永世名人の大いなる壁 都成竜馬六段、谷川浩司九段に師弟対決に辛勝も「すごい差を感じた」/将棋・AbemaTVトーナメント
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 将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Cリーグ第1試合、チーム康光VSチーム糸谷が5月23日に放送され、先鋒戦で都成竜馬六段(30)が師匠である谷川浩司九段(58)との三番勝負で2勝1敗、+1ポイントを獲得した。勝ち越しこそしたものの、勝利した第1局では完敗寸前まで追い込まれての内容だっただけに、永世名人の有資格者である師匠の大きさを痛感する戦いとなった。

▶映像:必死の形相で戦う都成竜馬六段

 およそ勝利した棋士の表情からは程遠かった。勝敗数だけで見れば、十七世名人の有資格者である師匠・谷川九段に2勝1敗の勝ち越し。チームにとっては大きな+1ポイントだが、内容を振り返ると素直に喜べなかった。

 瞬発力に勝ると言われる早指し戦。実績においては比較にならないが、この局地戦においては、都成六段も十分に谷川九段と対抗できる、というのが周囲の予想にもあった。ところが第1局は、むしろ都成六段の方が熟考を重ねて、時間に追われる展開に。都成六段の敗勢で迎えた最終盤、華麗な詰みで決着させようとした谷川九段のミスに助けられる形で勝ちを拾った。本人も「正直、この将棋は負け将棋だった」と語るほど、内容では完敗だった。

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 続く2局目、またしても序中盤で長考し、時間が足りなくなった。同じ失敗は繰り返さまいと、谷川九段も優勢になった後も慎重に指し進めた結果、都成六段の完敗。この事態に、谷川九段からも「1局目、2局目とあまりにも都成君の出来がよくないので心配」とまで言われてしまった。

 内容から見れば2連敗で決着していたところ、拾ったようなチャンスで迎えた最終第3局。これ以上、恥ずかしい将棋は指せないとばかりに真剣な表情で盤に向かうと、見守っていた棋士たちからは「すごく気合が入っている。顔つきがかわった」「めちゃめちゃいい顔している。もとからイケメンだけど、なおさらかっこいい。ファン増えた」という声も出た。

 角交換からの向かい飛車となった戦いは、ようやく満足のいく熱戦で勝利。本人も「なんとか3局目はいい内容で戦えた」と少しだけ表情を緩めた。それでも3局を振り返って感じたのは、偉大なる師匠・谷川九段との大きな差。「すごい差を感じたというか、自分が常に秒読みで追い込まれる展開で、常に師匠が余裕を持たれていた」と、大きな壁の高さ・厚みを実感した。また、谷川九段からも「いろいろ考えていただいて、師弟戦が実現したんですが、結果も内容もあまりよくなくて申し訳ない」と反省の弁が出た。

 立ちはだかる大きな師匠と、なんとか迫ろうと努力する弟子。次に見られる師弟対決は、この時以上の内容でファンの胸を熱くするはずだ。

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◆第3回AbemaTVトーナメント

 持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。

◆出場チーム&リーダー

 豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)

ABEMA/将棋チャンネル)

▶映像:必死の形相で戦う都成竜馬六段

師匠・谷川浩司九段に立ち向かう都成竜馬六段
師匠・谷川浩司九段に立ち向かう都成竜馬六段

▶映像:小山初段の「立てる」振り駒

注目される小山初段の振り駒
注目される小山初段の振り駒

永世名人の大いなる壁 都成竜馬六段、谷川浩司九段に師弟対決に辛勝も「すごい差を感じた」/将棋・AbemaTVトーナメント

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