河野氏の“最低保障年金”構想には「詰めの甘い部分がある」 3候補から“集中砲火”
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 29日に投開票を控え、終盤に入ってきた自民党総裁選は、「年金」をめぐってバトルが展開されているという。

 やり玉に挙がったのが、河野太郎行革担当大臣の持論「最低保障年金」構想だ。どういうことなのか、テレビ朝日経済部の梶川幸司記者が解説する。

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Q.河野氏の「最低保障年金」構想とは?
 そもそも、現在の年金制度は2階建ての構造になっていて、1階の部分は20歳以上の全ての国民が加入する「国民年金(=基礎年金)」、2階の部分はサラリーマンなどが加入する「厚生年金」という構造になっている。例えば、自営業者は1階部分の「国民年金」なので、毎月定額の保険料(=1万6610円)を負担すると、65歳から満額で月額6万5000円を受給することができる。基礎年金の半分は保険料、半分は国が税金で負担している。

河野氏の“最低保障年金”構想には「詰めの甘い部分がある」 3候補から“集中砲火”

 この基礎年金の部分は、少子高齢化により将来の年金給付の目減りが懸念されている。河野さんは、老後の最低限の生活を保障する基礎年金の財源は保険料ではなく、消費税を念頭に「全額税方式」がいいと言っている。

 いろいろな事情で保険料を払えない低所得の方などが未納となってしまうと、月額6万5000円分で足りるかどうかという議論もあるが、それを下回ってしまい、生活保護に頼らざるを得なくなる。河野さんは「今の方式では、国民全員の最低保障はできないので、税でやらなければいけないんじゃないか」と強く訴えていて、その代わり、所得が一定以上ある人には支払わないことで、支出を抑えられるとも主張している。

Q.これに対して他の候補者の考えは?
 岸田さんは、厚生年金の適用を非正規社員に拡大することで、低所得者対策はできるんじゃないかと。河野さんに対して、「実際に何%の増税になるのか示してから議論すべきだ」と批判している。討論会でそのように聞かれた河野さんは「どれくらいの対象に、どれくらい払うかで税金の額は変わる」として明言していない。もし全額税方式になると消費税が上がるので、これまで保険料を払ってきた人にとってみると、その移行期間は二重負担になる。岸田さんはこれも問題ではないかということで、あくまでも現行制度をより良くしていくことがいいのではないかと言っている。

河野氏の“最低保障年金”構想には「詰めの甘い部分がある」 3候補から“集中砲火”

 高市さんも同じように、「(河野案は)制度的に無理がある。基礎年金の保険料分だけで12.3兆円あり、増税になってしまう」と訴えている。年金の積立金は株式などで運用しているが、「株価を上げることで財源も増える」ということも述べている。

 野田さんは、祖父で国会議員だった野田卯一氏が今の年金制度を作ったことを非常に誇りに思っている。「日本の年金制度は信頼が高い。いらずらに不安をあおってはいけない」ということで、討論会は河野さん対3人という構図で繰り広げられた感がある。

Q.なぜ河野氏は“集中砲火”されている?
 河野さんの「最低保障年金」の主張には、詰めの甘い部分がある。消費税にして増税幅は何%になるのか、そもそも最低保障の水準はいくらかはっきりしないと、イメージができない。これまで保険料を払ってきた人たちの二重払いの話もあったが、消費税に切り替えたら世代ごとの負担はどう変わるのか。どちらが得か損かということは、社会保障の分野で必ずしも適当ではないと思うが、しかし多くの人はそこが気になると思う。ここまで河野さんがおっしゃるなら、具体的にどうするかということをもう少し明示してほしいと思う。それがある種、議論の弱みとして3候補から狙い撃ちされているところがある。

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Q.河野氏が自民党の総裁に選ばれたら?
 社会保障は何事も財源が必要なので、制度を変えるということは、同時に財源を考えることになる。河野さんのこの考え方では、少なくともそこ(消費税)は上がるが、一方で保険料の負担はなくなる。いつから始めるのか、世代や立場によって見方が違うだろう。

 国民年金はやはり財源の基盤が弱い。年金制度は少子高齢化で現役世代への過重な負担にならないように、徐々に給付の水準は下がるように設計されている。国民年金と厚生年金は体力が違うので、これから厚生年金の財源から国民年金のほうへ移すという議論も始まってくると思う。

 総裁選の結果次第では、年金制度の見直しがこれからの日本の政治の大きなイシュー、論点になる可能性があること。そうしたことが今、総裁選の俎上で起きているということはお伝えしたい。(ABEMA/『倍速ニュース』より)

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