来年4月から民法の成人年齢が18歳へ引き下げられることに伴い、20歳未満でも親の同意の必要なく携帯電話やローン契約、クレジットカードの作成などが可能となる。
【映像】成人年齢引き下げで貸金業者4社に1社「お金貸す意向」も責任は?
日本貸金業協会によれば、この18、19歳に対する貸し付けについて、420の事業者のうち4分の1にあたる105社が「貸し付ける」と回答。さらに「親権者の同意」についても「同意を取る」が約30%だったのに対し、約35%が「同意を取らない」と回答しているという。また、親の同意がない場合の契約取り消しについても、(来年4月以降は)未成年ではなく成年になるため不可能となる。
消費者問題にも詳しい佐藤みのり弁護士は「民法の規定では、基本的には親の同意を得なければ未成年は契約ができず、同意を得ないまま契約してしまった場合には取り消しができる。しかし18歳、19歳がまだ未熟であるにも関わらず未成年ではなくなってしまうことで、取り消しができなくなってしまう。やはり未熟さゆえにつけ込んで契約させられてしまった場合に取り消しを認めてあげるなど、消費者としての18、19歳を法的に保護すること、そしてお金を借りることでのリスクについて教育をしていくことが必要だ」と指摘する。
「法的には親が払う必要はないが、自己破産を防ごうということで払ってしまうこともある。ただ、本人が全く反省をしていなかったり、ことの重大さに気づくことができなかったりすれば、また借金してしまうことになり、最終的には債務整理、ひどい場合には破産、ということにもなってしまう。やはり18、19歳の若い子たちがそういう状況になってしまうのはちょっと、と思う。事業者の対応については自主規制ということにはなるが、やはり社会的、精神的な未熟さを考慮した上で限度額について決めていく必要があると思う」。
アイドルグループ・アンジュルムの元リーダー・和田彩花は「“お金の貸し借りは絶対にやめなさい”と、それだけを言われて育てられた記憶があるし、15歳から仕事をしていたが、お金の管理は全てお母さんがやってくれていた。20歳までは銀行から引き出したり、クレジットカードを持ったりしたこともなかった。逆に、それ以外にお金の教育は受けなかった。27歳になるが、今もお金の教育は必要だなと思うし、それが義務教育にあったら心強いと思う」と話す。
また、ジャーナリストの堀潤氏は自身の経験を明かす。
「学生のとき、ひょんなことからデパートで“赤いカード”をもらい、自動車免許を取るためにローンを組んだ。そこから、“このカードがあれば何でも買えるんだ”という状況になってしまい、気づいたら何枚ものカードを持つようになった。しかし利息のことなんか全然知らなくて、そのうちにバイト代をやりくりしても返せなくなってきて、月末になると脂汗をかきながらパチンコに行ったり、友達から借りたり、時にはビール券を換金したり。
すごく苦しかったし、もう無理かもしれないと思ったこともあった。就職が決まった時、これでやっと借金を返せると思ったくらいだった。今も池袋や早稲田の界隈には学生ローンの看板があるし、カジュアルに借りられる雰囲気もある。若い子に貸すときにはリボ払い前提とかの設定ということもある。今思えば、それこそお金の使い方の教習所が必要だったんじゃないかと思うし、小学生、中学生の義務教育の中で金融教育をちゃんとやらないまま“18、19歳でも”というゲートを開けちゃいけないんじゃないかなと思う」。
一方、制度アナリストの宇佐美典也氏は「僕も学生時代はパチプロに近い生活をしていて、金遣いが荒かった。自分の中の金銭感覚が壊れた日のことを覚えているが、午前中の4、5時間で30万円当たって、“パチン”と壊れた」と振り返った上で、次のように指摘した。
「法律がちゃんと守られ、執行されているのかということと、そもそも貸してはいけないということは別問題なので、私自身は別にこれでいいんじゃないかと思っている。今は私の学生時代とは違ってグレーゾーン金利もなくなったし、収入の3分の1までしか貸せなくなったので、その法律がちゃんと執行されていれば収入の少ない学生にはそんなに貸せない。個人的には、学生に関しては収入がないものと推定する、というような規定があれば貸すことができなくなるし、法制度が未整備の部分もあるギャンブルの問題もだいぶ減ってくると思う。そこに一歩踏み込むべきだと考えている。一方で、同世代にはリボ払いがかさんできて日々の生活が回らず、借金に手を出すという人もいる。やはりそこは“お金を貸しちゃダメだ”だけではなく、リボ払いや利子の仕組みも込みで金融教育をしないと苦労をする人が出るし、マイナンバー制度との関係も含め、やはり選挙でも問うてほしいところだ」。(『ABEMA Prime』より)
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