菅内閣の総辞職を受け4日、第100代内閣総理大臣に指名された岸田文雄氏。衆議院を14日に解散し、19日に告示、31日に投開票を行うことを表明した。
岸田新内閣の人事と、解散総選挙の時期を早めた狙いとは。テレビ朝日政治部の野中里紗記者が解説する。
新内閣の「岸田カラー」といえるものについて、野中記者は「安倍政権時代から新型コロナウイルスの対応を行ってきた田村厚生労働大臣と西村経済再生担当大臣、菅政権が肝いりで設置したワクチン担当の河野行政改革担当大臣を一新した。また、自身が外務大臣を4年8カ月務めた経験もあり、中国を念頭に置いた経済安全保障担当大臣を設置するという新たな取り組みも行っている。閣僚20人のうち13人が初入閣となり、当選3回の若手からも3人を抜擢している」と説明する。
今回の組閣について、複数の派閥の議員は「安全運転。派閥均衡」と、岸田派以外にも配慮した布陣だとの見方をしているという。派閥横断的な支持を得て総裁選を勝ち抜いた岸田総理は、「最初は岸田派内からの閣僚選出は抑える」という考えもあったようだ。
一方、野党からは「党役員は安倍支配で、閣内は無名集団」との声が上がっている。「3回生3人つかってすごい刷新感あるはずなのに、3人とも無名だから。立憲幹部はほっとしてると思うよ」と、野党としては衆議院選挙の大敗は避けられさそうだとみている。
総選挙は、当初は11月7日か14日説が濃厚だったが、なぜ今月31日に早まったのか。この判断について、野中記者は「岸田総理の周辺は、『早めた理由はコロナが落ち着いているうちにということもあるけど、憲法を気にした』と話していた。今の衆議院議員の任期は10月21日までで、31日投開票だと任期中に公示ができる。『任期を超えた衆議院選挙は憲法違反だ』という指摘を受けないようにしたいという狙いが1つある。また、26日は秋篠宮家の眞子さまがご結婚を予定されている日でもあるので、10月26日公示だとお祝いムードに水を差してしまってよくないのではないか、という考えもあったようだ」とした。
選挙日程に関して、立憲民主党の安住国対委員長は「奇襲作戦だ」とコメントした。ただ、野党議員の中には「1週間早まっただけだし、こっちも準備はしている」と、想定内だと強気な姿勢を見せる議員もいるという。
31日は「ハロウィーン」当日だが、若者の投票行動への影響はないのだろうか。「ハロウィーンだから若者が投票に行かない、というところまで考えが及んでいるかというと、なかなか難しいのではないか。なるべく早く選挙をやりたいというのが本音だと思う。組閣直後の1カ月は『ご祝儀相場』と言われ、支持率が高く出る傾向にある。早ければ早いほど野党の準備ができきっていない時に選挙に突入できるので、早くしたいという思いなのではないか」とした。(ABEMA/『倍速ニュース』より)