「包丁を握って見せつけた。パフォーマンスで脅しているという認識だった」 過剰な期待が生む“教育虐待”、親自身が気づくためには
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 「いい学校に入れたい」「有名企業に就職してほしい」と子どもに過度に勉強を強いる。そんな「教育虐待」をしたことがあるという親は約3割いる(出典:日経DUAL/2019年4月「教育虐待」特集)。

【映像】被害者語る「教育虐待」

 教育虐待とは、強制的な勉強や過干渉など子どもの気持ちや意見を無視した行為のこと。『ABEMA Prime』が取材した男性も過去、子どもに教育虐待を行っていたという。きっかけは息子が小学3年生になり、中学受験のため塾に通い始めたことだった。

 「学校とか習い事以外のほとんどの時間を強制的に勉強させて、間違えた時は怒鳴ったり、『殺すぞ』と言った。(息子が)居間で勉強していたが、その横の台所に包丁があったので、包丁を握ってそれを見せつけた。自分としてはパフォーマンスで脅しているという認識だったので、やりすぎだったなと思う」

 その後、息子は体調を崩し不登校になった。男性は妻の勧めで虐待の加害者更生プログラムに通い、そこで初めて自分の行為が虐待だと気づいたそうだ。男性は「他人に対しては、そういうことはおかしいって冷静に考えられても、自分の息子が、自分ができたことをできないというのは、当時の自分には納得できなかった」と振り返る。

■教育虐待する親の行動特徴

「包丁を握って見せつけた。パフォーマンスで脅しているという認識だった」 過剰な期待が生む“教育虐待”、親自身が気づくためには
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 自分がしていることが教育虐待だとどうすれば気づけるのか。臨床心理士の武田信子氏は、「自分だけで気がつくのは相当に難しいことだと思う。第三者に指摘されてもなかなか認めないし、自分にとってポジティブな情報ばかり集めていくと思うので難しい。ただ、もし自分はどうなんだろうと思う方がいるとしたら、“同じことを自分がされたらどうだろうか”と考えること。自分がされたら厳しいと思うことを子どもにやっているとしたら、それはもう危ないと思っていいと思う」との見方を示す。

 武田氏は、教育虐待する親の行動の特徴として次の6つをあげる。

・子どもの感情に共感できない
・子どもの将来を親が決める
・自分よりも上の学歴を求める
・子ども優秀な誰かと比較して非難する
・子どもの努力、プロセス、成果を否定
・子どもが遊んだり休んだりすることにイライラする

「包丁を握って見せつけた。パフォーマンスで脅しているという認識だった」 過剰な期待が生む“教育虐待”、親自身が気づくためには
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 では、子どもの反応から自身の行動を省みることができる部分はあるのだろうか。「言葉で嫌がることができればいいが、それができない場合、とりわけ小さい子どもの場合は体調を悪くするということがあると思う。それ以外にも普段と様子が違うということはあるが、親はそれでも気にしないという方が多いのでは。やはり周りの人たち、学校の先生であるとか少し年上の近所の人たちと普段から繋がっているとか、そういうことが必要になってくると思う」とした。

 教育虐待を防ぐために必要なこととして、ジャーナリストの堀潤氏は「親になるための教育はないし、親子とその上の世代で一緒に暮らすような環境でもないし、考える余力もなかったりする。“ああしなきゃ、こうしなきゃ”というプレッシャーがのしかかる中で、子どもの居場所づくりも大事だが、親の居場所づくりも必要になってくる。やはり親御さんもそれぞれのお子さんたちも、100いれば100の事情やケースがあるので、“親はこうだ”“教育虐待はこういうものだ”ということではなく、もう少し詳しく話ができるような丁寧な人間関係作りが社会に必要なのかなと思う」との見方を示す。

 自身が両親から、特に父親から教育虐待を受けてきたえにこさんは「本当にその通りで、親同士のコミュニケーションは本当に大事だなと思う。もし親同士がちゃんとコミュニケーションを取っていたら、うちの親ももう少し違った教育の仕方をしていたのではないかなと思う」と訴えた。
ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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