試合開始15秒、アゴをえぐるような左のハイキックからパンチの連打が炸裂すると、被弾した相手が怯えるような表情を浮かべ、右手を左右に振って敵前逃亡状態に。しかし、スーパーマンパンチで飛びかかり、追い打ちの猛攻をかけると、最後はボディの連打で心を折って完膚なきまでの圧勝。わずか39秒の”瞬殺KO劇”に「別格だった」「化け物だ」と視聴者に戦慄が走った。
10月15日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE: FIRST STRIKE」で、チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン/ベラルーシ)とサミー・サナ (フランス/アルジェリア)が対戦。異次元の強さを見せつけたアラゾフが衝撃のKO劇を披露した。
フェザー級のトップ級がエントリーされた世界グランプリ準々決勝。K-1でトーナメントを制しスーパー・ウェルター級王者としても活躍した実力者アラゾフと対するは、190センチを超える長身のサナ。サナはONEの舞台ではムエタイの絶対王者ヨドサンクライ・フェアテックスを下しインパクトを残している。ともに至近距離で打ち合うスタイルだけに、激しい打ち合いが期待されたカードだ。
開始早々、サナのボディに一発を打ち込んだアラゾフに対し、じわりとプレッシャーをかけて相手をケージ際に追い込んでいくサナ。しかし、いきなり加速したアラゾフのワンツーが炸裂すると、一連の流れから左ハイがサナの顔面を捉える。
まともに被弾したサナはヨロヨロと後退。一瞬の勝機を見逃さずに飛び込んだアラゾフがパンチの連打から、2発目のハイ。これも被弾したサナは右手を左右に振り「もう無理だ」といった具合で後ろを向いて背走を開始。しかし、スーパーマンパンチで逃げるサナに飛びかかったアラゾフは、ケージ際に追い込むと容赦ないボディをたたき込んだ。
するとサナがたまらず腰から砕けるようにダウン。心を落ち着かせるようにケージにもたれ掛かったサナは体育座り。しかし、サナの様子からは既に戦う意思が感じられない。そんなサナの戦意喪失ぶりを確認したレフェリーがゴングを要求すると、試合開始からわずか39秒で試合終了となった。
アラゾフが見せた電光石火の衝撃KOにABEMAの視聴者からは「化け物かよ」「強すぎる」「別格だった」「えぐいな」などアラゾフの圧巻の強さに驚愕のコメントが殺到した。
しかし、誰よりも驚いたのはここまで実績を積み重ねながら、全くアラゾフに歯が立たなかったサナ本人だろう。リング中央でアラゾフの勝ち名乗りを聞きながら、首を何度もかしげブツブツと自問自答する場面も…。そんなサナの振る舞いと戦慄のハイキックでカットした右目尻から流れる鮮血が試合の内容を物語っていた。