その覚醒ぶりに舌を巻いていたK-1のレジェンド・魔裟斗が改めて「強さの秘密は急所をピンポイントで攻撃する(能力)」と別格扱い。期待の新星をわずか92秒で沈めた無慈悲なボディ打ちにファンも口々に「格の差」「レベルが違いすぎる…」と絶句した。
9月20日に横浜アリーナで開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~よこはまつり~」。K-1 WORLD GP第2代ウェルター級王座決定トーナメント・準決勝で、野杁正明(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と寧仁太・アリ(K-1ジム総本部チームペガサス)が対戦。野杁が1ラウンド2度のダウンを奪いアリを沈め圧勝で決勝戦へとコマを進めた。
1回戦では“くせ者”FUMIYAを鉄壁の防御と無駄の無い破壊力のある攻撃で粉砕した野杁。対するアリはデビュー以来6戦6勝、トーナメント初戦で強打・小嶋瑠久との同年代対決を制しキャリア無敗で上がってきたネクストブレイク候補。公言通り「無敗のまま王者」になると一気に世代交代となる一戦だ。
試合序盤、左のローやミドル、パンチと積極的に触るアリに、ややゆったりと構える野杁。肩の力を抜いたミドルやハイに、鋭い奥足へのローなど緩急をつけた蹴りと落ち着いた入りを見せるが、徐々に攻撃は威力を増していく。
再び野杁がインローからミドルをアリの右脇腹に2発、アリも負けじと左ストレートから右ヒザを叩き込むが、野杁は表情ひとつ変えずにジワジワとプレッシャーをかけ前蹴りから、左の三日月蹴り。「バキッ」と鈍い音と共にアリの動きが一瞬止まると、間髪入れずボディショット。厳しい脇腹への打撃にアリがヒザを付き最初のダウン。受けたことのない強烈なダメージに、ダウンカウントを聞きながら片膝を付いたままのアリは苦悶の表情を浮かべるもなんとか立ち上がる。
試合再開。再び執拗な三日月からボディブロー攻撃、さらに右フック、さらに左ボディ。追い込まれたアリがなんとか飛び膝を放つものの全く意に介さず、野杁が再び左ボディと顔面に連打を固めてKO。若手のホープを全く寄せ付けない野杁の無慈悲なボディ地獄に視聴者も「レベチすぎる」「格の差だな」「寧仁太が子どもになってしまったなぁ」と反応、実況席の解説陣も声を揃えて「強いなあ…」を唖然。
1回戦130秒、そして準決勝は92秒と3分半で2人の同階級の選手を完膚なきまでに破壊した野杁。ゲスト解説の魔裟斗も「寧仁太も(これまで)6戦6勝でしたけど、戦ってきた相手が違いましたね。今日の野杁は急所をピンポイントで攻撃する(能力)」と、覚醒した“怪物”と他の選手との大きなレベルの差を実感するように解説していた。