「岸田内閣が安倍さんの傀儡かというと必ずしもそうではない」 岸田派と麻生派が合流する“大宏池会構想” 実現の可能性は?
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 4日の首班指名選挙で、第100代総理大臣に選出された自民党の岸田文雄氏。自民党には現在7つの派閥があるが、岸田氏が会長を務める「宏池会」からの総理輩出は、1991年の宮澤喜一氏以来30年ぶりとなる。

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 岸田派は所属議員46人の第5派閥。しかし、今後トップに踊り出るかもしれない「大宏池会構想」なるものが浮上しているという。テレビ朝日・政治部の今野忍記者が解説する。

 宏池会は、1957年に池田勇人氏が初代会長を務めてから現在まで続く、自民党で最も歴史のある派閥。1998年、宮沢氏の跡目を継ぐ「KK戦争」の末、加藤紘一氏が第6代会長に就任。この時に宏池会を脱退した河野洋平氏と麻生太郎氏が1999年に大勇会を結成すると、麻生氏は2006年に会長に就任し、現在は麻生派(志公会)を率いる。2012年、自民党総裁選をめぐる対立で、派閥を離れた谷垣禎一氏が谷垣グループ(有隣会)を結成。同年、宏池会の第9代会長に岸田氏が就任した。

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 この岸田派と、宏池会を源流とする麻生派、さらには谷垣グループが合流するのではないかというのが大宏池会構想だ。麻生派は所属議員53人の第2派閥で、岸田派と合流すれば所属議員は99人となり、安倍晋三元総理の出身派閥である「清和会」を抜いて第1派閥に浮上する。

 この構想は麻生氏が実現を訴えていることだそうで、今野記者は「自民党の中には今2つの大きな流れがある。自由民主党は自由党と日本民主党が1955年にくっついてできたもので、自由党は宏池会、日本民主党は細田派の源流となっている。麻生さんが言っていることは簡単で、自民党の中の自由党と民主党で“疑似政権交代”をしていけばいいんじゃないか、というのが大宏池会構想だ」と説明する。

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 岸田内閣は、安倍氏や麻生氏の息がかかった“傀儡政権”とも指摘されるが、今野記者によると必ずしもそうではないという。「以前、岸田さんと電話をした際に、麻生さんを副総裁にしたのは大宏池会構想のためではないかと聞いたら、『そこまで考えてない』と。ただ、麻生さんを副総裁にしたのはけっこうすごいことで、あと数日で財務大臣の在任期間で歴代2位になるところだったが、あっさり降りた。今回、麻生さんを党に戻して、麻生派の甘利さんを幹事長にした。その2人と安倍さんで“3A”と言われているが、今回の人事を(安倍さんが)若干面白く思っていないと言っている人もいる。官房長官や総務会長などで細田派を重用したが、なった人が必ずしも安倍さんに近い細田派の人ではない。岸田さんが安倍さんや麻生さんの傀儡だとメディアは書いたりするが、そこは温度差があるんじゃないかと言われている」。

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 では、大宏池会構想が実現する可能性はあるのか。「安倍さん、麻生さん、岸田さんがどう動いていくかが注目されるし、これからが鍵になってくると思う。ただ、少なくとも一時期、麻生さんがそういう方向にしたかったことはたしかだし、岸田さんもそれに応えようと動いたこともある。岸田さんが嫌がったのは麻生さんに乗っ取られてしまうこと。しかし岸田さんは、総理になったら派閥を抜けるという自民党の掟に従って、正式に休会届を出したかはわからないが、会合には行かなくなっている。最大の懸案がなくなって、総裁に岸田さん、副総裁というわりと自由に動けるところに麻生さんがいる状態で、水面下で話が進んでいる可能性があるのではないかと言われている」とした。(ABEMA/『倍速ニュース』より)

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