「女性の権利や社会進出を訴えたいという思いは同じだと思う」松戸市のVTuber「戸定梨香」の動画削除で、運営会社社長が全国フェミニスト議員連盟に呼びかけ
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 千葉県警は10日までに、松戸市のご当地VTuber「戸定梨香(とじょうりんか)」を使ったPR動画をYouTubeチャンネルから削除した。

 動画は7月、千葉県警が市内の株式会社Art Stone Entertainmentと啓発動画に関する協定を結んだことから実現したもので、「松戸警察、松戸東警察からのお願いです」などとして、自転車に乗る際の注意事項や保険加入や点検整備の必要性などを訴えたものだった。

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・【7分50秒ごろ〜】問題となった動画のノーカット版

 ところが先月26日、松戸市議と八王子(東京都)市議が共同代表を務める「全国フェミニスト議員連盟」が警察署などに対し「本動画は女児を性的な対象として描いており、女性の定型化された役割に基づく偏見及び慣習を助長している」などとして抗議、動画の削除や謝罪、起用の理由を問う文書を送付。

 文書では戸定梨香の設定について「セーラー服のような上衣で、丈はきわめて短く、腹やへそを露出している。体を動かすたびに大きな胸が揺れる。下衣は極端なミニスカートで、女子中高生であることを印象づけた上で、性的対象物として描写し、かつ強調している」と指摘、女性蔑視や性犯罪の誘発への懸念を示している。

 一方、この指摘に憤りを隠さないのが、戸定梨香をプロデュースするArt Stone Entertainment社の板倉節子代表だ。

■「まず私たちの方に抗議してくだされば、話し合うこともできたと思う」

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 板倉氏はVTuber、そして戸定梨香について、「そもそもVTuberというのは、見た目や年齢、性別にとらわれることなく、なりたい自分を表現するもの。着たい衣装を身につけられるし、どんな世界にも飛んでいけるという、ICT社会における日本文化の発信だ。だからアニメとはまた違うし、それぞれが個性、人格を持ってやっている。戸定梨香は1年半前に私たちの会社が作ったものだが、もちろん人格を持っていて、アイドルが好きな子だからアイドルが着ているような衣装を着ている」と説明。

 問題視されたPR動画に関しては「去年も警察のPRを弊社の“ばけごろう”がやらせていただいていたこと、弊社と松戸市の関わりがある中で決まったもので、ボランティアだ。税金もかかっていない。動画としては7月中旬に公開が始まったが、削除までの1カ月半、弊社へのクレームや警察からの連絡は一切無かったし、戸定梨香についてもこの1年半、全く無かった」とした。

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 その上で板倉氏は、今回の抗議に「100%完璧な作品というのは、世の中に一つもない。必ず肯定と否定がある。今回の動画について否定的な意見があるのも、抗議されることについても問題はない。ただ、抗議の内容が問題だと思う」として、次のように指摘する。

 「“性的対象物を描写し、かつ、強調している”ということだが、そう見えるのかどうかはそれぞれの線引きだと思う。私も女性だし、VTuberのタレントも女性だし、関わっているスタッフも女性だ。私たちからすれば、性的対象物を描写したつもりは一切ないし、強調したつもりもない。法に触れているわけでもない。今回もあくまでフェミニスト議員連盟の方々の、科学的根拠もデータもない、主観的な判断だと思うが、それによって戸定梨香は尊厳を傷つけられたし、弊社は損失も被った。今後の仕事にもかなり影響があると思う。

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 しかも団体の代表は、同じ松戸市の市議会議員の方だ。私たちは市に貢献したいという思いから会社を立ち上げ、今までやってきた。つまり市の地域活性化、女性の権利や社会進出を訴えたいという思いは同じだと思う。議員さんというのは、そもそも市民の方の声を集めて、良い方へと導いてくださるのが役目だと思う。私たちだって市民ではないか。その声は聞いてもらえないのか」。

 また、動画の削除にあたっては、県警からの詳しい説明はなされなかったのだという。

 「削除になるかもしれない、という連絡はいただいたし、抗議があって、このまま残しておくわけにはいかないということは言われたが、誰からの抗議なのかというのは知らされなかった。そもそも今回のPRは年間を通じてのものだったので、秋冬が残っている。この後は警察の格好をするということが決まっていて、既に制作も終わっている。また、10代、20代向けにYouTubeでPRをしていきたいということだったが、第2弾として、ポスターを作って配布することなども検討されていた。胸が揺れるように作ってくださいと頼んだわけでもなかったが、そういう風に見えるのか、気にするようなポイントなのかと驚いたし、そうした意見、抗議をまず私たちの方にくだされば、松戸のPRを良くするためにも話し合うこともできたと思う」

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 番組では全国フェミニスト議員連盟に対して代表者の出演を打診したが、会合を開いて決定しなければならず、今回は間に合わないという回答だった。

 板倉氏は「私はこれまで取材は全て受けてきた。それは自分たちの思いを伝えたいからだ。取材に来た方々に、“全国フェミニスト議員連盟さんはどのような回答をしているのか”と聞くようにしているが、議会が忙しいといった理由から、一切回答がないという。私たちは反論をしているわけだし、もう少し声を上げて、返して欲しい。そうじゃないと、問題は解決しないと思う」と呼びかけた。

■「警察は起用の意図があったのなら、ちゃんと説明しないといけないと思う」

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 ライターの中川淳一郎氏は動画について「自転車には免許がないし、乗る前に講習を受けることもない。だから右側を走ってはいけないということを破っている人もたくさんいる。その意味では役に立つ、見事な3分動画だと思う」とコメント。EXIT兼近大樹は「女の子が幼稚園生に問いかけるような感じなので子ども向けに作ったのかなと思ったが、途中で“飲酒運転はやめよう”と言っていたので別にそうでもないのかなと思った(笑)。どこの層に向けたのかなというのは気になった」とし、次のように問題提起した。

 「僕はこの衣装が性的だとは感じなかったが、なんでわざわざあんな格好するんだよ、っていう気持ちになるのも分かる。だから警官の制服を着て出てくれていたら、何の問題もなかったのかもしれない。また、全国フェミニスト議員連盟が、“女性がいきいきと生きることができる、あらゆる環境づくり”っていうのを目的にしているのは素晴らしいし、僕も手伝いたいと思えた。ただし、捉え方は人それぞれの中で、ここまで強く抗議してしまうと、そのこと自体が分断を生んでしまう危険性もあるなと思った。今回のことで、フェミニズムの素晴らしい活動をしている人たちに対して騒ぎ始める人が現れたり、正しい活動の妨げになったりしてしまうかもしれない。それが悔しい」。

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 パックンは「おそらく警察官の制服を着てもダメだったと思う。取り締まり、捜査し、我々国民を守る立場の職業なのに、“みんな守りましょうね”という軽い感じの声で喋っている姿を出してしまえば、同じぐらい反感を買っていたかもしれない」と話した。

 一方、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「胸を揺らす描写についてはリボンなのかなとも思ったし、性的な感じはあまりしなかった。ただ、警察が作る公共性の高いものだし、倫理観が非常に厳しく求められるのは仕方がないと思う。その意味では警察官の制服だったら何も言われなかったのかもしれない。それがダメになってしまえば、一日警察署長もできなくなってしまうなと思った。

 それでも同じ女性でも捉え方が違うのは当たり前のことで、公開質問状を送るのも、意見を言い合うのも別に構わない。むしろ、“そういうことを言うな”という社会の方が私は嫌だ。環境省の萌キャラが炎上したというような話はこれまでもあったし、警察は起用の意図があったのなら、ちゃんと説明しないといけないと思う。このVTuberさんはこういうファッションのほうが合っているから、というような理由があったのなら、それを説明したり、話し合いの場を持ったりすれば良かったのにと思う。いきなり削除してしまうのは溝を生むだけなので残念だ」。

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 テレビ朝日平石直之アナウンサーは「例えばセーラームーンだったら、あるいはプリキュアだったら抗議をしたのだろうか。それから、松戸市には何の抗議もなかったが、千葉県警が起用したらこういうことになった。その辺りも含めて、議員連盟の方にお越しいただいて、また議論ができたらいいと思っている」と締めくくった。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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