1000日指しても勝負がつかないから「千日手」。将棋においては、同一局面が4回繰り返された時点で成立、指し直しになるものだ。勝ち負けをつける対局において、両者で「引き分け」という結論を出すことになるだけに、どちらか一方が手を変えて打開することも多いが、トップ棋士の一人・永瀬拓矢二冠(28)の捉え方はまるで違う。「棋力と局面が拮抗していれば、千日手は自然なんです。今の将棋界は、自分の感覚としては千日手があまりに少なすぎたんです」と、きっぱり言い放った。通算対局数が500局を超えたところで、千日手は既に40回。断トツの発生率を誇る永瀬二冠は、最善を尽くして何度でも繰り返す。