将棋藤井聡太七段(17)が2月4日、順位戦C級1組9回戦で高野秀行六段(47)に99手で勝利した。これにより、藤井七段は今期無傷の9連勝で、最終10回戦を前にB級2組への昇級が確定。谷川浩司九段(57)が持つ最年少名人記録、21歳2カ月の更新に夢をつないだ。

▶映像:藤井聡太七段、9連勝で昇級決定

 あと一歩のところで逃したチャンスを、今期はしっかりとものにした。前期も8回戦まで連勝を続けていたが、9回戦で敗れたため、最終10回戦で勝利したものの9勝1敗で、わずかに昇級に届かなかった。今期は、勝敗が並んだ場合に優先される「順位」で36人中3位と有利な立場からスタートしたが、白星だけを連ねて2期かかっての昇級を掴み取った。最終10回戦で敗れても、順位によって上回ることが確定しての昇級決定だが、当然10戦全勝を手土産にして、ステップアップするつもりだ。対局後、報道の取材に応じると「前期は上がることができなかったので、今期上がることができてよかったと思います」とコメント。「今期これまで昇級を目指して戦ってきたんですけど、本局は普段どおり指そうと思っていました。師匠(杉本八段)には先に昇級されてしまったので、追いつけてよかったなと思います」と笑顔も見せていた。

 8つあるタイトルのうち、いくら勝ち続けても1年ではタイトルに挑戦すらできないのが、この順位戦・名人戦。飛び級もなく、毎年1つずつしか階段が登れないシステムになっている。藤井七段が最年少名人になるためには、来期からB級2組、B級1組と対戦者のレベルも上がる中で1期抜けを果たし、さらにタイトルホルダー・経験者がずらりと揃うA級でも一発で挑戦権を獲得する必要がある。もちろんその七番勝負で、その時の名人に勝ち越さなければならない。過酷な道ではあるが、これまでも数々の大記録で関係者、ファンを驚かせてきた天才棋士だけに、ビッグタイトルでの偉業達成に向けて、再び期待も高まるところだ。

 この勝利で、2019年度の成績も11連勝で41勝10敗、勝率は.804まで上昇。3年連続での勝率8割超えもキープした。タイトルでは王将戦、王位戦では挑戦者決定リーグに入り、一般棋戦でも朝日杯将棋オープン戦では羽生善治九段(49)以来、デビューからは史上初となる3連覇に向けて突き進んでいる。あと2カ月足らずで、高校生棋士としてもラストイヤーを迎える藤井七段。その成長曲線は、まだまだ右肩上がりだ。

◆藤井聡太七段が最年少名人になるには…

 順位戦A級の優勝者と名人による七番勝負は、例年4月上旬から6月下旬にかけて開催。藤井七段は2002年7月19日生まれで、谷川九段が持つ21歳2カ月を更新するには、2023年4月(想定)からの七番勝負に、20歳8カ月で挑戦する必要がある。現在、17歳6カ月のため、残りはあと3年だが、順位戦は1年で1段階しか昇級できないため、B級2組、B級1組、A級と全て1期で勝ち抜くことが絶対条件だ。

(AbemaTV/将棋チャンネルより)

▶映像:順位戦 C級1組 第9回戦 藤井聡太七段 対 高野秀行六段

藤井聡太七段、9連勝で昇級決定!
藤井聡太七段、9連勝で昇級決定!

▶中継:竜王戦1組 ランキング戦 佐藤天彦九段 対 広瀬章人八段 2/5(水)9:50~

トップ棋士が竜王挑戦に向けて初戦
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順位戦C級2組第9回戦 田中寅彦九段 対 高見泰地七段 2/6(木)9:50~
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