「さらし者」になるパチンコ店 休業要請に応じない店舗の公表にまつわる“嫌悪感”と“法の下の不平等”
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 東京都は4月28日午後にも、休業要請に応じていないパチンコ店の名前を公表する方針だったが、現地調査をした際に営業していた店舗全てが休業したことがわかった。一方、兵庫県では27日、休業要請に応じず営業を続けていた6店舗について店名を公表。県によれば、28日午前11時までに、どの店舗からも休業の連絡はなく、神戸市内のパチンコ店も通常どおり営業した。

▶【動画】自粛要請に応じないパチンコ店が“さらし者”に

 都は店に事前通告した上で、それでも休業要請に応じてもらえない場合は「3つの密が発生する可能性がある」として、都のホームページで公表すると伝えている。その他の府県では、既に店名を公表しており、要請に応じない店もある。群馬県・茨城県も店名公表を決め、西村経済再生担当大臣も27日、「罰則を伴うようなより強制力を伴う仕組みを導入するという法整備について検討を行わざるを得なくなる」と発言した。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けたパチンコ店の店名公表について、BuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「コロナと道徳は混ぜるな危険、ということです」と切り出した。「パチンコ店というのは、みんながいいところだと思っているわけではなくて、ギャンブル依存など、様々な問題があるとみなされている場所。そもそもバッシングされやすい土壌がある」と指摘。

 「『閉めてください』という要請は、あくまでも科学的根拠に基づいてなされるべきで、そこに1%でも2%でも『パチンコなんてけしからん』『あんな場所』という思いを混ぜるべきではない。ネットの言説を追っていると、そうした嫌悪感がだいぶ混じっているように見える」と述べた。さらに「要請に応じない場合、『指示』という選択肢もある。店名の公表は影響が大きいので、指示にも従わない場合の最終手段としてはどうか」と提案した。

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 社会派ブロガーのちきりん氏は、さらに「法の下の不平等」まで踏み込んだ。「この機に乗じてパチンコ店を潰したいのかなと思うぐらい不公平。法の下の平等に反している」とし、「パチンコ店でまだクラスター感染が出たという記憶はない。一方で、スポーツジムやナイトクラブには複数のクラスターが出ているのに、まだ営業しているところがあると思う。(自粛を)守っていないところから集団感染が出ているのに、店名が公開されていないケースもある」と、パチンコ店ばかりに注目が集まっている矛盾を強く突いた。

 神庭氏は、西村大臣が述べた「罰則を伴うようなより強制力を伴う仕組み」についても「要請の後に『指示』までしたのに従わない、という事例を多数確認したうえで初めて罰則を検討すべき」と慎重な見方を示した。そのうえで「パチンコ店に中傷電話が相次いでいるという話もある。『行政が名前を出すので、皆さん石を投げてください』という状況で、江戸時代のさらし刑のようだ。自粛は本来、自発的に『するもの』であるはずなのに、強制的に『させるもの』になりつつある」と行き過ぎに懸念を表明した。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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コロナと道徳「混ぜるな危険」
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