「自分は何も悪いことしてないし」防犯カメラが多い方が若者は安心? Facebookの“顔認識廃止“から考える“監視社会”
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 先週、「Meta」への社名変更を発表し世界中で話題となった米IT大手Facebook社が、今度はSNS「Facebook」内での「顔認識」機能を廃止、10億人超の顔データを削除することを明らかにした。

【映像】顔認証技術の功罪をEXITと議論

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 これまでFacebookでは写真や動画に写っている人物の顔を自動で認識・識別しタグ付けするサービスを提供。これにより、他のユーザが投稿に自分が写っていることを知ることもできた。しかしMetaは「全ての新しいテクノロジーは利益と懸念の両方の可能性をもたらす。私たちは適切なバランスを見つけたいと考えている」として、プライバシーに配慮する観点から決定したと説明している。

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 情報社会学が専門の学習院大・拓殖大非常勤講師の塚越健司氏は「9月には元従業員が告発をするなど、最近のFacebookはメチャクチャ評判が悪い。社名変更をし、“メタバース”といわれる概念に向かっていこうという中、問題を抱えた技術については一旦保留にしようということだと思う。こうした技術からちょっと距離を取ろうという動きが大手企業で出てきているし、Meta社もそこに乗っていると考えればいいと思う」と話す。

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 ギャルユニット「Black Diamond」リーダーのあおちゃんぺは「私の場合、化粧の関係で写っていない写真にタグ付けされることが多かったし、あまり正確なものではないと思っていた。すっぴんだとスマホの顔認証もダメだし(笑)、まだ技術としては怪しいのではないかと思っている。指紋の方がいい」と指摘。

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 また、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「昔は防犯カメラを設置すること自体、“監視社会になるのではないか”という議論があったが、今は設置するのが当たり前。技術の進化は誰にも止められないし、監視社会化するのを止めるのも難しい気がしている。むしろ顔認識される社会に慣れていくのかなと思う」とコメントした。

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 塚越氏は「変装でも突破できるかなど、いろんな人が試しているように、認証技術に関して現段階では顔認証よりも指紋認証のレベルが高い。実際、アメリカでは無実の人が誤認逮捕されてしまった事件も起きている。そして柴田さんのご指摘は非常に重要な論点だ。一昔前は“監視カメラがあるのは嫌だよね”、というのが世間の常識だった。ところが今、大学で学生に聞いてみると、“監視カメラがある方が変なヤツも現れないし、むしろ自由だ”と多くの方がおっしゃる。

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 少し前に『SNOW』という顔を加工するアプリが流行ったが、あれも顔認識の技術をベースに、エンタメとして発展したものだ。そういう意味では、顔の認識技術が我々にとって非常に大きなメリットを与えていると捉えることはできる。一方で、他のデータと紐付けることで、様々なことができるようになってしまう」と話した。

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 実際、JR東日本のシステムについて顔認識機能のある監視カメラを用いて出所者など検知しようとしていたことが報じられ批判を浴びた。しかしEXIT兼近大樹は「皆そんなに“見られてる”っていう意識があるのだろうか。何も悪いことをしていないとしたら、追跡されていたとしてもなんとも思わない」、りんたろー。は「犯罪が起きやすい電車内に防犯カメラって“まだないんだ”って違和感を覚えることもある」と首をかしげる。

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 元経産官僚の宇佐美典也氏も「顔のデータそのものに価値があるわけではなく、それと他のデータを組み合わせていかに利用するかが問題で、テロ対策や指名手配犯の捜査に使われるということであればいいが、目的が明示されないままデータだけが積み上がっていくと、流出したときの影響が大きい。だからFacebookの顔認識機能自体もあってもなくてもいいが、顔のデータと名前や住所などの属性データが紐付いたリストが流用されたり、悪用されたりする心配が無くなるのはいいと思った」と話す。

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 塚越氏は「数年前に渋谷のハロウィンで自動車をひっくり返した事件が起きたが、あのときも監視カメラの映像を使って犯人を捜し出しのではないかと言われている。その意味では、まさに犯罪抑止につながることは間違いない。“悪いことをしているわけではないし、別にそれくらいだったらいいよ”というのは、特に若い方がおっしゃることだ。

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 しかし電車にも付けよう、次は身の安全のために家の中にも付けておこう…と監視カメラ設置が拡大していった社会というのは、全て機械に管理してもらっていないと行動できないのか、人間が自由に行動するとはどういうことなのかと、まさにSF作品が描く“果たして人間とは何ぞや”という社会でもあると思う。

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 そして、顔認識技術は差別などに繋がる懸念もある。例えばアメリカでオバマ政権時代に出されたレポートでは、システムを作っているエンジニアに白人男性が多かったことで気づかぬうちに偏見が入り、マイノリティとって差別的なものが出来上がってしまっていた、ということが指摘された。人権団体が調べたところ、白人男性のデータに比べて黒人や女性のデータ解析が少なかったため、相対的に誤認識が多かったともいわれている。

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 また、Facebookに関しては、30回分の“いいね"”のデータがあれば、その人の性的指向など、必ずしも他人に言いたくないことまでが分かってしまう。つまり多数にとっては便利でも、そうではない人たちにとっては不利になる可能性を孕んでいるということだ。個人情報の扱いに厳格なEUの場合、顔も含めたデータについて非常に厳しい態度を取っているが、日本はまだちょっと曖昧なところがある。そこはよく考えていかなければならないところだ」とコメントしていた。(『ABEMA Prime』より)
 

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