コロナ禍の状況の変化、カメレオン型人間ではなく“社会的シマウマ型人間”に 臨床心理士が提案
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 新型コロナウイルスで落ち込んだ消費を活性化するために政府が打ち出した「GoToキャンペーン」のトラベル事業が、今月22日から開始される。当初は8月からの予定だったが前倒しされた。

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 GoToキャンペーンのトラベル事業では国内旅行の料金が最大で35%割引されるが、東京をはじめ各地で感染者が増えている状況下でのスタートには、感染拡大への懸念も出ている。西村経済再生担当大臣は12日、「航空・鉄道・バスなど感染防止策を徹底していただきたい」「会食などする時も、消毒や換気、距離を取るなどしながら防止策を徹底」と慎重な考えを示しつつも、今後の状況次第では休業要請を行うと話している。

 制限と緩和のバランスについてどう折り合いをつけていけばいいのか。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は、「我々はコロナの問題を1、2年といった長期的な視野で見ないといけない」とした上で、日々変わる状況への対処の仕方について次のように提案する。

コロナ禍の状況の変化、カメレオン型人間ではなく“社会的シマウマ型人間”に 臨床心理士が提案
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 「この間の政府の対応はちぐはぐに見えるしいろいろな変化がある中で、変化の内容ももちろん大事だが、その数が多ければ多いほど人によっては精神的に疲れたり、ストレスが溜まったり、人生で自分が今どこにいるかわからないといったことも場合によってはあると思う。心理学で“カメレオン型人間”という言葉があって、周りの状況や人間関係に合わせて自分をうまく変えていけるポジティブな特性を示したものだが、今カメレオン人間になりすぎると却って自分が大変になってしまうということがある。

 一方、カメレオン型人間の反意語で“シマウマ型人間”という言葉がある。シマウマの縦縞はいつも変わらないということだが、変わらないということをすべての場所で守り続けるのではなく、しかるべきところはその場の状況に合わせていかなければならないという意味で“社会的シマウマ人間”としたい。しかし、意図せずに国や社会、人の動きは変わっていく中で、自分たちが何を変えていくかというよりも、“自分が何を変えないか”を意識していった方がいいと思う。働き方や生活の中でいかに自分のルーティンを守るかを考えた方が、矛盾した状況やいろいろな変化がある中でも自分を保っていけると思う」

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 また、藤井氏は危機管理や対策意識には個人差があると指摘。それはコロナ禍においても同様で、(1)危機感先行タイプ、(2)社会変化で危機感喚起タイプ、(3)情報によって危機感変動タイプ、(4)危機感が低いタイプ、に分けられるという。

 このうち、多くの人は1~3に該当するだろうとした上で、「特に(1)の危機感先行タイプの人は、自粛をしすぎて逆に疲れて病んでしまう人もいて、それはまた別の対策が必要。一方で、こういう人たちは自分の周りの人たちに危機意識を喚起したり、いろいろな発信ができる人だとも思う。つまり、(2)の社会(学校,職場など)が変わらないと危機感が喚起されない人や(3)の情報に振り回されがちな人に対して、『今それをやっていいの?』『本当にそこに行って大丈夫?』と投げかけることはそれなりの影響力が期待できる。国が緊急事態宣言を再度発令する見通しは薄く、全体的なトップダウンの施策が期待できない中で、危機意識が高い人が周りの身近な人に呼びかけるボトムアップで危機感を保っていかなければならない。また、学校や職場などの集団の単位で、ルールや枠組みを決められるといいと思う」とした。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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