“外出自粛要請”も夜の繁華街に若者…実効性持たせる3つのポイントと“長期戦”との向き合い方
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 新型コロナウイルスの国内の感染者数に不穏な動きが出ている。27日に初めて100人を超えると、28日は192人、29日は169人と3日連続で100人を超えた。

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 数字を押し上げた原因のひとつが、東京都の患者急増だ。28日にこれまでで最も多い63人を確認すると、29日にすぐさま更新し69人の感染が判明。2日間で確認された131人のうち、半数近くは東京・台東区の永寿総合病院の関係者で、院内感染が起きたとみられる。

 また、感染拡大の一因とされる夜の繁華街・新宿では29日夜、モニターに映る小池都知事の外出自粛の呼びかけも虚しく、多くの若者が街を訪れていた。若者からは「コロナはお年寄りとか危ない人がなれば死ぬみたいなのがあるじゃないですか。なので、若いとかかってもなんとかなるかなというのが一番」といった声も。

 このまま感染者が急増すれば首都封鎖、いわゆる“ロックダウン”が現実味を帯びてくる。では、どうすれば外出自粛要請に実効性を持たせることができるのか。AbemaTV『けやきヒルズ』にテレワーク出演した、臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は「日本の自粛という方法は特殊で、ピアプレッシャー、いわゆる同調心理に期待したもの。つまり、『みんながやっているから自粛しましょう』というものだが、逆に『誰かが外出しているから自分も出ていいや』と悪い意味での同調にもなりやすい。特に今は、いわゆる“コロナ疲れ”や感染拡大予防としての自粛の効果の見えにくさも相まって、マイナスのスパイラルが容易に起こりやすい状況にはある」と指摘。その上で、次の3つのポイントをあげる。

“外出自粛要請”も夜の繁華街に若者…実効性持たせる3つのポイントと“長期戦”との向き合い方
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(1)感染者の具体的な症状エピソード

 「感染者数の増加は意識を高める一定の効果があるものの、人は自分と共通した部分や具体的にイメージできる恐怖がないと、自分事として感じられずなかなか危機感が高まりにくい。感染者数が増えたことを報じることにも一定の効果はあるが、より具体的かつ共通部分がわかったほうがよりいい意味で危機感が喚起される。感染者の個人情報を守ることを前提に、例えば『(自分と同じ)◯◯区に住んでいる海外渡航経験のない人が、◯◯のような症状が出て陽性だった。入院後症状が悪化し、咳が止まらず苦しみ、一時人工呼吸器が装着された。この人は、◯◯という業種で、持病もなく発症前はごく普通に仕事をしていた』などのような情報は強いイメージを喚起する」

(2)特定の世代に影響力があるインフルエンサーによる広報

 「情報というのは、内容ももちろん大事だが、誰から言われるかが『信頼性』や『実際に行動に波及するか』に関わってくる。首相や知事など政治家のメッセージも一定の効果はあるが、ある世代に呼びかけたい時に、その世代から絶大的な人気のある著名人がCMや広報活動に参加すると、かなりの効果が見込まれる。いま『若者が問題だ』などといわれるが、それを言うだけでは世代間の分断を生んでしまうので、全ての世代ごとに発信ができる“インフルエンサー”を使った広告に国がお金をかけてもいいのではないか。仮に『自分の周りには感染者がいないので大丈夫だと思う』と言っている人が、自分がとてもリスペクトしている対象から『自粛しよう』と言われたらどうするか。意外と素直に従う可能性がある」

(3)自粛時の過ごし方、楽しみ方についての啓発

 「『外出自粛』というと、家でじっとして楽しまない、楽しむことは不謹慎だと思われている向きも一部であると思うが、それでは持たない。閉じこもっている時のストレスとどう対処していくかも含めて、新しい時間の過ごし方や人生の楽しみ方についての啓発が必要。これはメディアの果たす役割は大きいと思っている。例えば、最近多い飲み会番組も遠隔でやってみたらいい。みんなが知らない情報を示すともに、メディアが先行して『やって見せる』ことは重要だと思う」

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 安倍総理は28日の会見で、「長い戦いを覚悟していただく必要がある」と国民に呼びかけた。この長期戦との向き合い方について藤井氏は、「人は1週間、1カ月など、ある一定の区切りをつけたいという発想がある。例えば、我々が大学で授業をする時に『ゴールデンウィークぐらいまでは対面で授業ができない』などと見通しをつけてそこまでのプランを練っていくが、今は短いスパンの区切りが見出しにくい状況。ワクチンや治療法が開発されるとしても半年以上、早くとも1年ぐらいかかるとされていて、京都大学の山中教授も『まず1年頑張ろう』という趣旨のメッセージを発信されている。なので、近い区切りではなく1年頑張るんだと最初から思っていたほうが、前述の3つのポイントもうまくいくと思う。人の欲望や衝動は抑えているといつか爆発してしまうので、長い見通しを持ってそれらをどう解消していくかを考えていくべき。大きくスタイルチェンジをしたり、ゼロベースで検討することを前提として諸事を考え直していかなければならないのではないか」と指摘した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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