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 第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞「新聞記者」でメガホンをとった藤井道人監督の最新作「宇宙でいちばんあかるい屋根」が、9月4日より全国公開される。主演の清原果耶演じる大石つばめが恋するお隣の大学生・浅倉亨に扮したのが伊藤健太郎だ。

 伊藤といえば、2014年のデビュー以来、時代劇から青春コメディ、ラブストーリーまで幅広いジャンルの作品で経験を積み、近年ではドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ)、19年後期の朝ドラ「スカーレット」(NHK)など話題作に多数出演。第42回日本アカデミー賞では新人俳優賞と話題賞(俳優部門)に輝くなど、実力派の若手俳優として注目を集めている。そんな伊藤に本作の撮影を通じて得たことについて聞くと、「人との繋がりの大切さを再確認させられた」という言葉が返ってきた。話を聞くと、伊藤は幼稚園時代の恩師からもらった“ある言葉”があるからこそ、多忙を極める役者業にも常に全力で打ち込めているのだという。果たしてその言葉とは?

清原果耶さんに圧倒されてしまった

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ーー今作のオファーを受け、どのような心境で撮影に臨みましたか?

伊藤:台本を1ページ1ページ丁寧にめくって、1行1行をすごく大事に読んでから撮影に臨んだ記憶があります。その当時は、まだコロナの影響がなかった時だったんですけど、それでもすごく「家族の存在」や「人との繋がり」というものの大切さを再確認させられましたし、今ではそれをより強く感じています。この作品に参加できることの喜びをすごく感じましたし、他の素敵なキャストの方と並んで自分の名前が入っているのが、すごくうれしかったです。

ーー「家族の存在」「人との繋がり」を強く感じたというのはコロナ以外でも何か理由はあるのでしょうか。

伊藤:前から「人との繋がり」はすごく大事だと思っていました。そういうものを描いた映画なんかを観て心を揺さぶられることもよくあるんです。この台本を読んだ時は、それと似た思いになりましたね。

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ーー主演の清原果耶さんと共演してみてどのような印象を受けましたか?

伊藤:僕より遥かに大人でした。しっかりしている。醸し出す雰囲気もそうだし、主人公として作品の真ん中に立つ人として、しっかり演技や人柄でチームを引っ張っているのを目の当たりにして、ただただすごいなと。撮影当時、彼女は17歳でしたけど、ちょっと圧倒されてしまった覚えがあります。

ーー撮影以外のオフの印象はいかがでしたか?

伊藤:オフの時間に話していると、どこにでもいる“普通の17歳の女の子”なんです。なのに一度スイッチが入ると一気に女優になる。その明確なスイッチというものが、きっと彼女の中にあるんでしょうね。一緒に演技していてもどこか見入ってしまう感じがありました。

“隣の家に住む憧れのお兄ちゃん感”は表現できた

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ーー伊藤さん演じる浅倉亨は割とどこにでもいる大学生というか、あまりクセがない。だからこそ難しい部分もあったかと思うんですが、演じてみて課題に感じたことはありましたか?

伊藤:“芝居をしていない芝居をする”というのが大変でしたね。仰る通り、享ってわりと普通の人なんです。特徴といえばバンジョーを弾いていることくらい。クセのある役を演じる時は、過去に発表された作品の中にたくさんヒントが転がっているので、やりやすかったりするんです。でも“どこにでもいる人”を演じるのは実は難しい。僕の場合はそういう役柄を演じる時、どこか素でいなくちゃいけないという意識が生まれるんですけど、享は素でやると少しイメージから離れてしまうと思いました。ナチュラルさをいい塩梅で出すのが難しかったです。

ーーそんな試行錯誤を経て、出来上がった作品を観てどう思いましたか?

伊藤:見直すと、このシーンはこうしておけばよかったなと思うところもありました。ただ、それに関してはどの作品もそう。手前味噌ですけど、隣の家に住む憧れのお兄ちゃん感は表現できたかなと(笑)。それと相手の清原さんがすごく素敵なお芝居してくれるので、そこはすごくやりやすかったです。

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ーー現在公開中の映画「弱虫ペダル」など多数の作品に出演される中で、撮影も同時進行で行われるケースもあったと思います。頭の整理は出来ましたか?

伊藤:それは意外と得意なんです。現場に行ったら、チームの雰囲気がそれぞれ違うじゃないですか。その人たちの顔を見たりすることで、すぐ切り替えることができます。ただ番宣においては、ちょっとわからなくなる部分があるんです。このあいだも「今日から俺は!!」の番宣だと思っていたけど、途中から「弱虫ペダル」の番宣だということがわかって(笑)。それは「やばい、やらかした」と思いましたね。

ーーそんな中でも撮影で混乱しないのはすごいですね。

伊藤:良かったのかなと思ったのが、「スカーレット」を撮影している時に「今日から俺は!!」も撮っていたんですけど、明らかに作風が真逆じゃないですか。だから無理やりスイッチを切り替えられていたのかもしれないですね。ちょっと似た作風だったらもしかしたら難しかったかもしれない。けど、今のところ撮影に関しては多少重なっても割と問題なく臨む事が出来ています。

恩師から言われた心に残っている言葉

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ーー劇中では自由気ままな星ばあが、所々でつばめに放つ言葉が印象に残りました。いち視聴者として伊藤さんの心に響いた星ばあの言葉はありましたか?

伊藤:
「しぶとく生きろ」はすごく刺さりましたね。どんなに嫌なことはあっても何が起きても、確かに生きてさえいればいつかは良いことも楽しい時間も訪れる。シンプルですけど、改めていい言葉だなと感じました。

ーー伊藤さん自身、誰かに言われた心に残っている言葉ってあるのでしょうか。

伊藤:
幼稚園の先生と未だに仲良しなんですけど、その先生からある日「お前忙しそうだけど、大丈夫か?」と連絡がきたことがありました。実際すごく忙しい時で「まじでヤバイ。死にそう」と返事したら、「死にそうならまだ頑張れるな。死ぬってなるまで頑張れ。でも、死ぬってなったら、俺が飛んでいってやる」と言ってもらえました。その言葉はいつまでも経っても心の中にあるし、頑張ろうと思える原動力ですね。

ーー心が温まる言葉ですね。とはいえ、幼稚園の先生とこれまでずっと交流が続いているというのが驚きです。そして今でもすごく愛されていますね。まさに伊藤さんの「愛され力」を感じるエピソードというか。

伊藤:
愛されているのかはわからないですけどね(笑)。でも、なんでなんだろうな。僕は割と好き嫌いがはっきりしているんですけど、お世話になった人に対してはしっかり接するというのは大事にしているんです。あと、その先生とは特別一緒にいる時間が長かったというのもあります。幼稚園って終わった後、預かり保育というのがあるんですけど、僕は大体そこにいて、しかもその中でも最後まで残っていた子だったんです。そんな関係だったから、未だに繋がりがあるんだと思います。

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ーー序盤で「人との繋がりの大切さ」を話ししてくれましたが、まさにそんな生き方を体現しているようなエピソードですね。今でも日々、忙しく過ごされていると思いますが、自分を癒す時間はどうやって作っていますか?

伊藤:結局そこも人なんですよ。大切な人や友達が周りにはいる。そういう奴らと話するだけで、リフレッシュ出来るんです。それと美味しいご飯を食べる。割とそのレベルでスッキリできます。

ーーそんな伊藤さんが今ハマっている食べ物は何なんでしょうか?

伊藤:ブルーチーズ。ずっと前から好きなんですよ。今はブルーチーズに癒されていますね(笑)。

――意外な答えでした!(笑)今日はたくさんのお話ありがとうございました。

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テキスト:中山洋平

写真:You Ishii

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