歴代最多のタイトル通算44期、直近12年で11回の最優秀女流棋士賞。まさに女流棋界の頂点にいるのが、里見香奈女流四冠だ。「出雲のイナズマ」の異名を持ち、その強さは圧倒的。今年度、女流同士の対戦では17勝2敗、勝率.8947という数字を見れば、どれだけ突き抜けているかわかるだろう。その里見女流四冠でも、自ら女流棋士を選んで戦うドラフト会議は未体験。「私自身というよりも、ファンのみなさまが見たいだろうなというのと半々、総合して選ぼうかなと思います。どちらも思い通りになれば、自分自身もみなさまも楽しめると思います」と、女流による早指し団体戦「第2回女流ABEMAトーナメント」ドラフト前の心境を明かした。“最強女流”にとっても初の団体戦。頼れるパートナーには誰を選ぶのか。
【動画】ドラフト直前 里見香奈女流四冠インタビュー
将棋ファンを大いに楽しませた男性棋士による「第4回ABEMAトーナメント」は、チーム藤井の優勝で幕を閉じた。全15チーム、45人の棋士が盤上でも盤外でもファンの心に届く活躍をしたが、里見女流四冠も視聴者の一人だった。それだけに女流版の話を聞いた時は「すごくうれしい企画だなと思いました。対局中は真剣なんですが、控室だと和む姿も見られて、視聴者としてすごく楽しませてもらったので、立場が変わっても楽しみたいと思いました」と、今度は参加者として団体戦を満喫するつもりだ。
団体戦の経験はある。ただ競技が違った。学生時代、出身地の出雲市の選抜選手にもなったことがある卓球だ。「(団体戦の)楽しさはありますね。普段は自分一人の戦いなんですが、そうじゃない楽しさというのを、すごく実感します」。理想としているのは、棋士としても尊敬する渡辺明名人(棋王、王将)による「チーム渡辺」。対局、作戦会議室、チーム動画。どれも大満足だった。「渡辺先生のチームの雰囲気がものすごく好きです。渡辺先生は、将棋でもトップで活躍されていますし、普及面でもいろいろなことを考えて行動されている。全てにおいて尊敬しています」と、思いが詰まった言葉が止まらなかった。
そんな理想を掲げながらも、どんな仲間を選ぶのか。「何を話すにしても、結構和んだ雰囲気で、楽しんだ状態で将棋につなげたいと思います。自分の思い描いている方が獲得できるかわからないですが、どんなチームになっても楽しめたらと思います」と、何度も「楽しむ」という言葉を繰り返した。女流棋界の第一人者として、普段は楽しむどころか孤独に戦うことがほとんどの里見女流四冠。自分とファンの願いが叶うチームが結成された時には、めったに見られない晴れやかで柔らかな笑顔が見られるかもしれない。
◆第2回女流ABEMAトーナメント 第1回は個人戦として開催され、第2回から団体戦に。ドラフト会議で6人のリーダー棋士が2人ずつ指名し、3人1組のチームを作る。各チームには監督棋士がつき、対局の合間にアドバイスをもらうことができる。3チームずつ2つのリーグに分かれ総当たり戦を行い、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。チームの対戦は予選、本戦通じて、5本先取の9本勝負で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)