“激辛カレー”教員いじめ担当職員が自殺か 臨床心理士「重い仕事は分担と共有を」
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 激辛カレーを無理やり食べさせるなどした、神戸市立東須磨小学校の教員同士によるいじめ問題で、市教育委員会の会議の調整に関わっていた男性が死亡したと共同通信が報じた。

 死亡したのは神戸市教育委員会総務課に勤務する39歳の男性係長で、兵庫県・芦屋市にある橋の上から飛び降りたという。警察によると9日午前4時すぎ、男性の家族から「置き手紙がありいなくなっている」と通報。手紙には自殺をほのめかす内容があったということで、警察が調べを進めている。

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 また今月1日、新型コロナウイルスに関して、帰国者の受け入れ業務をしていた内閣官房の職員も自殺をはかったとみられている。責任がかかる業務にあたっていた職員の自殺。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「(1)個人の裁量が少ない、(2)長時間労働、そして(3)責任が重い業務、という3つの要素が重なると苦しみの原因となっていく」と指摘する。さらに、「当然組織の中での一職員の裁量は大きくないが、例えば外部からの苦情に対応していても、説明できないことも多かっただろう。『真摯に説明したいけど言えない』というのは葛藤につながるし、葛藤が続けば、精神的な負担感は誰でも強まっていく」とした。

 また、教員いじめも新型コロナウイルスも世間の関心度が非常に高い問題だとし、「その“重い問題”に時間をかけなければならなかったのだと思う。責任の重い仕事に長時間あたることは、単純に精神的・身体的疲労が蓄積するし、結果としてどんどん物事を冷静に考えられなくなっていったり、自分や他者を客観的に見ることができなくなるということも生じうる。加えて世間や組織の内外からのプレッシャーもあり、失敗が許されないような心理になっていってしまう。教員いじめの件では、加害教員が対象とはいえ処分のプロセスに間接的にでも関わるというのは、他人の人生に大きな影響を与えるような決断に寄与すること。そのプレッシャーはすごく大きい」と推察した。

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 では、そのような事態を防ぐために組織はどう対応するべきか。藤井氏は「分担と共有」をあげ、「負荷の大きい大変な仕事はきちんと分担できる仕組みにしないといけない。例えば外部からの苦情に対応するというのは非常に負荷が高いので、‘‘電話を取るのは部下’’ということではなくて、職位に関係なく業務にあたることによって一人が対応する時間を短くしたり、あるいは輪番制にしていろいろな人で回していかなければならないと思う。その中で『こういう苦情があった』『応対が難しい人がいた』などという対応の情報を共有してお互いにサポートし支え合うシステムがあると、1人当たりの負担は減るし、結果的に精神的な負担も軽くなる。自身の経験を言語化することはそれだけで意味があるが、ただ単に愚痴をこぼすということではなくて、実際に直接仕事を共有するからこそ心理的にも分かちあえるものがある」と推奨。

 さらに、自殺を考える人は主観的な孤独感が高まっているといい、「誰にも相談できず自分が抱えるしかない、上手くやらなければならないというプレッシャーの中で、そこからなんとかして『回避したい』という心理で自分の命を絶つという、通常の精神状態では考えられないような決断に至ってしまう。孤独感を抱かせないような仕事の分担、共有が必要だ。組織のトップは集団の機能に気を配るべき」と述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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