ヘンリー王子「経済的に自立」で英国王室を悩ませる“距離感”「ブランドに傷がつかないか」
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 イギリス王室のヘンリー王子とメーガン妃は8日、公式Instagramで「位の高い王室の地位からは身を引く」と声明を発表した。

 声明の中では、「王室における進歩的で新しい役割を切り開くため、今年を移行期間にすることに決めた」と述べ、「経済的に自立することに取り組んでいく」としている。今後、イギリスと北アメリカの両方を拠点に、生後8カ月の長男・アーチー君の子育てをしていくということだ。

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 では今後、ヘンリー王子の立場はどのように変わるのか。政治学者で東京大学先端科学技術研究センター助教の佐藤信氏は「“自分たちは王室の中に留まる”とも言っているので、引退をするわけではない。王子としての大量の公務を減らし、自分たちの自立性を増して、王室のより周縁的な地位を担っていくという趣旨」と説明する。

 ヘンリー王子一家は去年のクリスマスに慣例を破ってエリザベス女王と過ごさず、カナダ旅行に行ったことが物議をかもしていた。佐藤氏によれば、イギリス内で「特にメーガン妃は扱いづらい状況になっていたことは確か」だといい、「クリスマスのニュースより前にも、2人がBBCの単独インタビューを王室の内容チェックなしに受けたことが、大変驚きをもって受け止められた。その中で、メーガン妃が王室に入るにはかなり大変だったと言っていて、そういった内容が漏れてくるというのは極めて憂慮すべき事態だった」と指摘する。

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 さらに、去年11月にはアンドリュー王子の性的スキャンダルが報じられた。そうしてイギリス王室に不信の目が向けられている中での、今回のヘンリー王子の声明。特に問題なのは「BBCのインタビューも今回の声明も、事前に王室を通していないこと」だといい、「王室のメンバーである以上、彼らの行動や発言は王室のメッセージとして報じられるが、それがコントロールされていないというのは困る事態。イギリス国内には“リパブリカン”と呼ばれる共和主義の人たちがいて、王室廃止論も根強くある。国として王室をサポートしていくかは常に厳しくチェックされていて、国民からの支持は大きく揺れ動いている。イギリス王室の存続は常に危機感にさらされているといっても過言ではない。キャサリン妃の結婚・出産で印象が良くなっている中で、今回のようなことが立て続けに起こっている」とした。

 ヘンリー王子らはイギリスと北アメリカを拠点にし、「経済的に自立していく」としているが、ビジネス活動を行うことも考えられるのか。また、イギリス王室はどのように向き合っていくのか。佐藤氏は「ヘンリー王子夫妻が北米で何らかのビジネスをする場合、イギリス王室が懸念しているのは、王室の名前が勝手に使われてブランドに傷がつかないかということ。それをなんとか食い止めるために、“トラブルメイカー”の彼らとの距離感をどうしていくかが、王室にとって非常に頭の痛い問題。これまで国民の支持をつなぎ止めてきたエリザベス女王が、新たな危機をどうコントロールしていくかが見どころになる」との見方を示した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

映像:ヘンリー王子とメーガン妃

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