インドを襲う“コロナ禍×バッタ禍”のダブルパンチ 「最悪のタイミングだ」
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 地面から飛び立ち、空や住宅街をも覆いつくす大量の生き物。これらは全て「バッタ」だ。このバッタの大量発生による被害が、世界の食と経済の安全保障を脅かしているという。

【映像】空・街を覆い尽くすバッタの大群

 CNNは、新型コロナウイルス感染拡大との闘いが続くインドで、バッタが約30年ぶりの規模で大量発生していると報道した。一方、インドの新型コロナウイルスの感染者数は現在、世界第5位の27万6146人にのぼっている。

 コロナ禍に起きた“バッタ禍”。被害を受けた現地の農家の男性は「畑の収穫物、例えば麦などの葉っぱを食べられてしまう。収穫物を食べられると被害受けることになる」と話す。

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 国連食糧農業機関(FAO)によると、大量発生しているのはバッタの中でも移動や繁殖が早く、特に大きな被害をもたらす「サバクトビバッタ」という種類。成虫は1日に最長150kmの距離を飛び、その間に2g前後の体重と同じ量の野菜などを食べるという。その群れは1km~数km四方の規模になり、1km四方の成虫の数は8000万匹にも達する。

 群れを追い払うには、火をたいたり爆竹や太鼓などで大きな音を立てたりすれば効果があるといい、ニューデリー当局はバッタ襲来への準備態勢を呼び掛けている。さらに、被害はインドだけにとどまらず、パキスタンやスリランカまで及んでいる。

 そして、このバッタ禍は新型コロナウイルス同様「第2波」の懸念も。今年の夏に発生するとみられる第2波は、第1波の20倍もの被害を生むと想定され、1兆9000億匹の規模になると国連は推定している。

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 コロナ禍の中襲来した“バッタ禍”は「最悪のタイミングだ」と専門家は話す。

 「昔から十年~十数年周期とかで大きい規模の(発生)はあるが、これから季節的に農作物の収穫を迎える中で、労働する人たちがコロナウイルスと戦いながら、しかもバッタにも対処しないといけないというところでうまく防除に向かえるかどうか。そういうリスクは高いと思う」(岡山大学大学院・宮竹貴久教授 昆虫生態学者)

 では、このバッタの大量発生を食い止める方法はあるのか。

 「成虫になってからだと散布しても逃げていくので、モニタリングして幼虫の群れが出てきた時に農薬を散布するというのが一番効率的な方法。今回の規模は大きいが、周期的に発生を繰り返してきているので、特にこのバッタの被害だけを考えるとそれほど深刻に考える必要はない。ただ、今回コロナ禍でのバッタの発生というのは経験したことがないもの。平常時はバッタの防除に国が予算をあげて躍起になるが、(コロナで)対策ができなかった時にバッタがどれだけ広がるか。そこは注意した方がいいと思う」(同)

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 バッタが大量発生している原因について、『ニューズウィーク日本版』最新号の記事は、気候変動の影響で野生動物の生息圏が狭くなっていることなどが考えられるとしている。バッタの群れは、日本に例えると目黒区(14.67平方km)や渋谷区(15.11平方km)に匹敵する大きさ。同誌編集長の長岡義博氏は「その広さで進んでくるものに対して殺虫剤を撒いても、決定的な効き目があるとは思えない。素人の考えでは食べてしまえばいいのではとも思うが、サバクトビバッタは毒を持っているそうなのでそれもできない」と話す。

 この先、バッタによる食糧難が引き起こされると、地政学的な問題も出てくる可能性があるという。長岡氏は「インドでは先進国の2カ月遅れぐらいでコロナの感染者が増え始めている。今、1日9000人ペースだ。しかも都会から地方に帰ろうとする農民の間で増え始めている状況で、地方がコロナとバッタのダブルパンチをくらってしまう可能性がある。12億の人口大国であるインドが食糧難で不安定化すると、地政学的な影響が周辺地域に出るかもしれない」と懸念を示した。

ABEMA/『けやきヒルズ』より)

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