「選手同士の殴り合いを酒のつまみに」日大ラグビー部“暴行問題”関係者語る実態 発覚後にも反省どころか“脅迫”も
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 日大ラグビー部の元ヘッドコーチが昨年、部員の頭につまようじを刺すなどの暴行をしていたことが分かった。「つまようじの件に関しては、これは本当に有名な話で」「恐怖。ヘッドコーチへの恐怖はすごい覚えましたね」と関係者が語った今回の事件。元ヘッドコーチが部員に対して暴行を行ったのは、昨年11月に焼肉店に行った時のことだ。1人の部員の頭に、つまようじを7本刺し、店を出ても抜くことを許さず、寮までそのまま帰らせたという。

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 暴行はこれだけではなかった。元ヘッドコーチは、東京・稲城市にある学生寮に、複数の部員と住んでいた。自身の部屋などで未成年の部員に頻繁に飲酒を強要し、度数の高い酒を一気飲みさせるなどして酔い潰していたという。飲み会に参加したことがある元部員からは「「本当に限界がくるまで飲まされたって聞いています」その部屋に行くことがあるんですけど、落ちている缶の量が異常だなと」「それ一日で飲んだのっていう量なので」という声もあった。また、飲酒以外のことも無理強いされ「選手同士で殴り合いをさせて、酒のあてにしていた」という。

 さらに、長野県で行われた合宿では、部員の顔を蹴ったり、酒に酔った状態で耳や肩を噛んだりする暴行を行い、バーベキューでは熱くなったヘラを部員の腕に押しつけて火傷を負わせたという。

 日大は一昨年に起きたアメリカンフットボール部の悪質タックル問題を受けて「学生ファースト」に立ち返った改革を提唱していた。それにもかかわらず、半年後には、このような問題が起きていたことになる。

 部員への飲酒強要は、昨年5月、部外に知られることとなった。暴力や暴言に関しては、親からの指摘があった。ところがその後、元ヘッドコーチは反省することなく、“脅迫”という行動を取った。「殺して―」「チクったやつ殺して―」と、酒を飲ませた部員に送ったSNSのメッセージだ。「まじ追い込む」「家族も追い込む」と追い詰め、「すいません」「家族はやばいです」と返した部員に対し、「友達のヤクザに犯人探させようかな」とさらに送り続けた。「ヤクザ」を持ち出して脅迫する内容に、部員たちは恐怖を覚えたという。

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 その後、学生たちの告発を受けて、部が調査をした結果、部長と監督が元ヘッドコーチは退任に値すると判断したというが、元ヘッドコーチは「父親の介護」を理由として突如、自己都合で辞任した。ラグビー部から一連の経緯を報告された大学側は、部長や監督らに対し、厳重注意処分を行っている。

 ノンフィクションライターの石戸諭氏は「簡単に人間の意識はなかなか変わらないのが残念ながら事実。事件が起こる度にすぐ変わっていったら、いろいろな問題は起きていない。少しずつしか変わっていかないという現実を受け入れざるを得ない」とした上で、今回の事件における前向きな点に注目した。

 前進したのは、学生側からの行動だ。「すごくよかったと思うのは、ひどいところまで追い込まれた学生側がちゃんと告発をしたこと。LINEなどの証拠も揃えて、学生側がきちんと告発していったことや、まがりなりにも大学側が応えて、ラグビー部側も処分しようという動きになった。ひどい事件の中においてもよかったと思う部分がある」とコメントした。

 また、体育会の構造としても「行き過ぎた指導を是とする文化がまだ残り続けている。こういうのは時代遅れでダメなんだというのを、処分を通じて示していかないといけない」と、古く誤った体質が残る部活動において、今回の件が改善につながることについても言及していた。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

日大ラグビー部“暴行”関係者が証言
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