男女平等が少子化救う?得手不得手で役割も変えるべき?専業主夫の葛藤と現実
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 「『女性の社会進出が進むから少子化が加速するんだ!』」と思ってる人!逆ですよ!先進国ではジェンダーギャップが縮まるほど出生率が上がります。そして、女性の社会進出には男性の家庭進出が必須です!」

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 先日、論争を生んだこのツイート。投稿したのはNPO法人「フローレンス」の前田晃平さんだ。「“明治とか大正とか、そういう時代の女性はたくさん子どもを産んでいたけれど、それについてはどう思うのか”といった反論が数多く寄せられた。しかし当時は女性たちが社会進出をしようとしていなかった時代背景があると思うし、前提が違うと思う」。

 実際、OECDによる調査などでは、男性の家事育児の負担割合が高い国ほど出生率が高くなる傾向があることが分かっている。しかし日本の場合、6歳未満の子どもがいる共働き夫婦の家事や育児などに費やす時間を見てみると、実に女性の負担は男性の4倍以上と圧倒的な差が生じている。(総務省統計局「社会生活基本調査」より)。

■「元同僚や友達を見て、やっぱりキラキラしていると感じることもある」

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 寿司職人として働いていたゆるたけさんは4年前、長女の誕生を機に育休を取得。その後、主夫として家庭を支えている。仕事を辞めた理由は、英会話講師の妻に育児や家事に苦手意識があったこと、そして仕事への情熱があったからだという。

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 「妻の実家は、お義父さんがバリバリ仕事をして、お義母さんは専業主婦という、昔の日本のスタイル。だからお義父さんからしたら、僕に働いてほしいという気持ちはあると思うし、元同僚や友達を見ていて、やっぱりキラキラしているなと感じることもある。ただ、子育てに関して言えば、妻は今でも1時間ぐらいで“キャパオーバー”になってしまい、ストレスを感じるので、僕が育児をした方がうまくいく。一方で、子どもといるのは楽しいが、仕事がある時のような達成感、充実感がないのは辛いとも感じる。そういう意味では葛藤はやっぱりある。ただ、それは専業主婦も同じだろうし、女性が家事をするというのが昔からの当たり前なので、そういう傾向はずっと続くんじゃないかと思っている」。

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 両親とは離れて暮らしているため、頼れるのは自分たちだけだ。“ママ友”たちに話しかけるのも難しいと感じている。それでも4歳と2歳の娘が小学生に上がるまでは主夫を続けようと考えているといい、「ちょっと料理の腕が落ちるかなという不安はあるが、子育ても投資。妻と子どもとの良い関係を作る期間と考えて、割り切っている。その方が、老後も楽しい家族関係が築けるんじゃないかと思うし、仕事は復帰してから頑張りたい」と話していた。

■「協力してくれる旦那さんじゃないと無理だと思う」

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 一方、「(夫は)家事を全くしない。イライラする」と話すのは、週に4日、パートで働きながら4歳の男の子の育児に奮闘する古川マリさんだ。子どもはもう一人欲しいと思っているものの、「晩ご飯の準備が大変なときに、自分はゲームしたりYouTubeを見たりして、ソファから動かない。遊んでくれればいいのに。今でもこんな大変なのに、協力してくれる旦那さんじゃないと無理だと思う。多分倒れると思う」と不安の声を口にする。

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 また、男性の育休取得に向けた取り組みも進んではいるものの、「会社に言いづらい」「戻る場所がなくなりそう…」と、消極的にならざるを得ない空気があるのも事実だ。ゆるたけさんのように、“専業主夫”の道に踏み出せる男性は、そう多くはないようだ。

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 前出の前田さんも「家事育児負担の格差については、我々男性が重く受け止めないといけないことは間違いない。一方で、OECDの調査などでは、日本人男性が世界一長く働いているというデータも出ている。よく日本人の家事・育児時間はスウェーデン人よりも2時間短いと言われるが、それは有償労働時間が2時間長いという事情も背景にある。男性の働き方そのものを考えなければ、家事・育児ができるだけのキャパシティが捻出できない人もいるということだ」と指摘する。

■「来年の法改正で大きな効果が期待できると思う」

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 そんな前田さん自身、あまり家事をしたことが無かったものの、育児休暇を取得した経験を持つ。

 「それでも、“思い切った”という感じはなかった。私が所属している組織では男性育休取得率が100%だったので、そもそも取らないという選択肢がなかったし、取らなかったら逆に問題になるぐらいの感じだった。実際に取ってみたら、大発見だった。これまで女性たちがどういう生活をしてきたかということを、まともに想像することすらできていなかったんだと痛感した。社会の見方が根本的に変わったし、働き方も変わったと思っている。

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 国会では「改正育児・介護休業法」が成立、来年4月に施行されることになっている。

 「今回の改正では、社会の側が“ちゃんと社員に取らせなさい”ということを規定しており、“言い出せない”という空気を変えるというところに切り込んでいっている。そのためか、すでに取得率が今年の段階で跳ね上がっているし、例えば新卒男性の8割以上が育休を取りたいと言っている。これは大きな効果が期待できると思う」。

■女性が男性に期待している“性役割”もあるのではないか

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 アイドルグループ「アンジュルム」の元リーダー・和田彩花は「女性だから家事や育児をしないといけないという、性役割の規範意識はものすごく強いものがある。主婦の方がこれだけ頑張っているというのは、みんなが知るべきことだと思う。同時に、“理想の男性像”について友達と話をしていると、収入が多いことや、仕事がどうかといったことが挙がってくる。こでも女性側が男性側に期待している性役割ではないか」と指摘。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「多様性というのは、上書きではなく挿入することで価値観が併存するのだと思う。そうでなければ、男性が家事をやるのが当たり前だとなったとき、“なんであなたのところの夫は育児をしてないの”と怒り出す人が出きてしまうと思う。スウェーデンなどでは男女共に育休取得を義務付けているが、それが同調圧力になってしまう可能性もあると思う。そこで考えなければならないのが、それぞれの得意なことを持ち寄って全体最適を図ろう、という考え方だと思う。例えば料理が苦手な人に無理にやらせる必要はない。うちの場合、僕が料理とゴミ出し担当、妻が掃除と洗濯担当と決まっていて、一緒に暮らし始めて20年ぐらい経つが、いまだに妻は料理を一度もしたことがない。そんな風にして、最適化が重要であって、慣習なんかどうでもいいよという、発想を持った方がいい。男女共に働いてもいいし、片方が専業主婦(夫)になってもいい」とコメント。

 また、「今、出産・育児は30〜35歳くらい、つまり、新卒で会社に入って10年くらいの、男女問わず仕事で重要なポジションになってくる時期だ。日本企業は欧米型の“ジョブ型”ではなく日本的な“メンバーシップ型”なので、ヒエラルキーを上る階段から一旦飛び降りちゃうと、もう戻れなくなってしまう。自分は管理職になるのかならないのか、そういったことを考える時期に休むとなると、やはり何かをちょっと諦めなくちゃならないということになる。だからこそ“女性は20歳になる前に産み、子育てが終わってから就職した方がいいんじゃないか”という極論まで出てきてしまう。そのくらい、今の日本の企業社会と出産・育児がミスマッチになってしまっている構造があると思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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