コロナ禍で住宅ローン返済に喘ぐ人が現れる一方、東京都心には中国富裕層のマネーが流入… “持ち家派”はどうすべき?
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 新型コロナウイルスがもたらした不況により、住宅ローンの返済に喘ぐ人が現れているという。

 住宅ローン問題・任意売却を支援する「ライフソレイユ」の加藤康介氏によると、「金融機関が一時的に返済を猶予していた時期には相談件数も減っていた。しかし、もうすぐ猶予期間が切れてしまうこと、一方で収入が回復せず支払いの見込みが立たないということで、今月に入って相談が非常に増えている」と話す。

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 ネット上には、「旦那の夏のボーナスがカットされた。マンションのローンどうすれば」「リモートワークが増えて残業が激減。残業代を見込んで組んだ住宅ローンも破綻寸前」といった悲鳴にも似た書き込みも。

■「破産という形で進めていこうと思っている」

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 群馬県に住む原田さん(仮名、51)も、住宅ローンの支払いがでいない状況に陥り、手に入れたマイホームを手放すことを余儀なくされた一人だ。

 原田さんは20年前、埼玉県川越市にある3300万円の一戸建てを35年ローンで購入。当時の月収は約26万円で、返済は月々7万5000円に加えボーナス時には24万円の支払いも条件だったが、収入が維持できれば繰り上げ返済もできるのではと考えていたという。

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 ところがその4年後に妻と離婚さらに転職を繰り返した結果、世帯収入は減ってしまった。4年前には銀行に相談、1年間、支払いを減額してもらったが、翌年にはさらに経済状況が厳しくなり、裁判所から差し押さえ・競売の通知が来てしまう。そして今年5月、専門家に相談し、任意売却することを決めた。「子どももいたので、私が出ていき、慰謝料の代わりに残りのローンを支払うことが離婚の条件になった。バイトをしたりして収入の方はなんとか維持しようとしたが、本職の給料が下がっていってしまった。以前は朝7時頃から夜12時まで働いていたが、徐々に身体の衰えも感じていた」。

 結果、自宅は1200万円で売却できることになったが。2200万円の残債のうち、1000万円が負債として残ることになった。「1000万をいきなり払うのはとてもじゃないが無理なので、破産という形で進めていこうと思っている。ローンから解放されることにはなるが、当然、ブラックリスト入りということになるので、キャッシュカード等は当分作れないことになる。それでも高望みせず、体が動くうちに違うアルバイトでもし働いておこうと思っている。変な言い方だが、独り身だし、生きていけると思う」。

■内覧希望者が続々…実は低金利で活況も

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 原田さんのケースについて、不動産コンサルタント会社「さくら事務所」の長嶋修会長は「35年間、所得が落ちず基本的な状態が変わらないという前提のローンだ。返済は決して楽ではないと思うが、月々7万5000円なので賃貸住宅でも同じくらいの額を払うことになる。だからものすごく無理な組み方というわけでもない」と話す。「賃貸派と持ち家派の議論があるが、自分の好きな方に進めばいい。ただ、持ち家は売ろうとしたときに損をして負債が残るというリスクがある。そこは残債と資産価値の目減り、あるいは上昇とのバランスを見て、なるべく価値が下がりにくいものを選ぶことが必要だと思う」。

 公益財団法人「東日本不動産流通機構」の資料によれば、首都圏の中古一戸建ての契約件数は緊急事態宣言下の4、5月は大幅に減少したものの、その後はコロナ前の水準にまで復調、7月に入ると、前年同期比で高い水準で動いているようだ。

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 東京・杉並区の閑静な住宅地にある、6000万円台という、決して手頃ではない価格で売り出されている住宅にも、内覧者が次々と訪れている。「弊社の場合、昨年と比べて多くのお問い合わせをいただいており、売り上げも20%増です」(笑吉不動産の瀬野雅人課長)。背景には0.5%を切る超低金利ローンが組めること、さらに今年中であれば前年の収入でローン審査が行われるため、通りやすい今のうちに買ってしまおうという考えの人が存在することが挙げられるようだ。

 前出の長嶋氏は「リモートワーク用に2DK、3DKからもう一部屋増やしたいというニーズもある。関東の郊外では新築一戸建てを2000~3000万円台で買うことができる。100%ローンでも、今の低金利であれば月々の支払い額は7~8万円台だ。また、税制優遇も踏まえれば月々5~6万台で買えてしまう。つまり、一部屋増やしても賃貸より新築一戸建ての方が安いじゃん、ということだと思う」と説明。「コロナとは関係なく、不動産市場は上位が15%、真ん中が70%、残りが“価値なし”に三極化している。上位15%は都心、駅前、駅近、郊外であっても駅前、駅近。市場にマネーが溢れ返っている今、ここはバブルになる恐れがあるくらいだそして真ん中の70%も、大半はだらだらと下がっていくので、下落率の問題になってくる」とした。

■中国富裕層のマネーが都心に流入…「賃貸派も投資家の視点を」

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 DEVEL代表で日本在住歴20年の中国人・李天琦氏は独自のAIを用いて不動産投資を行うシステムを構築。コロナ禍にも多くの日本の不動産を購入したという。

 李氏によると、不動産バブルで高騰する北京・上海などの物件より安価で買える上、品質も格段に良いこと、米中貿易摩擦が激化、アメリカの資産を別の国で換える動きが振興、さらにコロナ禍で諸外国の不動産が不安定になる中、日本の物件が安定した価格を維持していることなどから、中国人富裕層のマネーが流入しているのだという。

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 「ロックダウンや、渡航制限の影響で一時的に市場の取引量は減ったが、その後は世界的な金融緩和やマネーサプライが増えたことで、余ったお金が日本の不動産市場に流れ込んでいる。中でも中国人富裕層の間では東京都心の不動産の人気がもともと高かったが、他の選択肢のリスクが相対的に高まったので、最も安定的な日本に流れ込んでいるという状況だ。実は中国では70年後には国に返還しないといけないという制限があるが、日本の場合、一度買えばその土地の所有権は未来永劫ついてくる。そこにも魅力を感じている」。

 そんな李氏は自身のデータに基づき、「10年後に価格が購入時の半分以下に目減りしたという不動産もあれば、倍以上の価格になっていたという不動産もある。僕が出した結論は、不動産を買うかどうかと、賃貸に住むのかどうかは分けて考えた方がいいということだ。つまり投資家の視点に立って、賃貸派だったとしても投資として買えばいいし、持ち家派も10~20年後に資産価値を維持できるかにフォーカスして購入するべきだと思う」と指摘していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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