「サブスクリプションサービス」の認知度は86%、若年層ほど高い傾向
昨今、インターネットやスマートフォンの普及、消費者の意識の変化に伴い、サブスクリプションサービスがますます浸透してきていると言われている。
様々な媒体などで見聞きされている主なサブスクリプションサービスについて、12のジャンルをピックアップして知っているかを尋ねた結果、サブスクリプションサービスを1つ以上知っていた人は86%と高い認知率になった。世代別にみると、若い世代ほど認知率が高く、若年層では9割を超えていた。
世代や男女により認知しているジャンルに違い
サブスクリプションサービスのジャンルごとに認知状況をみると、「動画配信」が73%、「音楽配信」が67%、「電子書籍/コミック」が62%と、サブスクリプションサービスの代表格とも言えるデジタルコンテンツ系の認知度が高く、トップ3を占めた。次いで「自動車」(45%)、「スポーツ/エクササイズ」(43%)、「ファッション」(41%)など実際の商品を扱ったり、実店舗で利用するようなサービスが40%台の認知となった。一方「美容/コスメ」(24%)、「乳幼児/子供用グッズ」(22%)などは2割強の認知にとどまり、他のジャンルに比べるとまだ世の中には広く浸透していない様子がうかがえる。
世代別では、ほとんどのジャンルで若い世代ほど認知率が高い傾向だったが、唯一「自動車」ではシニア層の認知が最も高い結果となった。性別では「自動車」や「ゲーム」は男性のほうが認知率が高く「ファッション」、「美容/コスメ」、「食材/飲食」、「乳幼児/子供用」などでは女性のほうが認知率が高い傾向が見られた。
若年層の利用経験率はシニア層に比べると2倍の差が
次にサブスクリプションサービスの利用経験についてはどうか。今までにいずれかのジャンルのサブスクリプションサービスを現在、もしくは過去に利用したことがある人は51%で過半数となった。利用経験率も若い世代ほど高く、若年層の利用経験率はシニア層に比べると2倍の開きがあった。サブスクリプションサービス利用のハードルは、若年層ほど低いと言えそう。
また、サブスクリプションサービスのジャンルごとにみると、「動画配信」が40%で最も利用経験者が多いジャンルだった。「音楽配信」が23%、「電子書籍/コミック」が13%と続くが、「動画配信」の利用経験率の高さが際立っている。
世代別では、若年層の利用経験率はいずれのジャンルでも他の年代を上回っていますが、特に「動画配信」(全体+17%)、「音楽配信」(全体+17%)、「電子書籍/コミック」(全体+5%)、「ゲーム」(全体+8%)といったデジタルコンテンツ系のジャンルの利用経験率が他の年代に比べて高く、若者を中心に支持されているサービスと言えそうだ。
各ジャンルの認知者に絞ってみると、興味深い特徴が見られる。「スポーツ/エクササイズ」、「教育/学習」、「食材/飲食」、「美容/コスメ」などのジャンルを利用したことがある人は、全体ではそれぞれ3~7%と1割に満たないものの、認知者だけで見ると、いずれも利用経験は10%台となり、全体より2~3倍程度利用経験率は上がる。これらのジャンルは、認知者の増加に伴って、利用者の増加も期待できそうなサービスと位置付けられそう。
現在サブスクを利用している人は約4割、利用継続率は3割以上
現在サブスクリプションサービスを利用している人は全体の43%だった。ジャンル別では、やはり「動画配信」(33%)が最も高く、次に「音楽配信」(16%)が続く。その他のジャンルについては、現在の利用が1割に満たない結果となった。
一方、利用継続率を見ると様子が異なる。利用経験があり、なおかつ現在も利用中である、という人が最も多いのは「動画配信」の82%だった。次いで「音楽配信」が69%、「自動車」が58%で半数を超えている。「電子書籍」、「ゲーム」、「美容/コスメ」、「乳幼児/子供用グッズ」、「食材/飲食」、「スポーツ/エクササイズ」はいずれも40%台、「教育/学習」、「家具/家電/インテリア」、「ファッション/アパレル」でも30%台になる。
サブスクリプションサービスは、動画配信や音楽配信といった一部のジャンルを除き、利用者数はまだ決して多くはない。しかし、12ジャンル全てにおいて利用継続率が3割以上となっていることから、一度利用し始めると継続して利用されやすいサービスと位置付けられそう。
デジタルコンテンツ系は「2年以上」の長期利用が多い傾向
各サブスクリプションサービスを利用した人の利用期間について聴取した。「動画配信」、「音楽配信」、「電子書籍/コミック」、「ゲーム」は“2年以上”の利用者がそれぞれ40~60%台と、“3カ月以内”の短期の利用者の割合を上回っていた。オンライン系サービスは一度利用すると長期にわたり継続利用する傾向があるよう。
また、オンラインとオフラインの両方でサービスが提供されている「教育/学習」や「スポーツ/エクササイズ」についても、“2年以上”の割合は40%台で“3カ月以内”を大きく上回っており、オンラインサービスと同様に利用期間が長めであることがわかった。
一方、モノを購入・所有せずに利用する、モノの取り扱いを中心とした「家具/家電/インテリア」、「ファッション/アパレル」、「乳幼児/子供用グッズ」は、“3カ月以内”の利用者が40%台を占めている。これらのジャンルは、一時的に利用が必要になった人や購入前に試したいというニーズに対応した短期間向けのサービスが充実している傾向も見られ、住環境やライフスタイル、季節やトレンドの変化などに合わせて、一定期間だけ利用する人が比較的多いサービスと言えるのかもしれない。
デジタルコンテンツの利用金額は「1,000円未満」が半数以上
現在利用しているサブスクリプションサービスの月々の支払金額について尋ねた。「1,000円未満」が半数を超えているのは、「電子書籍/コミック」(66%)、「音楽配信」(52%)、 「動画配信」、「ゲーム」(共に52%)などのオンラインサービスで、「1,000~3,000円未満」の割合を加えると、月額3,000円未満の利用者が8割以上を占めた。一方、「教育/学習」、「美容/コスメ」、「食材/飲食」は、月額3,000円未満の利用者が30~40%台、且つ 5,000円以上の利用者も30%台となっており、利用価格帯は分散している。取り扱うコンテンツや商材によって金額が異なるプランがいくつか提供されていることもあり、支払い金額が分かれる結果となった。
また、「食材/飲食」は10,000円以上の高額利用者が約2割を占め、他のジャンルよりお金をかけている傾向がみられた。「スポーツ/エクササイズ」も、5,000円以上が6割弱と比較的高額の利用者が多いジャンルとなっている。
調査概要
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2023年8月
■対象者:20~69歳の計4,000名