「なぜ消しゴムで字を消せるの?」
「なぜ木よりも、鉄のほうが冷たく感じるの?」
【映像】見ているうちに癖になる「モルおじさん」(ほかイラストあり)
身の回りの素朴な疑問について、独特なテイストのイラストと共に解説しているウェブサイト「そざいの魅力ラボ(MOLp:モル)」。運営しているのは大企業の三井化学だ。
「ぱっと見ても何をやっているのか、わからないような会社ではあります」(三井化学株式会社の松永有理さん・以下同)
戦前の三井財閥の流れを汲む三井グループの一員で、売上高1兆2000億円を誇る世界的な企業である三井化学。そう聞くとすごい感じはするが、実際に「何をやっているのか」と聞かれれば、答えられない人も多いのでは。
そんな三井化学をひと言で表すなら「素材の会社」。自動車の内装やガソリンタンクを作るための素材、スマートフォンやメガネのレンズの素材、食品の容器や包装の素材、私たちの身の回りにあるあらゆるものの素材を扱っている会社だ。
「素材って分かりにくいじゃないですか。液体とつぶつぶ(固体ペレット)とガスを売っているので、何か分からないわけですよ。皆さんになかなか理解してもらえない。だからそういう意味ではコミュニケーションの幅を広げようと思ったんですね」
三井化学が長年培ってきた素材の機能的価値や感性的な魅力を再発見し社会に伝えたい――。松永さんら社内の有志が集まり、2015年に立ち上げたのが「そざいの魅力ラボ」だ。
中でも「カガクのギモン」は、イラストを楽しみながら素材の知識が得られるコンテンツだという。
「イラストレーターのヘロシナキャメラさんにオリジナルで描いていただいて、モルおじさんというキャラクターを軸に、モルおじさんがいろいろ世の中の化学に関わる素朴な疑問を説明してくださっています」
たとえば「なぜ木よりも鉄のほうが冷たく感じるのか」という疑問に、モルおじさんは素材の熱伝導率の違いについて説明。「そざいの魅力ラボ」では、他にもインタビュー記事やモノづくりの現場のレポートなど、素材を主役にしたさまざまなコンテンツを発信。さらに、素材の持つ魅力を形にした作品を制作し、展示会を開催するなど、BtoB企業というイメージの強い素材メーカーの枠を越えた活動を続けている。
「最初の頃は『何やってるの?』『遊んでばっかりだな』という感じで、今でもそうだとは思うんですけれども(笑)。外からの反応がすごく良くて、僕たちのお客様であったり、その先のお客様であったり『そざいの魅力ラボ』の活動に『いいよね』とか『自分たちもやりたい』という話をいただいたりしました」
松永さんが「部活のような組織」と形容する有志による活動。これが企業のイメージアップに貢献し、「何をやっているのかわからないような会社」に変化をもたらし始めている。
「子供たちが見てくれるケースもけっこうあって、そういうのはすごくうれしいですね。最初は(化学の)すごく簡単なところから理解して、少し根本的なところを理解していくような流れがあると思うのですが、その入り口の部分、2番目くらいのところで僕たちのコンテンツを見ていただいて『もうちょっと調べてみよう』と思ってくれたり、これからも何らかの変化が起こせたら良いなと思っています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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