「リモートワークができない人もいる」との反論も…サイボウズのキャンペーン“がんばるな、ニッポン。”の真意とは
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 コロナ禍での働き方として政府も推奨してきた「テレワーク」。ただ、東京商工リサーチの調査(6月29日~7月8日)によれば、「実施している」とした企業が31%あまりだったのに対し、「現在は取りやめ」「一度も実施していない」が70%以上と、政府の「7割テレワーク」とは真逆の実態が明らかになっている。

・【映像】"がんばるな、ニッポン"働き方改革の新語?

 そんな中、「社員に通勤をがんばらせることは必要なのか?」として、「経営者のみなさまへ。通勤をがんばらせることは、必要ですか?がんばるな、ニッポン。これからも、テレワークという選択肢を。」と呼びかけるサイボウズのCMが話題を呼んでいる。

 1997年に創業、グループウェアやチームワーク強化メソッドの開発、販売、提供を手掛けてきたサイボウズは、2010年からテレワークを導入している。

「リモートワークができない人もいる」との反論も…サイボウズのキャンペーン“がんばるな、ニッポン。”の真意とは
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 企画・制作を担当した同社コーポレートブランディング部長の大槻幸夫氏は「1年くらい前から考えてきたメッセージだ。日本人は無駄な頑張りをしていることが多いので、そこを見直してみませんか、という意図だった。そしてコロナ禍でも満員電車に乗って通勤されている方々が多かったので、何か出せないかと。今年はオリンピックイヤーなので、日本人の感覚として刷り込まれている“がんばれニッポン”に対し、“がんばるな、ニッポンのビジネスパーソン”という形で出してみることにした。“がんばりすぎるな、ニッポン。”などのキャッチコピーも考えたが、インパクトがどんどん薄れていってしまう。“がんばるな”という強烈なコピーにすることで、“がんばるってどういうことだっけ?”と一旦立ち止まって考えると思った。サイボウズとして大掛かりなテレビCMを出すのは初めてだが、40代以降のマネージャー層の男性や、若手の女性など、色んなお電話やメールを頂いている。本当にこれだけ多くの人に届くんだと驚いている」と話す。

 他方、「テレワークの押し付け。労働者を代弁してる気になるなよ」「病院はテレワークできない。見るたびに不愉快」「テレワークしてる人は頑張ってないみたい」「この言葉の真意を15秒程度のCMに詰め込むのは不可能」といった意見も少なくない。

 『週刊東洋経済』の山田俊浩編集長が「サイボウズの青野社長が働き方改革についてのメッセージを出し続けてこられた方であるというバックグラウンドを知らないと、“がんばらないといけない人たちがいるから助かっているんじゃないか”というような反発が来るはずだ。企画の段階でリスク分析をし、“綱渡りのものになりそうだという認識はなかったのか」と尋ねると、大槻氏は「明らかに来るだろうと覚悟はしていたし、“このメッセージでいいのか”という社内の反対の声も大きかった。企画段階からずっと悩んでいたところはある。僕たちとしては、出社する方々が安全安心に出社できるように、テレワークでいい人は出社しなくていいよね、ということを伝えたかった」とコメント。

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 「今だから言えるが、サイボウズも10年前はブラック企業で、バリバリ働くしかなかった。しかしこの10年間、青野社長が働き方改革を進め、自分の中の“昭和のおじさんマインド”も少しずつ変わってきたと思う。これからは会わないとできないとか、時間をかけないとできないということが減っていっていくと思うし、その流れは止まらないと思う。特に日本は少子高齢化が進んでいるので、効率的なリモートを一度身につければ、会わなくても根付いていくんじゃないかと思うし、社会全体として、そういう認識にどんどん変化していくといくことが大事だ。そして最も大事なのが多様性だ。がんばらない選択肢をする人もいていいし、テレワークができない会社もある。“なんであいつは”ではなく、お互いを認められるような関係性につながっていけばいいと思う」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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