見解分かれるお盆の帰省「お上をあてにせず自分たちでリスクを考えるしかない」 仏教的にアリ?“オンライン墓参り”
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 お盆休みの帰省について西村経済再生担当大臣は3日、今週中に開かれる分科会を経て政府として方針を示す考えを明らかにした。

【映像】「オンライン墓参り」の様子

 早ければ今週末からお盆休みの企業もあり、金曜日には帰省する予定の人もいる。受け入れる側の対応も様々で、秋田県は帰省や県内訪問を控えるよう家族からの呼びかけをお願いしたほか、中国地方の5県は「ふるさとへの帰省について、もう一度家族と相談してみてほしい」とメッセージを発信した。一方、大阪府は感染対策を万全にした上での帰省は問題ないとしている。

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 そんな中、お盆の行事にまつわるあるサービスが話題となっている。

 お墓に綺麗な花を手向け、水をあげる男性。一見、普通のお墓参りのようだが、お墓で眠るのはこの男性の先祖ではない。よく見ると、お墓の前にはiPadが。行われているのは、依頼した人に代わってお墓参りをし、その様子を中継で結ぶ「オンライン墓参り」だ。広島県の墓石屋「かの石材店」が、コロナ禍を機に新しいサービスとして始めた。

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 「コロナの影響で実際にお参りもできない人が結構いらっしゃるということで、ZOOMを使ってオンラインでリアルに伝えようと。うちは墓石屋で、法事とかで納骨に立ち会うんですが、ちょうど今年の2月、3月に法事を中止にされたお客様が4件あった。お参りというか法事もコロナの影響で来られないんだというのを実感して、その当時ZOOM飲み会とかオンライン会議がすごく巷で話題になっていたので、みんなが集まって寄られるような仕組みはないかなと」(かの石材・狩野寛和社長)

 実際に依頼した人からは感謝の声が寄せられているという。一方で、このオンライン墓参りを巡りSNS上では、「オンライン墓参りとか ご先祖おこるかな…」「いくらなんでもオンライン墓参りて 墓の中から『冗談だろ?』って聞こえそう」「なんでもオンライン化すればいいってもんじゃないでしょう」と戸惑いの声が相次いでいる。

 オンライン墓参りは、仏教としてアリなのかナシなのか。大分県にある真言宗の寺院「金剛宝寺」の井上仁勝住職に話を聞いた。

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 「心をきちっとおさめなくてはいけないのが仏教なので、『こんなの私は納得できない』という人に押し付けてしまったら、その人にとってはいいご供養にならない。心でその人は仏様ごとに接するわけなので、やりたくないという人はやってはいけない」

 一方で、オンライン墓参り自体については「仏教は常に進化し続けているので、その一環にすぎない」とした。

 「いろいろな時代のニーズに合わせて仏教の基本的な考え方をどう応用していくかという中で、いろいろなものが生まれている。仏教界というのは、仏教の考え方を基にその時代に合わせた問題解決をしていくということをずっと繰り返してきたものだ。ご利益やご供養の功徳というものを遠くの方にお届けするのは、伝統的にやってきていること。それを実際に現代技術を使って音声なり映像なりで配信もつけようと言っているだけで、私たち的には新しい技術が1つの選択肢を与えているものだと思っている」(同)

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 お盆帰省の自粛を呼びかける地域がある一方で、政府は旅行を後押しする「GoToキャンペーン」を継続している。この点についてBuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は、「GoToに関して、たとえば日ごろ同居している家族同士が、感染対策を徹底したホテルへ車で行って帰ってくるのであれば、自宅で過ごすのとさしてリスクは変わらないのでは。しかし帰省となると、普段会っていない祖父母・子・孫が、世代をまたいで長時間接することになる。高齢者への感染リスクを考えると、GoToの家族旅行と完全に同列に論じることはできない」と指摘する。

 自身はお盆の帰省を見合わせたといい、「どういう行動に感染リスクがあるのか、かなりの程度明らかになってきている。そうしたリスクをどこまで引き受けられるか、あるいは引き受けられないのか。各自がケースバイケースで考えるしかない。ひとつひとつの行動について、OKかNGか『お上』に決めて指示してほしいという人もいるかもしれないが、政府や自治体の言い分はバラバラで、なかなか当てにならない。もはや自分の頭で考えるしかないと割り切っている」と見解を述べた。

 その上で、前述した「オンライン墓参り」のような新しい取り組みについては、「オンライン墓参りは一見シュールだが、帰省できないけれどご先祖様を供養したい、お墓をきれいにしてあげたい、と考えている人には悪くないサービス。単純に選択肢が増えるだけで強制でもなんでもないので、嫌な人はやらなければいい。欲をいえば、お寺が公式にやってくれるとお願いしやすくなる人も増えるのではないか」とした。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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