「新型コロナウイルスによる経済不況で自殺者が増える」藤井聡教授の“独自シュミレーション”とは
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 新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛や休業要請とともに急務とされる事業者への支援。政府は収入が50%以上減少した企業には最大200万円、フリーランスなど個人事業主には最大100万円を給付する支援策は来月8日の支給開始を目指すとしているが、新型コロナ関連の倒産件数は27日時点で既に100件を超えており、雇い止めも3391人(見込みを含む)に上っている。ネット上には、「コロナで死ぬより経営破綻で死にそう」「外出ダメ仕事ダメ収入ゼロで死んだほうがまし」といった声もある。

 急激に落ち込む経済に、安倍総理は「リーマンショックの時はそうであるし、大恐慌の時よりも、ある意味では、精神的に厳しい状況になっているんだろう」、麻生財務大臣も、ある現象を危惧。麻生氏は「失業率が上がると、自殺率が上がる。経済で亡くなる可能性も当然考えておかなければならない、国としては。経済が落ち込んだところを、きちんとある程度サポートしていかないと」とコメントしている。

 この“経済と自殺率”の関係に着目し、「新型コロナによる影響で、自殺者数が現在の水準(2019年はおよそ2万人)に戻るまでに合わせて14万人から26万人の自殺者が出る可能性がある」と主張するのが、京都大学大学院の藤井聡教授だ。藤井教授の予測によれば、1年で収束する“楽観シナリオ”でも年間で最大1万人以上、2年で収束する“悲観シナリオ”では、最大2万人近くが増加するというのだ。

・【映像】「消費税の凍結を」コロナショックで自殺者14~26万人増加も? 命も経済も守る処方箋

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 「経済学にオークンの法則といって、経済の冷え込みと自殺者の増加については統計的にわかっている。ゴールドマン・サックスが108兆円の緊急経済対策を行った大体25%くらい経済が冷え込むと計算していて、10万円の給付を考慮に入れると23%。そこから失業率を割り出し、過去のデータに基づき失業率が1%上がると何人が自殺で亡くなってしまうのかを計算した。ぜひ理解してほしいのが、1997年に行われた消費増税まで日本はずっと成長していたが、そこで初めてデフレになり、それがずっと続いている。実はこの時、自殺者数が一瞬で1万人も増えてしまった。2011年くらいに失業率が徐々に下がると、自殺者数も下がっていき、今年は昔と同じ水準に戻っていたところだった。1997年の増税による経済悪化は20年以上の悪影響を及ぼし、死ぬ人をどんどん増やしていたということだ。この間の自殺者数の増加数がちょうど14万人。つまり、今回の楽観シナリオと大体同じ数字だ」。

 その上で、2012年末~2018年末まで第2次安倍政権の内閣官房参与を務めた経験も持つ藤井教授は、「いろんな見方ができるが、財務省で出世できる人間は消費増税できる人間で、財政の支出を許してしまった担当官はパージされるという構造ができあがってしまっている。僕らの本を読んで財務省に財務省を変えるんだと血気盛んだった人も、絶対はじかれてしまうという、“全体主義”の構図がある。ここを変えない限り、日本に未来はない。国民は殺される」と指摘。

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 政府に対し「これからの方向は2つのことが重要だと思う。一つはこれまでも指摘されてきたように、抜本的で大規模な真水100兆円の経済対策と消費税の即時凍結。それにより国民1人あたり100万円が給付されることになるので、失業者の人にもしっかりとお金がまわることになり、ぎりぎり生きていくことができる。会社も潰れず、解雇しなくて済むことになる。もう一つは、医療崩壊を防いで感染症を抑え込むのは大事だが、岩手や島根、徳島など、感染者が非常に少ない所に関しては、注意深く見ながら段階的に経済を再駆動させていくという取り組みのも必要だ。例えば京都大学ではレベル1、2、3、4、5と自粛レベルを決めているが、政府としても緊急事態宣言を状況に応じて2から3、悪くなったら4、また2に戻すなど、0と1ではなく、5段階くらいに分けるといいのではないか。感染症に怯える気持ちも大事だが、経済が潰れて人が死ぬということにしっかり怯える気持ちも持っておかないと、かえって多くの人が死んでしまうということになりかねない」と提言した。

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 リディラバ代表の安部敏樹氏は「確かに失業と人は死ぬことには相関があるだろうが、ミクロに見れば銀行が残酷なコミュニケーションで追い込んでしまうとか、社会に不要とされているといった感覚を持ってしまうといったことが自殺に繋がってくると思う。本来、失業したなら生活保護にアクセスすればいい。その権利があるし、そのためにも法律がある。国が財政出動をした方が良いのは間違いないが、生活保護にアクセスすることが悪いことであるかのように思わせてしまう報道をしてしまうメディアの責任も大きいと思う。メディア、そしてそれを見ているオーディエンスはそのことを自覚し、コミュニケーションの仕方を変える必要もあると思う」とコメントした。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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