。総務省は一般にも意見を募集し、年明けにも最終報告書を取りまとめたい考えだ。

 フェイクニュース対策を民間主体で進める方針について、ノンフィクションライターの石戸諭氏は「極めて妥当なところに落ち着いたと思う。国が言論に規制をかけるのはなるべく最小限であるべきだと思うので、民間主導を強く打ち出していることはひとまず評価したい」と話す。

 一方で、フェイクニュースをなくすことは「ほぼ無理だと思う」と指摘。「フェイクニュースに限らず、広い意味で虚偽の情報に関する規制を民間主導で、基準を設けていくことが必要。マスメディアに関しては、フェイクニュースや良くない報道というものは常識として共有されているが、それを改めて言語化していくこと、社会に向けて訴えていくことがまず必要だと思う。その時に、マスメディアだけでなくプラットフォーマー、日本で言えばトッププラットフォーマーのヤフーなども巻き込んで責任を持たせていくことが重要だと思う」との見方を示した。

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 フェイクニュースをめぐっては、それを見る受け手の見極めが必要だという声もある。この点について石戸氏は「業界の努力が果たして足りてきたのかが問われるべきだと思う。マスメディアの“報道するだけで自分たちの仕事は終わり”ではない時代に突入していて、社会に対してどういう基準で報道しているのかを訴える必要がある。それを各社でやるのではなく、プラットフォーマーを含めた業界団体を立ち上げて一括で対策していくことが大事」と自身の考えを説明。

 では、対策が進むことでフェイクニュースは自然淘汰されていくのか。「現状の法律でも、事実であろうとなかろうと、過度なプライバシーの暴露だったり差別表現だったりというものは十分、名誉毀損が成立する可能性がある。なぜそれをやらないかというと、訴えるコストが高すぎるから。訴える側が頑張らなければならず、民間人が『これはフェイクニュースなので消してください』と主張することは難しい。なので、業界がある程度の費用負担や法的な対応を含めて責任を負うところまで考えていいと思う。今ある仕組みをもっと上手く活用する方法、あるいはより効率化できるやり方が求められるべきで、政府に規制を求めるのは本当に最後の手段。その前にできることは多くあると認識するべき」と訴えた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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