対戦相手をフックで撃ち抜く衝撃の前のめりダウンと思いきや…試合後に一転、バッティングによるアクシデントでノーコンテストに。偶発的とはいえ、青木真也が「頭だ、頭、バッティングだ!」と思わず声を上げた“よもや”の結末が反響を呼んだ。
11月6日に東京・USEN STUDIO COASTで開催された「VTJ 2021」で岡澤弘太(佐山道場)と原口伸(BRAVE)が対戦。1ラウンド、原口の右フックからのパウンド連打で一度はKO勝ちとされたが、スロー映像による検証で「頭とアゴ」が交錯する場面が映し出されるとゲスト解説を務めた青木真也が「これで敗戦は可愛そう」と岡澤の不運なダウンに同情した。
これがプロ二戦目、全日本も制したレスリング・エリートの原口に対して、コロナ渦での離婚といった不運な人生を一変させるべく総合格闘技に賭けて背水の陣で佐山聡に弟子入り、復帰を果たしたという35歳の岡澤は、柔術の大会でクレベル・コイケを倒したことのある実力者でもある。
試合は序盤、積極的にタックルを狙った岡澤がこれを原口に切られると、相手をグラウンドに引き込もうと駆け引きしていく。その後、ハイキックやローで距離をはかる岡澤と、パンチをまとめながら積極的に前に出る原口が交錯。一瞬アゴが上がった岡澤が次の瞬間、前のめりにダウンを喫すると、うつ伏せの岡澤に原口がダメ押しのパウンドを連打。防戦一方となった岡澤の様子を見たレフェリーが割って入り試合をストップした。
この試合を中継したABEMAでゲスト解説を務めた青木は岡澤のダウンについて「(フィニッシュは)右のフック」としたものの、リプレイが映し出されると「頭だ、頭、バッティングだ!」と訂正。さらに下から潜るように拳を振るった原口の頭部が、岡澤のアゴを下からえぐりながら捉えるシーンが映し出されると「頭突きじゃない。これは可哀そうだ」とつぶやいた。このダウンシーンについては、視聴者からも「今のパンチ?」「バッティングだ」など、裁定に対する疑問の声が相次ぎ、一時騒然となった。
一方、心配なのはダウンした岡澤。頭から前のめりに倒れたためメディカルスタッフが駆け付け、頭部を固定して状況を見守るなど、一時は物々しい状況となったが、幸いにも大事には至らず。敗戦を受け入れられないような憮然とした表情でリングをあとにした。
すると青木は「(バッティングを)貰ったヤツが悪い、運が悪いといえばそれまでで、運も実力なので…」と言葉を選ぶも「でも、ちょっとこれは可愛そうかな」と岡澤に対して同情的だった。
原口勝利とした裁定は大会終了後、公式ページで「偶発的なバッティングにより試合続行不可能」と判断し、試合結果をノーコンテストに訂正。一度は勝ち名乗りを受けマイクを取った原口は、決して故意ではなかったものの、不本意な結果となったプロ2戦目について「まだまだ経験不足でした」と自身のSNSで綴り「周りの人を裏切ったような感覚だ 直ぐに修正しよう」と反省を示すとともに、前向きな姿勢を見せた。