「過去に罷免された人はおらず、制度が有名無実化」 あらためて確認する「国民審査」の投票方法と、その重要性
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 アフターコロナ時代の経済対策など、様々な争点で各候補者によるアピールが続く衆院選。この衆院選に合わせて行われるのが、最高裁判所の裁判官の仕事ぶりを国民がチェックする「国民審査」だ。

【映像】あらためて確認する「国民審査」の投票方法

 テレビ朝日司法クラブの陣内紀惠キャップはその重要性について、「日本は三審制なので、第1審、第2審とあって、最終判断するのが最高裁判所になる。この判断によっては、国の政策が変わることもある。何より、最高裁は憲法の番人と言われていて、日本の法律が憲法に違反しているかどうかを審査することができる位置づけになっている。最高裁の強い権力を持った判事が正さを持ち合わせているかどうか、社会に対してどんな考え方をしているのか。これを国民が判断して、『この人はちょっと困るな』と思った場合には、『×(バツ)』をつけることができるという貴重な機会になる」と説明する。

 国民審査では、各裁判官の過去の判断などをもとに、その職責にふさわしいかどうかを国民が投票し、不信任が有効投票の過半数に達した裁判官は罷免される。政治家の選択と同様、この1票が人々の生活面や経済面に影響する投票になる。

「過去に罷免された人はおらず、制度が有名無実化」 あらためて確認する「国民審査」の投票方法と、その重要性

 「最近でいうと、今年の6月に夫婦別姓についての大法廷の判断が出された。これは夫婦別姓を認めるかどうか、社会の多様性が進んでいて女性にとっても非常に身近な問題だと思うが、これについて最高裁が判断を出した。最高裁のホームページとかで検索してもらうとわかるが、どの裁判官がどういう判断をして結論に至ったか、こういうことが詳しく記載されている」(同)

 ほかにも、選挙における「一票の格差」などの選挙制度や、表現の自由に関わる判断などから、裁判官それぞれの考え方をうかがい知ることができる。また、そうした考え方がまとめられた判断材料として、投票日前に配られる国民審査の公報がある。

 「これは各裁判官、各判事がどういう経歴の人なのか、どういう考え方を持っているのか、それからこれまで関わった裁判について詳しく記載されている。やはり自分の興味のある裁判、例えば先ほどの夫婦別姓、一票の格差だとか、そういったことについてこの裁判官がどう判断したのか、どういう考え方を持っているのか。これを知ることがベストかなと思う」(同)

「過去に罷免された人はおらず、制度が有名無実化」 あらためて確認する「国民審査」の投票方法と、その重要性

 衆院選の投票はもちろん、大切な有権者の役割である国民審査。投票は辞めさせたい人の上に「×」を書き、辞めさせたい意思がなければ何も記載しないかたちだ。陣内キャップは「投票用紙に間違っても『×』以外をつけないように。この人いいなと思った人に『◯』をつけて、この人はダメだろうということで『×』をつける。これをやるとすべて無効になってしまうので、気をつけて投票をしていただきたい」と注意を促した。

 選挙に対し、国民審査はその存在を忘れてしまいがたちだが、ノンフィクションライターの石戸諭氏は「よく『知られていない』という枕詞から入るが、そんなことはないはず。社会の授業なんかでうっすらとでも聞いたことがある人たちは多いはずだ」と指摘した上で、「なぜこんなに関心がないかということが重要な問題。ポイントはこれで過去に罷免された人がいないことに尽きる。×をつけない限りは信任というシステムでは罷免は起きにくい。結果的に、みんな信任されてきている。制度自体がある意味、有名無実化してしまっているということではないか。この制度があったことによって、なにか劇的に変化が起きたという経験がない限りなかなか盛り上がらない。これは仕方ないこと」との見方を示す。

「過去に罷免された人はおらず、制度が有名無実化」 あらためて確認する「国民審査」の投票方法と、その重要性

 国民審査の判断は、公報などから興味のある事例を見つけることを入り口として勧める石戸氏。また、その重要性と関心を高める方法については、「この人たちが違憲か合憲かという最終的な判断を担う。彼らの判断1つで政治も変わらないといけなくなったり、いろいろな制度ができあがっていったりする。すごく大事な権限を持っている人たちを、国民がジャッジできる4年に1回の機会だ。“ニュースは人間と人間の揉め事に宿る”というのは自分の本(『ニュースの未来』)でも書いたが、揉め事の中のものすごい揉め事が最高裁でジャッジされると思えばいい。人は誰かが揉めていることに興味を持つ。裁判はそれ自体にいろいろな人間ドラマが詰まっているニュースの宝庫。裁判を報じるニュースが、もっととっつきやすいものになれば、興味も広がるのではないか」と述べた。(『ABEMAヒルズ』より)

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