“出勤7割減”阻むのは日本のハンコ・書類文化? IT担当副大臣「本当に要るのか、仕分けをこの機会にやっていく必要」
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 緊急事態宣言が発令されて初めての週末。東京や大阪などの大都市圏のターミナル駅周辺では、人の姿が消えていた。一方、東京都心から電車で20分ほどのところにある吉祥寺駅前(武蔵野市)の商店街には人、人、人。ある薬局の店員は、「想像と比べるより倍はいるかなと思う。増えたと思う」と話す。買い物客が「都心に行くまでの電車とかの方がちょっと怖いかなと思う」と話すように、生活の一部となっている駅前商店街などでは、相変わらず人の動きに大きな変化は生まれていないようだ。

 そんな中、いち早く独自の「緊急事態宣言」を出し、一旦は感染が収まったかに見えた北海道では、感染者が再び増加したことを受け、感染の「第2波」が来たとの認識を示し、札幌市内の小中高の学校を再び臨時休校にすると決定した。

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 感染症・渡航医学が専門の関西福祉大学の勝田吉彰教授は「一旦解除をしたところ人と人との接触が増え、残っていたウイルスの感染が拡大したということだろう。これも想定されたシナリオのうちの一つだと思うが、どうなるかは誰にもわからない。数量モデルを使いながら最悪のシナリオに備えつつ、現実を見て対応をフレキシブルに変えながらやるしかない。それをいつまで繰り返すのかと言われれば、やはり集団免疫の話になる。すなわち感染した人の6~7割が社会に一定数出ることで、新たに感染が広まっても止まる。2009年の新型インフルエンザもこのストーリーをたどったが、大体2年がかかると言われている。あるいはワクチンができ、集団免疫が人工的に作られるという、もう少し早いストーリーもあるが、それでも18カ月はかかると言われている」とした。

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 人と人との接触を減らすためには、平日にも大きな課題が残る。仕事へ向かう多くの人の姿が見られた週明け13日朝の東京・丸の内。安倍総理が「オフィスでの仕事は原則自宅で行えるようにする。どうしても出勤することが必要な場合でも、出勤者を7割減らす」と述べ、在宅勤務を推し進めたい意向だ。

 ただ、Agoopがまとめたデータで緊急事態宣言前の7日と宣言後の9日を比較すると、6~18時の累積値は東京駅26.3%減、新橋駅29.9%減、新宿駅26.7%減、品川駅33.8%減、六本木駅22.3%減と、平日の減少率は2、3割と、目標の7~8割を大きく下回っているのが原状だ。

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 内閣府IT担当副大臣で、政府の新型コロナ対策でIT活用を担うテックチームの事務局長も務める平将明衆院議員は「こうした状況が数字で確認できるようになったことは大きな進歩だと思う。LINEに協力をしてもらって実施したアンケート調査では、1日、2日で2500万人近い人が回答してくれた。そのビックデータを解析してみると、発熱をしている人の割合が多い地域や多い業種が具体的に浮き彫りになってきた。また、人の動きをトレースするアプリケーションを導入しようという計画もあるので、地図情報と掛け合わせることにより、クラスターの発生予測を立て1週間、2週間の単位で、緻密に政策が打てるようになると思う。ただ、平日の仕事に関して、政府はテレワークをと言うが、すぐに導入できないところもあると思う。私も大田市場の青果の仲卸をやっていたので、おそらく皆が今もフルに動いているんだろうと思う。例えば時間差出勤によって密度を分散させるとか、中小企業に関しては経産省や中小企業庁と相談しながら支援も考えていきたい」と話す。

 「経済政策でいえば“資金繰り政策”といわゆる休業補償・雇用調整助成金、中小企業で100万、2店舗以上で200万の持続化補助金、さらに東京都でいえば休業要請の協力金などのパッケージで足りなければ、追加的な政策をということになると思う。世界各国、世界的にも同じような政策をとっていると認識している。私の部局ではないが、企業の資金繰りについては、私が政府の中でも自民党議員の中でも最も早く対応を呼びかけたと思っている。また、3月末という境目の時期でもあったので、要件緩和も大事だが、スピード感、人員強化についてもやった。人事異動を止めたり、OBの人を活用したり、民間の金融機関にも呼びかけて不十分であれば金融庁に検査に入ってもらうなど、色々とやってきた。それでも資金需要に対応しきれないのが現状だ。特にこれから給付についての問題が出てくると思うので、そこはできるだけ紙ではなくITを使って、早く出せるようにしようと、総務省と内閣府で準備を進めている」。

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 他方、日本CFO協会が行ったアンケート調査によれば、約7割の企業がテレワークに取り組んでいると回答した一方、そのうち4割は「出社する必要性が発生」と回答している。理由は押印手続き、印刷など、紙データの処理、会議などだという。安倍総理も11日「いまだ通勤者の減少が十分でない面もある」との認識を示していて、「関係省庁は事業者に要請を徹底してほしい」と述べている。

 平氏は「今回の事態によって、世界も日本社会も意識が大きく変わると思う。新型コロナウイルスが収まったとしても次のウイルスが来るかもしれないし、地球温暖化によって自然災害のリスクも高まっている。そして、それによる行動変容を求められたことで社会や経済が止まってしまうという脆弱な体制ではダメだ。やはりデジタル化やIT化によって、一定程度維持できるようにしていかないといけない。例えば政府に対しては“ハンコなし”でできるようにしようということで、ほとんどの対応が終わっている。あとは地方自治体や公益法人で、最後に残るのが民間と民間だ。大きな会社同士の大きな額の契約ならデジタルでやれば印紙税がいらないので、どんどん進んでいくと思う。一方で、個人商店同士ではちょっとした契約でもハンコを押すという文化が残ると思う。そこをどう合理化していくのか。これはやはり、官と民と皆でやらなければいけないと思う。私はどこでも買える“三文判”は個人の認証にはならないと思っている。本当に個人を認証するなら、実印と印鑑証明だ。そういうことも含めて、本当に要るのか要らないのかの仕分けをこの機会にやっていく必要がある」と訴えた。(ABEMA/『ABEMAPrime』より)

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