「いつまでも緊急事態宣言に甘えるべきではない」米山隆一氏が都道府県知事たちに苦言
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(3枚)

 西村経済再生担当大臣は12日、月末まで延長された緊急事態宣言について14日を目途に専門家会議を開き、一部の県について解除する方向で検討していることを明らかにした。

・【映像】「スタートは一律でいいと思うが...」米山隆一前新潟県知事が出演で全国知事会に苦言

 そんな中で行われたオンラインの全国知事会では、滋賀県の三日月知事が「愛知、岐阜、京都、大阪という特定警戒都道府県に挟まれている以上、警戒を簡単にはすべて緩めるわけにはいかない」と発言するなど、都道府県をまたいだ人の移動による第2波、第3波の感染拡大について懸念する声が相次いだ。西村大臣は「緊急事態宣言が仮に解除されたとしても、引き続き残るであろう特定警戒都道府県とそれ以外の解除された県との行き来については、引き続き自粛をお願いしていきたい」との考えを示した。

「いつまでも緊急事態宣言に甘えるべきではない」米山隆一氏が都道府県知事たちに苦言
拡大する

 12日の「ABEMA Prime」に出演した前新潟県知事の米山隆一氏は、全国知事会が緊急事態宣言の一部解除後も県をまたぐ移動の自粛を呼び掛けるよう国に要請したことについて、「正直、これを聞いた時はがっかりした。賛成だという人も多いと思うが、私には根拠が分からない」と指摘する。

 「ウイルスには県境は関係ない。確かに感染者の多い地域から少ない地域に移動すれば感染を広げてしまうので、人口10万人あたりの感染者数が30人を超えている東京都から、10万人あたり3、4人くらいの新潟に移動するなと言うのは仕方がないと思う。しかし同じく10万人あたり3、4人くらいの地域間で移動するなという理由については、誰も説明ができないはずだ。そのような不合理なことを国民や住民に言ってはいけない。都道府県単位で色々なことをやっているので、県をまたいで移動されると捕捉が難しくなって困るということはあると思うが、それは行政間で仕組みを作って解決すべきことだ。そもそも、緊急事態宣言に頼ったことが残念だ。よく考えて欲しい。今まで緊急事態宣言が無ければできないことをしていただろうか。自粛を呼び掛け、衛生管理をし、医療体制を整えるということは、宣言がなくても対応してきたはずだし、僕だったらやれたという自信もある。緊急事態宣言によって全国一斉に自粛が始まったことは感染予防の面で良かったが、知事はいつまでも甘えるべきではない。医療体制が逼迫していないのに、県境を閉鎖しようとするのは、知事としての仕事の放棄だと思う」。

 その上で米山氏は「よく“命と経済”という言い方をするが、それにも違和感がある。“皆さんは10万円で人を殺して、10万円で自殺することを知っていますか?”と聞きたくなる。人は100万円で死ぬのではない。10万円で死ぬ。東京の人には伝わらないかもしれないが、地方はありとあらゆるものがぎりぎりで回っている。これが続けば、ステイホームのまま餓死してしまうことになる。我々がステイホームしているのはコロナから助かるためであって、経済で死ぬためではない。一斉に経済活動を再開させれば第2波・第3波が来てしまうので、個別に再開させていくしかない。そして、そのためには理屈がいる」と訴えた。

「いつまでも緊急事態宣言に甘えるべきではない」米山隆一氏が都道府県知事たちに苦言
拡大する

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「米山さんのおっしゃる通りだと思う。小池都知事が“都知事は社長かと思ったらそうじゃなかった”というようなことを言っていたが、都道府県は自治体として独立している一方、どうしても国による全国一律の判断基準を求めてしまうという、一種の下請け的な感覚があると思う。だからこそ、それぞれの判断が求められていると思う。例えば東京の都心部と埼玉県の大宮などでは感染状況はあまり変わらないだろうが、同じ東京都でも都心と奥多摩町では医療体制が異なるという問題がある。つまり埼玉と東京の境を塞ぐよりも、奥多摩へ向かう道路やJR青梅線を塞いだ方がいいのではないかという話になってくる。さらに、どんどん県境を封鎖して感染者を増やさないようにする“ハンマー・アンド・ダンス”も大事だが、一方でそれをやりすぎると経済が持たなくなってくる。そうなると、都道府県によって感染予防と経済のバランスを見ながら対応は変えていかなければならないことになる。そこが知事に求められていると思う」と指摘した。

 また、緊急事態宣言の解除基準について米山氏は「僕なら、解除・再指定の際の基準は都道府県に任せてくれと言うだろう。それも立派な基準だ。新型コロナウイルス対策は、発症した人、重症化した人のための医療体制が維持できるかどうかの勝負だが、それが都道府県ごとに全然違うからだ。日本人は国の影響を受けやすいので、一定の基準を国が決めるのはいいが、詳細は都道府県に任せるというのが正しいやり方だと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:「スタートは一律でいいと思うが...」米山隆一前新潟県知事が出演で全国知事会に苦言

「スタートは一律でいいと思うが...」米山隆一前新潟県知事が出演で全国知事会に苦言
「スタートは一律でいいと思うが...」米山隆一前新潟県知事が出演で全国知事会に苦言
米山隆一前新潟県知事が知事たちを辛口評価「吉村さんは荒っぽい」「国政でやるのは勘弁」
米山隆一前新潟県知事が知事たちを辛口評価「吉村さんは荒っぽい」「国政でやるのは勘弁」

■Pick Up

【Z世代マーケティング】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 | VISIONS(ビジョンズ)

この記事の写真をみる(3枚)