将来、営業職は要らなくなる?…リモートワーク時代に必要なスキルとは
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 コロナ禍によって一気に普及を見せたリモートワーク。特に顧客への挨拶まわりや飛び込み、夜の会食など、敬遠されがちな業務も多かった営業の現場は大きな変化を迫られているようだ。

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■リモート営業で業績も好調、新人研修にも応用

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 企業の総務を対象に喫煙環境のコンサルティングを行っているフィリップモリスジャパンの日高奈採さんは、「移動時間がなくなったので、その分を新規のお客様を獲得するための活動に充てたり、既存のお客様のフォローアップに回せたりできる」と前向きだ。業績への影響も少なく、むしろ1日3件しかできなかった商談も5件はできるようになった。さらに時間や場所の制約がなくなったことで、顧客との関係構築にもプラスになっているという。

 さらに日高さんは、上司の齋藤洋充さんを相手に、リモートで商談の練習も行う。これまで武器にしていた、自身のキャラクターを活かしたトークがリモートでは難しくなったと感じ、新たなスタイルを開発している。齋藤さんは「ずっと聞き手側に回っていると集中力が途切れやすい。自分が一度にたくさん話すよりも、いかにたくさん先方に話してもらうかが大事だ」とアドバイス。質問数を2倍に増やすなど、試行錯誤を重ねている。

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 また、株式会社LITALICOメディア&ソリューションズで広告営業を担当する村田香さんは、新人教育もリモートで行っている。「お客様の了承を得て商談の内容を録画させていただき、それを新人に見せることで商談のイメージを掴んでもらうことができている」。

 先輩の商談に同席し、営業トークを学んでいた頃では考えられないメリットも。今月入社したばかりの岡田夏歩さんは「どういう表現で伝えていたのだろう、というところも、巻き戻して見ることで勉強できる」。

■一方、リモートが難しい業界では…

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 完全リモートでの営業が難しい住宅メーカーの積水ハウスでは、顧客に専用ゴーグルを無料で配布、VRによって展示場の様子などを可能な限り体感できるように工夫している。ステイホーム効果で住宅需要が高まり、ネットからの問い合わせは約3倍に。とはいえ、リモートでは難しい場面も残るため、対面も組み合わせつつ、ハイブリッドな営業活動を展開している。「コロナ前は展示場でお客様と初めてお会いすることが多かったが、スタートが変わった。素材感、質感など、実際に目で見て分かる部分も多い」(横山勝哉・熊谷南店店長)。

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 そんな中、苦境に立たされているというのが、実演販売士歴14年のナックル井上さんだ。これまで回った展示場は全国で1200カ所以上、1日の最高売上は1000円の洗剤730個だという。

 ナックル井上氏は「働き方が本当に変わった。コロナ前は人為的に“密”を作って喋っていた。土日は必ず仕事が入っていたが、展示会場に人が集まれなくなったので、通販と、商品動画を撮ってサイトで流したり、店頭で流したりしている。最近ではスタジオと店舗をリモートでつないで、店頭を歩いている人たちに向かって声をかけるというのをやっているが、これが売れない(笑)。大変だった」と話す。

 「リモートでもできるとは思うが、“熱の共有”ができず、もどかしいと感じることがある。実演販売の職業の人間はみんな思うと思うが、自分の目の前で誰かが“あっ、すごい”と驚く瞬間が見たい。もうコロナ前には戻れないと思っているので、セミナーをやっているが、やはりオフラインでやっていた時の熱量とは違う」。

■営業職は将来無くなる?これから必要なスキルとは

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 他方、米・テスラモーターズは営業職をなくしたことで成功を収めているという。著書『営業はいらない』で「あと10年で営業職はなくなる」と推測する「日本創生投資」の三戸政和代表は「テスラはトヨタや日産のようなディーラー網ではなく、ほとんどが直接販売だ。イーロン・マスクCEOがサイバートラックを販売したが、インターネットで“これを売る”と発表してから5日ほどで25万台くらいを一気に売った。中間マージン、無駄な営業コストが無くなれば、消費者は質のいい物をリーズナブルに買うことができる。両方にとってメリットしか無い」。

 さらに三戸氏は「営業というのは、基本的には“情報のマッチング”で、それがテクノロジーが代替できる時代になってきている」と話す。

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 「例えば町工場が膨大な種類のネジの中から必要なものを選ぶのに、これまでは営業マンが選び、おすすめしてきた。それが“間接材のAmazon”と呼ばれるモノタロウでは、工場の特性を自動的に理解するプラフォームが営業マンの代わりにレコメンドをしている。また、医師に対する説明や接待など、最も営業コストをかけていたといわれるのが医薬品業界だ。しかしエムスリーが運営する『MR君』というプラットフォームの場合、製薬会社が出している薬とお医者さんが欲しい薬のマッチングを行ってくれるので、コストが60分の1くらいになったといわれている」。

 その上で、人間的な要素が残っていく部分について三戸氏は「営業職に就かれている方というのは企業の最先端でビジネスを作っている、色んな能力を持っている人だと思う。私は強引な営業を“営業公害”と呼んでいるが、そうではなく、自分の秀でた能力を違うところで使っていくことをしていけばいいと思う」と話す。

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 「営業部女子課の会」の太田彩子代表理事は「移動が無くなったことで、育児や介護、色んなことを両立しながら働くことができ、生産性の高い働き方が叶えられるようになったのは、多くの人にとってもチャンスだと思っている」と話す。一方、リモート時代に評価される営業人材について、「対面では存在感、威圧感みたいなものがあるほうがアピールできたが、画面上ではそれがフラットになった。雑談もなくなってしまいがちなので、より本質的な営業が期待されると思う。たとえば内容をより的確に訴求できることが必要だ」とした。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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