『週刊少年ジャンプ』でおなじみ、集英社の「少年ジャンプ+」編集部が贈りだした漫画ネーム制作サービス。その名も「World Maker」。スマートフォン一つで、漫画の設計図とも言えるネームの作成を行うことができ、先月22日から一般向けにサービスの提供を開始している。
【映像】「World Maker」実際に使ってみた(1分ごろ〜)
一体、どのようなサービスなのだろうか。「ABEMA NEWS」の楪キャスターがネーム作りに挑戦した。
作り方は至ってシンプル。吹き出しの文言やキャラクターのセリフなどを画面に入力。そしてページごとのコマ数を決めたら背景やキャラクターをそれぞれコマに入れ、これを繰り返していく。
作業を続けること約30分、ついにネームが完成。「(ネームを)描くとなると一苦労かなと思いますが、スマートフォン一台で自分の妄想だったり、自分の想像だったり、世界を作り出せるのはすごく楽しいですね。没頭しちゃいます」と感想を語る楪キャスター。作成した漫画はTwitterに投稿できる。
スマホで気軽に漫画家気分を味わえるWorld Maker。企画を担当したのは人気漫画『チェンソーマン』などの編集を手がける「ジャンプ+」編集部の林士平副編集長だ。
「World Makerは漫画の設計図、ネームが制作できるサービスになっています。いろいろなアイデアがある中で、僕個人としては漫画を作る方々のサポートに近いサービスをやってみたいなと思って、企画しました」
そんな林さんがこのサービスでこだわっていること。
林さんは、誰もが簡単にサービスを利用できることに加えて「イージーなテンションで楽しんでほしい」と話す。
「本当の本当の根底は、ビジュアライズですね。たくさんの人が、絵が描けないだけで、ビジュアル化できないもの、アイデアやストーリーを持っていると思っています。仲間内で『こんなの考えたよ』とか『この前、こんなことがあって漫画にしてみた』とか、それくらいのイージーなテンションで楽しんでほしいと僕は思っています」
作者の発想・世界観を、漫画でどれだけ作ることができるか。World Makerにはそんな思いも込められている。
先月には「word Maker漫画ネーム大賞」(※現在は終了)も開催。もし、投稿された作品の中に光るものがあったら作者をヘッドハンディング……なんてこともあるのだろうか。林副編集長は「作者の囲い込みはないが、お声をかけることはもちろんある」と話す。
「今後、サービスもアップデートして、(ユーザーに作られる)ページ数は増えてくると思います。僕らが普段開催している漫画賞に寄せられるようなページ数にネームがなってくると思うので、そのときに『この人すごい才能なんじゃないか』というのはあり得るでしょうし、その質問に対してはイエスかなと思います」
今やスマホで漫画を読むことが当たり前の時代になった。漫画業界にも電子化の波が押し寄せる中、林さんはむしろこの電子化こそがチャンスだという。
「住んでいる場所や持っているお金で表現の制限がかかっていましたが、安いタブレットでもプロと変わらない機能で描ける状態が今はあります。ビジネスチャンスが広がっていくことは嬉しいことですし、食える作家というか、それで仕事にできる作家が増えることは、業界としてはとてもいいことです」
林さんは、サービスの発展と漫画業界の活性化も視野に、まずはWorld Makerを「幅広い年代の人に触れてほしい」と語る。
「サービス名である『World Maker』にコミック、漫画、ネームといった単語を入れなかった理由は、明確にあります。ビジュアライズ全体、皆さまの頭の中にあるワールド(世界)を作れるサービスにしたかったんです。触れていただく人が増えれば増えるほど、業界が元気になると思いますので、なるべく裾野が広がるようなサービスになるとうれしいなと思っています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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