「ギグワークが当たり前になり、人々が最適化される」Z世代の起業家に聞く“アフターコロナ”
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 生まれたときからネットに囲まれて育った“Z世代”。14日の『ABEMA Prime』では、3人の起業家の思考・活動を通して、アフターコロナの時代を考えた。

■アフターコロナの時代は「大チャンスだ」

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 『Forbes JAPAN』の“注目の30歳以下のイノベーター”にも選ばれた株式会社タイミー代表の小川嶺氏(23)は、空いた時間にスマホ1つでバイトを探せるマッチングアプリ「タイミー」を手掛けた。

 立教大在学中の小川氏は18歳でアパレル系のマッチングアプリで最初の起業をしたが失敗。2018年3月、社名を「タイミー」に変更し、バイトマッチングアプリとして再スタート。そんな小川氏の熱意と発想を、堀江貴文氏や本田圭佑氏などの名だたる起業家たちも後押し、2年弱で24億円もの資金調達に成功している。

 「学生は3割以上が貯金額0。飲み会に誘われても行けない、好きな女の子に誘われても行けない。それがどれだけ苦痛か。お昼に働いて稼いだお金がその日の夜に使える生活なら最高だな」。そんな発想から生まれたのが、隙間時間をすぐにお金に変えるタイミーだ。アプリを開き、希望日と職種を選べば条件にあった仕事が提示されるので、給料や場所を見て選択するだけ。面接も不要だ。勤務時間の管理はQRコードで行い、給料はアプリ内のウォレットに即支給される。

 気になる評価の仕組みについては、雇い主による「GOOD評価システム」を導入、低評価が増えればGOOD率が低下していく仕組みになっており、これを可視化することで人材の質を管理している。アプリ利用者数は100万人を突破と急成長中を遂げており、ユーザーの豚しゃぶ店の店長は「急な予約が入ったとき、“6時からお願いします”と募集をかけると、5分、10分でマッチングする。すばらしいと思う」と太鼓判を押す。

 140人ほどが働くというタイミーのオフィスを訪ねると、棚にはボードゲームや漫画が並んでいた。これも仕事に大いに活きるのだという。休日にはプロ棋士による将棋教室で、4時間休まず将棋盤をにらみ続ける小川氏。「やりきるということ、自分の考えていることをしっかりと打ち続けられるかという耐久力、色々精神が鍛えられる。これも仕事。脳を使うという意味でいうとずっと使っている」と話した。

 アフターコロナの時代について「大チャンスだ」と断言する小川氏。「タクシー会社が600人を解雇したという話も出たが、固定人件費を抱えていると、人を切らざるを得ない。副業が当たり前、ギグワーク(ネット上で単発の仕事を探して働く)が当たり前になる。もちろんギグワークだけでは不安だという意見もあると思うが、一人ひとりの時間を豊かにするというのがタイミーのビジョンだ。カフェだったり、居酒屋だったり、秘書の業務だったり、色んな経験をすることで自立して生きる力を身につけられると思う。誰かに雇われるのではなく起業家マインド、誰に捨てられても自分で生きていける力を蓄えていく必要があるのではないか」。

■「固定の賃貸というのは古いと思う」「アフターコロナで人々が最適化されるのではないか」

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 次に紹介するZ世代の起業家は、株式会社Unito代表取締役の近藤佑太朗氏(25)だ。賃貸マンションの開発、運営を行う近藤氏が手掛けるのは“未来の住まい”だ。

 現在進めているのは、神田のビルを改装し、ワンルームの賃貸マンションにするプロジェクトだ。使われていない時間はホテルの客室に変身させる。「住民が外泊するときはアプリから申請をすれば、そのままブッキングドットコムや楽天トラベルのようなOTAサイトに掲載され、それによって宿泊客を集客する」。

 空き時間をホテルにすることで、その日数は家賃が割引されるという、これも「隙間をお金に換える」日本初の賃貸住宅だ。物件にはコインランドリーや無人コンビニ、さらに仕事や団らんをする広いリビングとワーキングスペースも備えられており、いわばテレワークに対応した賃貸マンションだとも言える。すでに半分近い部屋が契約済みだ。「固定の賃貸というのは古いと思う。みんなあまり意識していないが、移動するコストはすごく大きい。これを無くせば、1日の時間がめちゃめちゃ長くなるし、人生の質を高めると思う」。

 大学時代に観光業を学びにクロアチアに留学。22歳で起業し、昨年12月に株式会社Unitoを立ち上げた。この日本初「住んだ分だけ家賃を払う賃貸住宅」で1.2億円を資金調達した。海外からの帰国後、停留する人たちのため、提携する民泊施設や宿泊施設に14日間いてもらうというサービスもスタートさせている。

 発想の源は、3歳から7歳まで住んでいたルーマニアでの暮らしだという。「体育座りってヤバイ。校長先生の話を立って聞くとか。みんな同じでちょっと怖いなみたいな。そういう固定概念が日本人ってすごく強いなと思って」。アフターコロナへの考え方も、その延長線上にあるようだ。「テレワークにチャンスがあるというわけではなくて、仕事の仕方が変わることによって、何がオンラインで良く、何がオフラインが良いのかということが可視化されるようになる。それによって、人々が最適化されるのではないか」。

■小学2年生で「学校がつまらない」とインターナショナルスクールへ

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 最後に紹介するのは、慶應大学在学中で、株式会社TimeLeap代表を務める仁禮彩香氏(22)だ。

 小学2年生の時、学校がつまらないと、幼稚園時代通ったインターナショナルスクールに小学校の部を新設してもらい転校。公立の中学校に進学するも、「ネットで調べれば分かるようなことが多かった」と、ここでも物足りなさを感じていたという。そこで教育にイノベーションを起こすべく14歳で起業。独自のカリキュラムや企業研修プログラムを開発・販売するようになる。高校2年生の時には学校を買収。現在は、小学校2年生から高校生を対象にしたビジネススクールを開講している。

 教育にこだわる理由について仁禮氏は「人が生きるという過程について興味を持っていた。生きるって不思議だなと思っていた。生きる時間の大半を学校の生活が占めていることに違和感を感じた。自分の生きている時間を奪われているような感覚があった。時間は有限なので、それをもっといい形で使えないかなと思った」と話す。

 「コロナの影響があるからこそ、この学びを生かしたい」と、14日からは新しいスクールサービスをスタートさせている。

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「リーマンショックや3.11を経て言われてきたリモートワークなどの流れが、今回のコロナで後押しされることは間違いないと思う。副業が当たり前になるし、それに適合したアルバイトのビジネスやサブスクの住まいも普及すると思う。一方、不安感も出てくると思う。長い人生なので、安心感をどこで担保するかということも考えなければいけない。加えて、無理矢理ギグワーカーにされてしまい、労働法の規制が適用されないといった問題もある。アフターコロナのマインドセットをうまく取り込みつつ、それに伴う変化もきちんと取り込んでいってほしいと思う」とコメントしていた。(ABEMA/『ABEMAPrime』より)

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