「スウェーデン人の #留学生 です。8月25日にまた日本に引っ越す予定がありました。入国出来ないので人生は止まってしまって、夢もだんだんなくなります。。。」
日本に入国したいのにできない――。つらさを打ち明けたスウェーデン人留学生のつぶやきが、Twitterで話題を集めている。ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、このツイートを投稿したコネーリアさん本人を取材した。
日本政府は今年の1月から、新型コロナウイルスの変異株の広がりを受け、外国人の新規入国を「特段の事情」がある場合を除き、全面的に禁止した。出入国管理庁の統計によると「留学」の在留資格で新規入国した外国人は2021年上半期で7078人。国費留学生など、一部は認められているものの、2019年の上半期の6万1520人と比較すると、大幅に減少していることがわかる。
「本当に日本で日本語を勉強したくて、日本の文化をもっと知りたくて、日本で仕事したい」と語るコネーリアさん。入国できないため、現在はオンラインで日本の大学の授業を受けている。しかし、時差の関係で授業が行われるのは、現地時間の夜中から朝方にかけてだ。日本の文化に直接触れることや、日本人の友人との学生生活を送ることができず、思い描いていた留学とは程遠い現実。数年かけて準備して決まった留学だが、将来日本で働くことも諦めてしまうかもしれないという。
「この学期の最後まで入れなかったら多分この留学は辞めます。そのあと、日本で仕事をしてみるかもしれませんが、それもわからないです。（入国ができなくて）留学をやめたい人、やめた人はいると思います。他の国に行って、日本に行く夢をやめる人はいると思います」
また、入国制限の措置は日本側でも問題になっている。国際的なM＆Aや国際紛争を専門に扱う東京国際法律事務所の山田広毅弁護士も危機感をあらわにする。
「我々は日本人の弁護士と外国人の弁護士が一緒にチームになって、サービスを提供する法律事務所です。そのためには外国人の弁護士をたくさん仲間に入れていくことが必要で、今この国際的な話とはすごく必要性が高い。それだけたくさんお話をいただいている状況で、もっともっと仲間を集めていく必要があります。その中で外国人の弁護士の方が、日本に入国できない状態になっていて、仲間探しの部分で大変困っています」
世界で勝負するため、山田弁護士の法律事務所では、優秀な外国人と共に日本を拠点にチームを組んでいる。しかし、今はそれが困難な状況に。ビジネスをする上でも、日本の“鎖国”状態が足かせとなっているのだ。
「実際、本当に世界のトップレベルの弁護士でも、日本に来て仕事をしたいと思ってくれる人たちがいる。『日本に来たい』と言ってくれているのに、呼び寄せられないのは、国にとっても非常によくないことです。日本に来ようと思ってくれる人たちって、過去に学生時代に日本に留学していたとか、一時期日本に住んだ経験があるなど、コネクションがあった人が多いんです。今、留学生も受け入れないという話になっていて、将来的にも今後『日本に来たい』と思ってくれる優秀な方が減ってしまう、いなくなってしまうのではないかと、すごく心配しています」
入国問題について岸田総理は16日、就任後初めての被災地を訪問した際の地元住民との座談会で「他の国の状況を見ながら丁寧に考える必要がある」とコメント。「インバウンドだけではなく、水産業・農業をはじめ外国の方の労働力に頼っている分野、水際対策に対して『外国の方が入ってきやすい方向に持っていってほしい』といった期待があるのは承知している」とした上で、「国民からするとまだまだ油断してはならないという警戒感もある。このバランスをどうとるか。みなさんと話しながら国の開き方を考えなきゃいけない」と語っている。
この問題にBuzzFeed Japan News副編集長・神庭亮介氏は「G7（フランス、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダで構成）で、こういった対応をとっているのは日本だけだと言われているが、G7のほかの国々と比べて、日本は新型コロナの感染者数を相当低く抑えられている。これまでの水際対策が間違っていたとは思わないけれども、緩和の仕方はしっかり考えるべきだ」と話す。
「親日家で『日本に来たい』と言ってくれている方々をこのままシャットアウトし続けると、中長期的に日本の技術に貢献してくれるはずだった人や、有能な人材が集まらなくなってしまうだろう。ガチガチの“鎖国”状態か、ガバガバのザルのように緩和するか、選択肢がこの2つに限られているわけではない。たとえば、適切に隔離期間を設ける、ワクチン接種や検査結果を確認するなど、ルールを整備することで、鎖国のような対応ではなく、グラデーションをつけて緩和していくこともできる」
「新型コロナに関係なく、本気で日本で学びたい留学生もいれば、実際は留学名目で出稼ぎに来てアルバイトばかりの人もいる。優秀で本当に日本で学びたいと思っている留学生や、ビジネスで貢献してくれる人たちには、ワクチンパスポートを含め、柔軟な対応を考えていくべきだ。全国的に新型コロナの感染者数も下がっていて、グラデーションをつけた緩和を行うには、良いタイミングだと思う」
来日希望者が待ち焦がれている入国制限の解除。具体的なスケジュールは、まだ決まっていない。（『ABEMAヒルズ』より）
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