ウサギの耳をヘッドホンで塞ぐ様子が描かれたマーク。これは「聴覚過敏」という症状を抱える人が、自身の症状を周囲に知らせるためのマークだ。聴覚過敏とは、感覚過敏の症状の一種で、日常生活の何気ない音が大きく聴こえ、頭に響くなど、ひどい場合には苦しさや痛みが伴うケースもある病気だ。
【映像】「苦手な音を防いでいます」micoさんが作った“聴覚過敏”の理解促進グッズ(4分ごろ〜)
現在、このマークを元にしたグッズがネットで販売され、話題になっている。ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、グッズを製作し、ネットで販売しているmicoさんを取材した。
自身も聴覚過敏を抱えながら、SNSなどで症状を知ってもらうための活動を行っているmicoさん。micoさんの活動の原点は、自身が経験した聴覚過敏に対する理解の少なさだ。
「私の症状は特に高音が苦手でして、鋭い刃物で頭を刺されたような衝撃というか、ズキッとした感覚が強くあります。周囲の方に相談をした時期もあったのですが『大げさ』『気のせい』『神経質だね』といったことを言われてしまって、相談したにも関わらず、さらに苦しむ結果になったんです」
症状のつらさと周囲の理解のなさ……ギャップに悩んでいたmicoさんは、標識などを手がける大阪の企業「石井マーク」が、聴覚過敏を知らせるためのマークを提供していることを知った。
「『悩んでいる方にステッカーを送りますよ』とあって、敷居が高いなと思いつつも、連絡をしてみたんです。そしたら、快く聴覚過敏マークのステッカーを送っていただきました。一個人に親切に手を差し伸べてくれる方がいるんだと知って、すごくうれしかったんです。自分が石井マークさんからいただいたものを少しでも誰かに返すことができたらいいなと思って、この活動を始めさせていただきました」
“聴覚過敏保護用シンボルマーク”について、石井マークでは役割と位置付けを理解した人に対して、自由にダウンロードし、使用・印刷できるよう、デザインを無償で開放している。micoさんは公開されているデータを元にグッズを製作し、病気の周知を目的に活動している。
例えば、聴覚過敏マークのステッカーが貼られたヘッドホンに見える器具は、防音のためのイヤーマフと呼ばれるもの。聴覚過敏を持っている人のための器具だが、見栄えから「音楽を聴いていると誤解されることもあった」とmicoさんは話す。こうした誤解を解くことも、聴覚過敏の理解を深めるためには欠かせないことだという。
「(聴覚過敏マークの)ステッカーを貼ることで、この器具は『こういうものですよ』と示しています。実際には何も聴いていないんです。ただ、周りの音を軽減するために、耳を保護するためにつけています。『こういう人がいるんだ』と反応いただいたり、マークを見て『初めて(聴覚過敏を)知った』と声かけられたりします」
グッズに込められた病気への理解促進への思い。グッズは「売れる週で2〜3件ほど」だといい、認知について、まだまだ道半ばだと話すmicoさん。
「聴覚過敏という症状があると、一人でも多くの方に知っていただきたいです。まずはそこを目指しています。このマークをつけた誰かが困っていたり、苦しんでいたら、自分のできる範囲で手を差し伸べたり配慮ができたら、結果的にみんなが生きやすくなるのではないかと思っています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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