“親ガチャに外れた”に臨床心理士「客観的に見ればそんなに多くないと思う」 “子ガチャ”への視点も
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 ネットで話題になり、最近テレビでも取り上げられている「親ガチャ」という言葉。

 親ガチャとは、子どもは親を選ぶことができないため、どんな親や境遇のもとに生まれてくるか、実力とは無関係に“運で人生を左右される”という意味を、ソーシャルゲームのキャラクター入手や、カプセルトイなど商品の購入方法がランダムな「ガチャ」に例えた言葉だ。

【映像】“親ガチャ”“子ガチャ”にテレ朝・田中萌アナもコメント

 ネット上では実際に「親ガチャに外れた」という声も見られるが、臨床心理士で明星大学心理学部准教授の藤井靖氏は、客観的な立場として「親ガチャの外れはそんなに多くないと思っている」との見方を示す。

 「外れというか、恵まれない環境の方がいないかというと、それはいる。生まれながらにして満足な生活環境を保てない、例えば虐待を受けていたりネグレクトを受けていたり、心身の発達に関わるような、あるいは命に関わるような環境が親によって与えられている場合は問題で、社会が全力を尽くして選択肢を与えたり、救う必要があると思う。ただ、曲りなりにも大人になった今、社会生活をきちんと送れていて、自分のやりたいことがやれていたり、それなりに安心感を伴った生活をしている人は、それを“外れ”というのは違う気がしている」

“親ガチャに外れた”に臨床心理士「客観的に見ればそんなに多くないと思う」 “子ガチャ”への視点も
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 藤井氏は、外れだと思う背景に、現状の自分と期待値との間にギャップがあると指摘。つまり、現状への不満足の原因を親に帰属させている、という見方だ。また、世間から恵まれているとされる人の“恵まれてなさ”についても触れる。

 「いわゆる恵まれている人というのは、社会的地位が高かったり経済的に豊かだったりということだと思うが、そういう観点もある一方、人が生きていく中でのいろいろな価値がある。私はカウンセリングで一般的に“恵まれている”とされる人の話を聞く機会も多いが、そういう方々ならではの悩みもある。あるいは、一流企業に勤めていて社会的地位もあるけど、なぜこの人はこんなに感情が不安定なんだろう、なぜこういう言い方しかできないんだろう、とか。性格や行動特性も親の遺伝や養育環境の影響がそれなりにあるので、そういったことも含めて見るとこの人は恵まれてないなとも思ってしまう。ガス抜きで『ハズレだ』と言う分にはいいが、視野を広くして見ると、実際に外れていると言い切れる人はそんなに多くないというのが僕の考えだ」

 親ガチャが話題になる一方で、親の立場から見た「子ガチャ」という言葉もネットでは散見される。

 「親として自分の子どもが思いどおりになっていないとか、自分の理想と違うということはもちろんあると思う。ただ、ほとんどすべての親にとって、やっぱり子どもはかわいいわけだ。かわいいがベースにあって、まだないものを求めているということなので、それは時間が解決してくれる部分もあるとは思う」

“親ガチャに外れた”に臨床心理士「客観的に見ればそんなに多くないと思う」 “子ガチャ”への視点も
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 子ガチャについて、テレビ朝日田中萌アナウンサーは「どんな子どもが生まれるか、まだそういう生む勇気がない。私たぶん(子どもに)期待をすごくしてしまうと思っていて、もし自分の期待と合わなかった時、もちろん広く受け止めるべきだが、そうできるかという自信がない」と率直にコメント。

 それに対し、藤井氏は次のようなアドバイスを送った。

 「親のイメージと違ったお子さんが生まれて、育てにくいとか、もっとこうなってほしいとかっていう、親御さんの相談を受けることもある。『なぜ親の自分とこんなにも違うのか』と悩む方々もいる。それはやっぱり時間をかけて、だんだんと自分なりの親のあり方を見出していくこともあるし、子どものこういういいところがあるんだとか、この子はこういう子なんだっていうあるがままを受け入れていくプロセスがほぼ必ずある。それがいつになるかは個人差があるが、期待と現状のギャップはいずれだんだんと解消していくものだと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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