「資金繰りはスピード勝負。行政はワンストップで申請できる体制づくりを」元日銀マンが新型コロナの緊急対応策に苦言
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 10日、政府の感染症対策本部は緊急対応策の第2弾を取りまとめて公表した。学校の臨時休業に伴い、保護者に対する支援策も打ち出した。また、雇用対策としては1兆6000億円規模の資金繰り対策、中小・小規模事業者向けには実質的に無利子、無担保の特別貸付制度も創設される。そして、継続中のイベント自粛をさらに10日間程度延長することも要請した。

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 この“自粛”によって、経済への打撃はすでに表面化している。中国人観光客に人気の宿だった温泉旅館「華の湯」(静岡県伊豆の国市)は、1月末から4月の約90ツアーが中止となり、3000人分・1500万円がキャンセルされ、今月末での閉館を余儀なくされた。この窮状を孫娘がツイートしたことから、大きな反響があったという。

 「8日の朝9時から電話が鳴りやまないという状態が続いた。おかげ様でたくさんの方から励みの声を頂いたり、ご予約を頂いたりして、とても感謝している。ただ、サッカーフェスティバルというイベントもあったが、安倍さんが“自粛”と言った次の日に、バス2台分の80人、3日間が全てキャンセルになった。予約がない、イコール仕事がない、ということで、2人、3人と退職し、今は私だけという状況だ。政府も色々と考えて下さっているようだが、ちょっと遅いかなと思う。もう早く少しお声がけ頂けたらありがたかったと思う」(女将の松島典子さん)。

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 元日銀マンでエコノミストの鈴木卓実氏は「終わりが見えているのであれば戦う余地もある。しかしエンドレスに身構えなければいけないとなると、業種や働き方によっては心が折れてしまう方もいると思う。しかも情報が小出しだ。これまでのことを考えると、ここで10日延ばしたからといって急に感染が収まるとは思えないし、疑心暗鬼になってしまう。期間はもっと長めに取って、その分、手厚い対策を打ち出したほうが良かった」、大王製紙元会長の井川意高氏も「よく言われる“戦力の逐次投入”ではないが、小出し策は色々な意味でよくない。やはり最初にどんとやっておいて、ここまでは必要なかったから止めてよう、とやっていく方が心理的負担も少ないし、効果も出やすいのではないかと思う」と指摘した。

 次に、緊急対応策の経済支援の面を見ていく。財政措置は4300億円超となっており(第1弾153億円)、感染拡大防止策と医療提供体制の整備(486億円)、学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応(2463億円)、事業活動の縮小や雇用への対応(1192億円)、事態変化に即応した緊急措置等(168億円)に充てられる。金融措置としては、融資・保証で1兆6000億円規模となっている。

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 また、生活保障・事業支援として、正規・非正規を問わず日額上限8330円が支給され、フリーランスに関しては日額定額4100円が支給される。新型コロナ流行で影響を受ける個人向け緊急貸付としては、収入減少の世帯で10万円以内、休校の影響を受けた世帯で、20万円以内で行われる。

 ただこの「4100円」という額については、ネットでは「これはどう算出された金額なのか」「安くないか?想定外の出費が出たら終わりだ」と、当事者にとっては死活問題だけに大きな批判も巻き怒っている。

 リディラバ代表の安部敏樹氏は「私のところも既に1000万円以上の損失が出ているが、事業者向けのサポートとともに、消費を冷え込ませないということが大事だ。そこをちまちまやるというのはあまり意味がないと思う。そもそも、増税以降経済は落ちてきているので、この際ベーシックインカムの実験として、3カ月や半年の間、1人5万円や10万円を支給して安心してもらうというのもいいとおもう」と訴える。

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 鈴木氏は「コロナ自体は天災だから仕方がない部分がある。だが、明らかに、コロナをオーバーキルしようとして、経済まで殺しにかかっている。ほとんど人災のレベルだ」と厳しく批判する。

 「学校が休校になったことで、小規模のイベントもできなくなっているし、習い事も自粛だ。フリーランスのピアノの先生などはほとんど仕事がないという。また、4100円という額だが、東京都の最低賃金がだいたい1000円ちょっとなので、その4時間分という、とんでもない仮定の数字だという話を聞いた。しかし、フリーランスにも幅がある。バイト程度の方もいれば、本業としてやっている方もいる。とにかく“1日の労働時間が4時間ですよね”というのはあり得ない話だ。フリーランスの場合、部屋を借りていたり、自分でローンを組んで機材を買っていたりするので、そこの資金繰りも支えないと、かなり厳しい。例えばこの時期、企業研修は結構ピークなので、3月、4月で一気に稼ぐ人からすれば、これでは全然足りない。貸付額を増やすしかない。第1弾の時にしっかり枠をつくって周知徹底すべきだった」。

 その上で鈴木氏は「資金繰りはスピードが勝負だ。とにかく、迅速に動ける貸付制度をつくらなければならない。そして、これまでにも制度融資はあったが、やはり普通にはわかりにくい。役所のホームページの色々なところに情報が分散している。自分の条件を検索で入力したら申請までできるというようなワンストップサービスを作ってもらわなければならない」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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