相次ぐ著名人のコロナ感染 臨床心理士が危惧する「かかってもしょうがない」という危機感の低下
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 スポーツ界や芸能界でも、新型コロナウイルス感染の報告が相次いでいる。男子テニスの錦織圭は、自身の公式アプリで感染を発表。現在は練習拠点のアメリカ・フロリダ州に滞在中で症状はほとんどないというが、8月22日から始まる復帰戦の欠場を発表、31日に開幕する全米オープン出場にも黄色信号が灯った。

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 また芸能界では吉本興業のココリコ遠藤章造も感染を公表した。遠藤は今月8日、極楽とんぼ山本圭壱、品川庄司・庄司智春ら4人でYouTubeのライブ配信を行い、その場にいた4人全員の感染が確認された。リーダー格の山本は自身のTwitterで「この度はYouTube撮影の際、感染対策が不完全だったため、コロナ感染を引き起こしてしまいました。まったく情けない話です。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪。庄司、遠藤も同じくSNSで謝罪した。

 相次ぐ芸能人の感染にSNS上では「いつ感染するかわからないからね。自分ももっと気を付けよう」「ここのところ芸能人の感染も多いし、すごい勢いで感染が広がっている気がするんだけど…」「もう誰が感染してもおかしくない状況。感染したことを謝ることも感染した人を非難するのもやめよう」といった声があがっている。

相次ぐ著名人のコロナ感染 臨床心理士が危惧する「かかってもしょうがない」という危機感の低下
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 明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏は、相次ぐ有名人の感染報告について、危機感の上下という視点で解説。「志村けんさんや岡江久美子さんがコロナの感染で亡くなったことは、かなり危機感を喚起したと思う」と、当時は感染防止に対する意識の高まりを得られたとしつつも、「そこから少し時間が経って、コロナへの対策にも、みんなが心的に疲れている状態が続いている」と分析。さらには「緊急事態宣言が解除され時間が経ち、GoToトラベルも始まり、社会活動が一定程度営まれている中で、これだけ多くの人がかかると、身近に迫ってきていると感じる一方で、誰がかかっておかしくないと考えるある種の諦めの状況。自分がかかってもしょうがないというような、危機感が逆に下がるという変化も想定される。そこには警鐘を鳴らしたい」と、感染防止への意識低下を危惧した。

 また藤井氏は「我々の中にさまざまな要因でフラストレーションが溜まっていると、『今まで大丈夫だった』『みんなもやってるし』などと、無意識に判断が歪むことがある。特に集団の中にいると個人の冷静な判断がしにくくなり、例えば『以前のように楽しくみんなで飲み食いしたい』という潜在化されていた欲求が実際の行動に現れてしまうことがあるので注意したい」と付け加えた。

 また、著名人が謝罪コメントを出すことについては、「謝罪する必要はないという声もあるが、我々はコロナでなくとも、たとえば病気、検査で入院する時に仕事に穴を開ければ謝罪する。本人が謝罪することで自分の中でけじめをつけるという意味ではいいと思う」と理解を示し、「あとは周りが叩いたり、必要以上に詮索しないのが大事」と加えていた。

ABEMA/「ABEMAヒルズ」より)

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