11月20日に菅原美優vs MIOのタイトルマッチが控えているKrush女子アトム級に、新たな主役候補が登場した。松谷綺は10.31後楽園ホール大会でKrush初参戦。RISEでも期待されてきたが、今回から主戦場を変えての闘いになる。所属はK-1で2階級を制覇した卜部功也のジム・ALONZA ABLAZE。18歳と若いだけに、誰もが将来を嘱望するホープだ。
対戦した森川侑凛はKHAOSのトーナメントで優勝した実績を持つ選手だったが、松谷は力の差を見せつけるような試合ぶり。
1ラウンドからミドル、ローを積極的に蹴り、もともと得意ではなかったというパンチも決まる。2ラウンドは森川が反撃してきたがしっかり押し返し、ボディを効かせるとパンチをまとめてダウンを奪った。最終3ラウンドもミドル、三日月蹴りで動きを止め、ここでもボディへのパンチ連打。大差の判定勝利で戦績を4勝2分とした。
試合は1年以上ぶり。8月にはMIOとエキシビションで当たっているが、久々の実戦だけに不安もあったという。だが始まってみれば杞憂だった。むしろ成長を見せての勝利だ。
「思うような試合ができて嬉しいです。倒せる選手になってベルトを目指したい」
試合後、そう語った松谷は翌日の一夜明け会見にも出席。高校3年生ということで学校帰りに制服姿で登壇した。
「パンチでダウンを取れたのはよかったです。自信になりました。盛り上げる試合がしたかった」
7月から卜部の指導を受けるようになり、得意の蹴りもさらに磨かれた。攻撃する際の位置取りなど細かく教わり、そのことで相手に蹴りを放つ場所が変わった。角度をつけることで、より効果的にヒットするようになったそうだ。
「まだ菅原選手やMIO選手には及ばないと思ってます。でもこれからどんどんレベルアップしていきたい」
目標はもちろんベルト。「すぐにでも狙いたい」と言う。高校生のうちにチャンピオンになりたいと言うから、タイミングとしては次がタイトルマッチでもいいというくらいの感覚だろう。それが実現しなくとも「強い相手にどんどん勝っていければ」と10代でのタイトル奪取を視野に入れているし、それは決して不可能なことではないはずだ。
森川戦で、松谷はそれだけのポテンシャルを見せたと言っていい。パンチと蹴りの打ち分け、相手のダメージの見極め、打っては離れる距離感など、力強さと巧さの両方が感じられる闘いぶりだった。兄の桐も9月大会でKrush初参戦初勝利。兄妹ファイターとしても注目されていきそうだ。
文/橋本宗洋