自民・公明両党はきのう、「マイナポイント」を段階ごとに最大2万円分付与することで合意した。新たにマイナンバーカードを取得する人には5000円分、マイナンバーを銀行口座に紐づける、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための手続きをした人には、それぞれ7500円分を付与する。制度の詳細については、今月19日に決定する予定だという。
岸田政権が9日付で設置した「デジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)」のメンバーでもある慶應義塾大学の夏野剛特別招聘教授は「みなさんが勘違いしやすいことだが、すでにマイナンバーは国民全員が持っているが、カードを持っている人はまだ30パーセント台にとどまっているという、この違いを理解しないと、話がこんがらがってしまう」と指摘する。
「まず、“マイナンバーカードを新たに取得で”ということだが、すでにマイナポイントをもらったという人もいるだろうが、いままでに取得した人はどうするのかという話になる。
次に、“マイナンバーを預貯金口座と紐付けで”については、実はだいぶ前から案内が銀行から来ているはずで、すでに手続きを済ませたという人も多いと思う。まだ詳細はわからないが、すでに紐付けている僕はもらえないのかなと思った。そして“マイナンバーカードを健康保険証として利用登録”は、すでにマイナンバーカードを持っている人であればスマホから手続きができるようになっている。ただ、実際に利用できる、要は読み取り機を持っているような病院がまだ数%しかない。だから“利用したら”と言われても“一体どこで利用できるんだ”、という疑問は残る」。
一方、フィギュアスケート元世界女王の安藤美姫は「実はクレジットカードを失くして2日前に利用を停止したばかり。それがマイナンバーカードだったら、個人情報は…?」と不安そうな表情。紗倉まなも「マイナンバーカードが始まった当初、“自宅で保管して”と言われていたから、持ち歩いちゃいけないものだと思っていた。今後はどうなるのかな」。
こうした懸念について夏野氏は「マイナンバーカードにいろんな機能を乗せていった場合、やっぱり失くしたら困るよね、という懸念があることについては政府も苦慮している。ただ、カードを持っていても今は住民票が取得できるくらいだし、マイナポイントについてもSuicaなど他の電子マネーに交換して使うわけだから、何が危ないんだっけ?ということになる。
マイナンバーを銀行口座と紐付けることで“政府に資産を把握されてしまう!”と思う人もいるかもしれないが、マネーロンダリングなど悪いことをしていない限り、気にする必要はない。カルテのデータだって、病院がそれぞれ持っているのであって、マイナンバーカードに入っているわけではない。強いてリスクを言えば、悪い人が政府のシステムをハッキングして、さらにあなたのマイナンバーを持っていたとしたら個人のデータを見られるということにもなるが、有名人のお二方はともかく、一般の方のそういう情報を知りたい人はいるだろうか」と説明。
その上で、「みんなが番号を持っているということは政府のためだけではなく、みんなの行政手続きのデジタル化、簡略化のためにもものすごく大切だし、基本的には便利になるということ。それなのに“なんとなく怖い”というイメージが付いてしまい、結果として日本が最も遅れた国になってしまっていることは残念だ。それから、みんな“カード、カード”と言っているが、カードを持っていなくてもマイナンバーと紐付けるだけで便利になることもたくさんある。カードが大事なのか、それともマイナンバーが大事なのかを、きちんと切り分けて議論をしなければならないと思う」と改めて訴えた。(『ABEMA Prime』より)
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