「ABEMA NEWSチャンネル」レギュラー番組の立ち位置

——「ABEMA NEWSチャンネル」では、速報ニュースや会見以外にどのような番組があるのか、どんな目的で作られているのか教えてください。

羽根哲哉氏(以下、羽根):月曜日から金曜日は朝昼夕夜にレギュラーの帯番組があり、時間をかけてニュースを深掘りしたり、テーマを絞って議論を交わす番組などを放送しています。日曜日にはその1週間で話題になったことを独自の切り口で総括する番組があります。

大谷広太氏(以下、大谷):ストレートニュースではないので、スタジオに専門家を招いて分析や解説をしてもらう場合やコメンテーターを交えてさまざまな視点から物事を考えて議論をするなど、各番組が役割や目的を持って制作しています。

例えば、朝の番組は速報に重きを置いて最新のニュースや話題のニュースをきちんと届けるようにしています。平日の夜に生放送している「ABEMA Prime」であれば、一つのニューステーマに対し30分から40分くらい議論に費やして、ニュースを深く理解するためのきっかけ、他にはない意見や見方を提供しています。

羽根:開局から8年、ありがたいことに視聴数は伸びてきていますが、「ABEMA NEWSチャンネル」らしさをより追求していきたいと思っていて、各番組についてそれぞれ特徴を一言で言い表せる“言語化”に取り組んでいます。

具体的に言えば、例えば「ABEMA Prime」では“みんなでしゃべるとニュースはおもしろい”というキャッチコピーがあり、これは番組の特徴を的確に表現できていると思っています。

平日の昼に生放送している「ABEMAヒルズ」もまさにいま、番組の強みや特徴を整理しているところです。出演者の柴田阿弥さんや徳永有美さんのゲストの話を引き出すテクニックやトークが武器になることに改めて気が付いたので、一つのテーマをトークでどんどん掘り下げていく番組にしてはどうかと、強みを最大限活かしたリニューアルを進めているところです。

——レギュラー番組の企画・制作においてこだわっているポイントを教えてください。

大谷:「ABEMA」は放送時間に自由度があるので、実験的なテーマ設定やキャスティングを行うこともあります。例えば過去の放送回では病気の影響で当事者の方が度々言葉に詰まってしまいスタジオで沈黙が続くという場面があったのですが、十分に時間を確保していたのでじっくり話を伺うことができました。そういった番組の作り方は「ABEMA」ならではだと思います。

羽根:一方で、テレビ朝日が放送しないテーマについては「ABEMA NEWSチャンネル」でも取り上げていません。情報の信頼性などを担保した上で、テレビ朝日の放送基準に基づいて制作しています。

また、全番組に共通しているのが常にオンデマンドを意識して制作していることです。「ABEMA NEWSチャンネル」のコンテンツはリニア放送(テレビのような視聴方法)とオンデマンドで視聴することが可能ですが、より多くの人に見ていただくためにオンデマンドでの展開も意識したテーマ選びをしています。

——過去に放送した番組の中で印象に残っている事例、話題を集めた事例をご紹介ください。

羽根:日曜日の昼に生放送している「ABEMA的ニュースショー」で取り上げた“別府ひき逃げ事件”がとても印象に残っています。大分県別府市出身の番組の総合演出が地元に帰った時に事件のことを知り、番組で2時間に渡る特集を組みました。その後も継続的に取材を行って事件を追跡しています。

逃走中の八田與一(はった よいち)容疑者にかけられている容疑は道路交通法違反(ひき逃げ)容疑ですが、全国で初めて重要指名手配に指定されました。これは番組がこだわってこの事件を取り上げ続けたことで、他のメディアも追随してくれ、警察を動かすきっかけを作ることができたのではないかと思っています。

大谷:世間ではこう報じられている、そして皆もそうだと思っている。でも本当にそうなのだろうか?実際はどうなのだろうか?ということで、当事者を呼んでじっくりと話を聞いてみる。そうすると、我々がいかに先入観で物事を考えていたかということがわかることもあります。

死刑執行に立ち会った経験のある刑務官、再犯しないよう日々を送る元犯罪加害者やその家族、宗教2世…などのほか、X上で論争になっていたり、批判を浴びていたりする人たちからも実際に話を聞くと様々なことが見えてきます。

——他メディアとの差別化、新しい取り組みなどがあれば教えてください。

羽根:自動スイッチングというシステムを実際の放送に取り入れたことがありました。複数の出演者がいる場合に、音声から話者を特定して自動で画面を切り替えたり、身振り手振りなどのアクションや表情の変化まで読み取ってスイッチングしてくれるシステムです。

また、記者会見の内容をAI(人工知能)で自動要約してテロップ表示して放送するなど、新しい技術をフットワーク軽く活用できるのも「ABEMA NEWSチャンネル」の魅力の1つだと考えています。新宿ゴールデン街からの年越し中継で立体音響システム(現場にいるような立体的な音を楽しむことができるシステム)を使ったこともありました。

大谷:各番組をブラッシュアップしているところですが、それによって番組の作り方も変わってくると思います。以前、番組にAIコメンテーターが出演したこともありましたが、そうしたAIの活用も進めていきたいです。

羽根:また、差別化ポイントの一つとして “信頼性”を大事にしていきたいと考えています。「ABEMA NEWSチャンネル」をテレビ朝日の報道局が制作していることを知らない人も多いので、改めてアピールしていきたいです。

これからの“ニュース”とは ニュース業界の変化と課題

——“ネットニュース”に感じる課題や問題についてご意見をお聞かせください。 

大谷:誤った情報や強い思い込みが拡散されやすい時代ですが、きちんと当事者の声で真実を届けることが大事であると考えています。また、ニュースに対して多様な見方ができるよう裏側や背景などを丁寧に説明することも重要で、専門家による分析や解説はこれからもっと必要になってくると思います。

——“テレビ・動画のニュース”について感じる課題や問題についてご意見をお聞かせください。

羽根:ニュースを動画で見ることの意味については日々模索しています。通勤中の電車でもニュースをテキスト記事で見ている人をよく目にします。動画で見てもらうためには何が必要かという価値を考えていかなければならないと思っています。

大谷:今はインターネットで検索をすると記事がたくさん出てきますし、YouTubeでも様々な専門家による解説動画やハウツー動画を見ることができます。そういったコンテンツが増えていく中で、より正確な情報を届けることがニュースメディアに求められると考えているので、今後のアプローチにつなげていきたいです。

——「ABEMA NEWSチャンネル」が考える“ニュースメディア”としてのあり方とは?

大谷:ニュースによって視聴者が抱える課題の解決につながることが大事だと思います。ただ、他メディアも取り組んでいることだと思うので、「ABEMA NEWSチャンネル」らしさを追求しつつ、世間で取り上げられていないテーマ設定や当事者に出演していただくことでより多くの人のためになる情報を届けていきたいです。

羽根:どんなニュースが大事なのか、これは見てくれている人によって興味や尺度も違うものなので答えがない。私たちは「ABEMA NEWSチャンネル」が伝えるべきニュースとは何か、どういう伝え方ができるのかを常に考えながら、1人でも多くの人に共感してもらえるメディアにしていきたいと考えています。

>>なぜ日本のメディアがアジアで評価されたのか?唯一無二の“社会インフラ”を目指す「ABEMA NEWSチャンネル」の挑戦

羽根 哲哉氏
株式会社テレビ朝日

報道局クロスメディアセンター ABEMA NEWS 担当部長
1998年、株式会社テレビ朝日に入社。社会部記者などを経て2019年に「ABEMA NEWS」に配属。ABEMA NEWSチーフプロデューサーを経験し、現在は担当部長としてチャンネル運営の責任者を務める。

大谷 広太氏
株式会社AbemaTV

総合編成本部 報道局 局長
2016年、株式会社AbemaTVに入社。情報ニュースサイト「ABEMA TIMES」編集部にて記事化業務を経験。現在は「ABEMA NEWS チャンネル」の編成や運用業務などの統括を行う。

「ABEMA」はテレビのイノベーションを目指し"新しい未来のテレビ"として展開する動画配信事業。

ニュースや恋愛番組、アニメ、スポーツなど多彩なジャンルの約25チャンネルを24時間365日放送。CM配信から企画まで、プロモーションの目的に応じて多様な広告メニューを展開しています。

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