この調査では、paizaが用意した企業リストのなかから調査対象学生が第1希望から第3希望までの企業を選択(選択肢にない場合は記入)。順位ごとに重み付けを行いランキングを作成している。

ITエンジニアとして就職を希望する企業

 ランクインした企業の特徴として挙げられるのは、ITエンジニア志望学生にとって身近なサービスを運営する企業が多い点だ。従来から人気の高い国内大手家電メーカーや総合ITソリューションの提供企業のほか、GoogleやLINE、AWS(アマゾン ウェブ サービス)など多くのユーザーを抱える有名デジタルプラットフォームやクラウドサービスの運営企業、任天堂、セガ、カプコンといったゲームメーカーが名を連ねる。学生にとって仕事内容がイメージしやすく、自分の仕事がユーザーや社会にどのように貢献するのか分かりやすい企業を希望する傾向が強いと言える。 

【写真・画像】 1枚目

※paizaが用意した選択肢のなかから、学生が就職先を選ぶ際のポイントとしてあてはまる項目を5つ選択。調査対象者「全員」が回答

ITエンジニアとして就職先を選ぶ際に重視するポイント

 上位は「給与がよい」「福利厚生が充実している」など待遇面で、一般的な学生と同様の傾向だった。ITエンジニアを志望する学生特有の項目としては、「自分が望む職種に就ける」(4位)、「研修制度が充実している」(5位)、「開発環境・業務環境が整っている」(8位)などが挙げられ、ITエンジニアとして自身の技術力を向上させやすい環境を重視していることが分かる。

 特に「自分が望む職種に就ける」かどうかは、近年、ITエンジニア職を志望する学生のなかで重要度が高くなっている。多くの学生はどの職種に配属になるか分からない「配属ガチャ」を恐れており、ITエンジニアの志望度が高い学生ほど入社後の職種が確約されている企業を選ぶ傾向が強くなる。

【写真・画像】 2枚目

※「人気トップ10企業」にランクインした企業を対象に、学生が就職先を選ぶ際のポイントを国内企業、外資系企業別に集計して比較

就職先を選ぶ際のポイント

 国内企業、外資系企業別で比較したもの。国内企業、外資系企業の選択理由トップ5はそれぞれ以下の通り。

【国内企業の選択理由トップ5】
・「給与がよい」(67.1%)
・「福利厚生が充実している」(55.7%)
・「社風が自分に合う」(42.8%)
・「研修制度が充実している」(37.5%)

【外資系企業の選択理由トップ5】
・「給与がよい」(75.5%)
・「自分が望む職種に就ける」(48.4%)
・「社会的な貢献度が高い」(40.5%)
・「休暇をとりやすい」(37.1%)
・「技術力に定評がある」(33.2%)
・「自分が望む職種に就ける」(36.9%)

 国内企業、外資系企業ともにトップは「給与がよい」となった。しかし、国内企業を志望する学生が重視しているのは「福利厚生が充実している」、「社風が自分に合う」、「研修制度が充実している」など企業内の環境や制度であるのに対して、外資系企業では「社会的な貢献度が高い」(国内企業:13位)や「技術力に定評がある」(国内企業:11位)を重視しておりはっきりと傾向が分かれた。

 トップ10に入っている外資系企業はグーグルとアマゾン ウェブ サービス ジャパンで、両社とも世界中にユーザーを抱える大規模サービスを提供している。よりサービスの社会性や技術力の高さに魅力を感じる学生が、外資系企業を志望していると考えられる。

 上記トップ5以外にも、外資系企業を志望する学生が国内企業を志望する学生よりも重視しているポイントとして「成果を出せば評価される仕組みがある」 (9.7ポイント差)が挙げられ、外資系を志望する学生はよりチャレンジングな環境で自ら成果を生み出しながらITエンジニアとして成長していきたいと考えている様子が伺える。

【写真・画像】 3枚目

※水色のグラフは調査対象者の全学生が回答したもの、青色のグラフは調査対象者のうちpaizaランクS・Aの学生が回答

 paizaでは、特許取得済みのプログラミングスキル評価システム「paizaスキルチェック」を提供。オンライン上で実際にコーディングテストを行い、受験者のプログラミングスキルを6段階(S~Eのpaizaランクを付与)で客観的に可視化します。上記はこの「paizaスキルチェック」でS(全受験者の上位2%)・A(同上位8%)ランクを取得した学生の回答をまとめたもの。※paizaランクの取得者割合は時期により変化する。

 全学生が企業選択の際に重視する項目とpaizaランクS・Aの学生が重視するポイントには以下のような違いがあった。

paizaランクS・Aランクの学生が【学生全体よりも重視すること】

・「技術力に定評がある」(S・A 6位/全体10位)
・「成果を出せば評価される仕組みがある」(S・A 7位/全体11位)

paizaランクS・Aランクの学生が【学生全体よりも重視しないこと】

・「休暇をとりやすい」(S・A 12位/全体6位)
・「研修制度が充実している」(S・A 10位/全体5位)

 この結果からは、プログラミングスキルがトップ10%の優秀層の学生は、入社後の研修制度だけに頼るのではなく、自らの努力で積極的に技術力を磨き実力主義で評価されることを好む傾向があると言える。また多くのS・Aランクの学生は自身の技術向上のために積極的に自己投資を行っており、投資によって向上したスキルに見合った報酬を求めて給与の高さを重視していると考えられる。

■まとめ/ITエンジニアの新卒採用を成功させるために

 今回は、「paiza新卒」に登録するITエンジニア志望学生に就職を希望する企業とその理由を調査しました。結果を見ると、「給与」「福利厚生」などの待遇面や「経営の安定性」、「有名かどうか」など企業としての安心感を重視する学生の姿が浮き彫りに。

 ただし、いくら採用活動に有利と言っても企業ブランドや待遇は簡単に変えられない。今回の調査から見えてきた、自社の工夫次第で変えられる項目のうちITエンジニアを志望する学生に魅力となりやすいポイントは以下の通り。ITエンジニア採用に取り組む企業には、学生向けの情報発信を行う際にこれらのポイントを踏まえることが重要といえそうだ。

【ITエンジニアの新卒採用で企業が学生に伝えるべき重点項目】

・職種別採用であることを伝える ※職種別採用を検討・導入する
・社風を伝えて自社に魅力を感じる学生を増やす、ミスマッチを防ぐ
・研修制度の有無や中身をアピールする ※研修制度を設立する、充実させる
・ITエンジニアの働き方(休暇の取りやすさ、リモートワークなど)について伝える
・自社の技術力の高さを伝える
・開発環境・業務環境を詳しく伝える
・成果で評価する仕組みがあることを伝える ※評価制度を見直す

【調査概要】
テーマ:ITエンジニア志望学生が選ぶ「就職人気企業ランキング」
調査期間:2024年2月28日〜2024年4月19日
調査方法:インターネットによる調査
調査対象:「paiza新卒」に登録する2024年卒から2027年卒までの、大学、大学院(修士課程)、専門学校、高等専門学校、大学院(博士課程)などの学生でITエンジニアを志望している学生
有効回答数:539名