◆証券会社が恋愛リアリティーショーとタイアップ─ “女性に刺さっているコンテンツは何だろう”がきっかけに

―まずSBI証券がYouTubeチャンネル「ビジネスドライブ」を立ち上げた経緯を教えていただけますか。

村上 元々、私どもは有償広告に力を入れており、新規の口座獲得などをKPI(重要業績評価指標)として測っていた中、潜在層の掘り起こしに課題を感じていました。その中で、金融や証券のことだけではなく、“お金のこと全般について知っていただく機会があった方が良いのでは”という仮説のもと、お客様の気付きになるようなメディアを立ち上げたいという目的でスタートしました。

 YouTubeチャンネルは、2021年10月に開設して以降、順調にチャンネル登録者数を伸ばしております。社内外問わず「チャンネル登録者数、すごいですね」と言われる機会は多くなってきており、潜在層の掘り起こしという意味でも、メディアが持つ重要度は上がっています。

―普段はどのようなコンテンツを配信しているのでしょうか。

徐家 金融に絡めた内容はもちろんですが、投資に対してのニーズが顕在化していない方々に向けて、「節約術」などの身近なテーマを扱いながらコンテンツ展開をしております。昨今は「推し活」を楽しまれている方が多いですが、時事ネタなども絡めながら、より多くの人の目を引くような動画制作を心がけています。

 YouTubeでは「若年層」を1つのターゲットとしていますが、ABEMAさんの恋リアとのコラボレーション動画を通じて、通常の企画ではなかなかリーチできなかった方々に対して働きかけることができました。チャンネル視聴者の割合も若年層が増加していて、数値としてポジティブな反応が見られています。

―ABEMAの恋愛リアリティーショーとコラボするに至った経緯は?

村上 私どもは今後のメインターゲットを若年層と見据えていました。一方、競合他社と比較してみると、女性との接点が特に弱い部分でした。“女性に刺さっているコンテンツは何だろう”と考えた時に、恋愛リアリティーショーが頭に浮かびました。

 ただアイデアが浮かんだものの、恋愛リアリティーショーと資産形成をどう結びつけるかが課題でした。徐家、そしてABEMAの担当者様と会話する中で、今回の企画へと昇華していきました。

―ABEMAとの取り組みは狙い通りいきましたか。

徐家 そうですね。ABEMAさんの恋リアとのコラボ動画はこれまで計2回ありましたが、ポジティブなデータはもちろんのこと、社内からのリアクションも大きかったです。実際に普段から恋リアを楽しんでいる女性社員からも反応がありました。そういった反響を肌で感じることができました。

◆番組ファンが見たくなるコンテンツをオウンドメディアに設置し誘導を促進

―SBI証券のオウンドメディアで配信するコラボ動画はどのような内容だったのでしょうか。

山田 恋愛リアリティーショーはABEMAの強みであり、非常にファンが多いジャンルです。まず私たちがご提案させていただいたのが、「さよならプロポーズ」とのコラボでした。この番組は、付き合いながらも結婚に踏み出せないカップルが、旅の終わりで「結婚するか」「別れるか」を決断するという内容ですが、今回、結婚を選択したカホさん・シュウヘイさん夫婦のその後を描きながら、投資家兼節約オタクのふゆこさんに2人の日常生活のVTRを見ていただき、日常の節約術などお金にまつわる知識を解説していただきました。

 夫婦が互いに協力して資産形成を目指す上では、お金に関する様々な知識が役立ちます。そういった部分は証券会社様とも、非常に親和性が高いのではないかというところで、まずは「さよならプロポーズ」とのコラボをご提案しました。

西木 コラボ動画を制作する上で意識したことは、ただお金に関する知識を得られるコンテンツを制作するのではなく、「さよならプロポーズ」のファンがしっかりと満足できるような作りにするということです。カホさん・シュウヘイさん夫婦の“その後”に迫る密着映像を撮影させていただき、結婚後の生活を、番組ファンに楽しんでいただきました。番組の世界観を大切にするべく、本編のMCを務めているヒコロヒーさんにも、コラボ動画撮影のご協力をいただいております。

 生活に必要な商品やサービスを得るには支出は避けられません。例えば、日常生活で喉が渇くと、自動販売機でドリンクを購入することもあると思いますが、その行動ひとつに対しても、ふゆこさんが「水筒を毎日持ち運ぶだけで、人によっては年間3万円程度浮く」など、細かく解説していきます。日常生活に寄り添いながら、お金について学べるコンテンツ作りを目指しました。

―番組ファンの満足度を高め、面白い動画を作ることが、結果拡散されることに繋がっていくということでしょうか。

山田 そうですね。一方、「ラブキャッチャージャパン」の企画では、「マネーの2択クイズに挑戦!答えを知る金狼を見破れ!」と題した動画を制作しました。「ラブキャッチャージャパン」シリーズは、“真実の愛”か“欲望の金”か、究極の選択の中で人間の本性が暴かれる恋愛リアリティーショーです。シーズン1で注目を集めた参加者たちが登場し、リアルな金銭感覚を語っていただきながら、2択形式のクイズに挑んでいただきました。視聴者もクイズに参加しながら楽しめるコンテンツを目指しました。

西木 また、SBI証券様のオウンドメディア上でそのコラボ動画を見てもらうための施策として、“人気恋愛リアリティーショーのその後が見れる”といった告知形式のCMをABEMA上で配信し、オウンドメディアへの誘導を図りました。加えて出演者のみなさまにSNSでの告知をお願いし、ABEMAからプレスリリース(広報リリース)も配信するなどで、コラボ動画視聴の最大化を目指しました。多重構造で告知を行うことで、動画の認知を深められたかなと考えています。

◆第3弾も公開 「ABEMAコンテンツ×金融・投資」の掛け算の妙に効果を実感

―いくつかのコラボ動画を配信した効果をSBI証券としてはどのように考えていますか。

徐家 ABEMAさんの恋リアとのコラボ動画は、我々のYouTubeチャンネルの登録者数増加に寄与していただき、特に新規層が増加しました。先ほど申し上げた通り、特に我々は“F1層との接点”が弱い部分でしたので、コラボするに至った当初の狙いは達成できたかと思います。

―態度変容の点でも成果はありましたか。

山田 ABEMAとしてのKPI(重要業績評価指標)は「SBI証券の認知向上」が第一の優先事項でしたが、設定していた目標を達成しました。また、ABEMAで配信した告知CMに接触してそこからオウンドメディアに流れていった方は“SBI証券への利用意向が上がりやすい”という傾向もデータで見られ、ビジネスドライブとの相関性の高さを感じていただくことができました。

―今後ABEMAとの施策についてはどうお考えでしょうか。

徐家 すでに「さよならプロポーズ」との第二弾のコラボもローンチしています。これまで配信した2つの動画の効果は非常に大きかったので、引き続き、第3弾の取り組みの結果も楽しみにしています。

 金融の世界は世間的に“お堅いイメージ”がまだまだございます。そんな中でオウンドメディア「ビジネスドライブ」の役割としては、良い意味で金融の敷居を下げるということ。今回の恋愛リアリティーショーとのコラボ動画を通じて“良い効果が得られる”というのは我々としても知見になりました。

村上 証券会社のYouTubeとして「金融・投資×〇〇」といった掛け合わせのコンテンツを作り続け、今後もバリエーションを増やし、多くのお客さまにリーチしていく挑戦を続けて参ります。

西木 逆に我々は「金融の会社さんなのでこういった企画は提案できないのでは…」と遠慮していた部分がありました。ただ一緒にお仕事をさせていただく中で、SBI証券様が積極的に“話題になるようなコンテンツを作りたい”と考えていることがわかり、今回の「金融×恋愛リアリティーショー」というコラボが実現しました。その上で成果を出せたことは非常にうれしく感じています。今後は一緒にコラボ動画を作らせていただく中で、ある意味で壁を取っ払って、「ABEMAコンテンツ×金融・投資」の掛け算の妙を我々としても探っていけたらと思います。そのような状況の中で、今後もコンテンツを展開していけることに、喜びを感じています。

―ABEMAではニュース、アニメ、ドラマ、バラエティなど複数のチャンネルを有しています。そういう意味でも横断的なコラボを実現することができますね。

山田 仰る通り、お悩みに合わせて柔軟に対応することができます。それこそ「ビジネスドライブ」では「推し活」の文脈で様々な動画を配信されていますが、そういった中でもABEMAとしてお力添えできる部分はあると考えています。扱うジャンルは多岐にわたり、近年はオリジナルのアニメ制作にも注力しています。

西木 SBI証券様はグローバル展開されている企業です。我々ABEMAも、世界で人気を誇るIP(知的財産)を生み出すことに力を注いでいます。そういった部分でも、また新たにご一緒できる接点があるのかなと考えています。

―最後に村上様と徐家様が気になっているチャンネルや番組を教えていただけますか。

村上 ABEMAさんはアニメ作品をたくさん扱っていますし、若年層の方にもアニメは人気だと思います。アニメ作品のIPと上手く絡めながら、タイアップ動画が制作できたらうれしいです。

徐家 私は「愛のハイエナ」とのコラボを画策しています。非常に人気が高い番組ですし、我々のYouTubeチャンネルでは夜の業界で働かれている方をレギュラー企画のゲストに呼んでいます。より多くの方々に私どものYouTubeチャンネルを知っていただき、その先で金融や投資に興味を持っていただくためには、話題になる動画を輩出し続けることが必要です。今後もチャレンジングな企画を続けていきたいです。

―ありがとうございました。

◆村上恭介
株式会社SBI証券 デジタル営業部 次長
2014年、株式会社SBI証券新卒入社。
現在は、認知ブランディング・新規顧客獲得全般を担当

◆徐家博貴
株式会社SBI証券 デジタル営業部 課長
2017年、株式会社SBI証券新卒入社。
現在は、YouTubeをはじめとするSNSやスポーツ協賛を活用した認知施策を担当。

◆山田百音
株式会社AbemaTV Business Development Division 局長 兼 株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ABEMA&IP局 局長
2016年、株式会社サイバーエージェント新卒入社
グローバルメーカーを中心とした広告営業担当を経て、現在はABEMAのセールスの局長を務める。

◆西木杏樹
株式会社サイバーエージェント 動画本部 ABEMA&IP局チーフプランナー
2025年、株式会社サイバーエージェント新卒入社。
現在は、ABEMAの広告営業を行う。
 

「ABEMA」はテレビのイノベーションを目指し"新しい未来のテレビ"として展開する動画配信事業。

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