ダウンを奪われ形勢不利の状況下で、左ヒジを一閃。「速すぎて見えなかった」「すごい返り血」「深い…」など、視聴者が騒然となった一撃逆転でのTKO勝利が反響を呼んでいる。
11月12日にシンガポールで開催された「ONE Championship: NextGen II」。セーマペッチ・フェアテックスとリッテワダ、タイ人同士のバンタム級ムエタイ戦は、2ラウンドに初参戦のリッテワダが左ヒジでセーマペッチの目尻をカットして試合を逆転。ドクターストップでランキング1位を破った戦慄のヒジに、視聴者からは「凄い切れ味」「カット(するの)も技術」といった声が上がった。
レジェンドから気鋭の若手までムエタイの強豪ひしめくONEの中にあって、20代半ばで脂の乗り切った強豪同士の対戦となった。ランキング1位のセーマペッチに対するリッテワダはONE初参戦、ムエタイの世界タイトル王者でアマチュアボクシングでも実績がある。
両者サウスポーの対決は、リーチで勝るリッテワダが前蹴りやジャブ、ローと多彩な攻撃を見せるが、オープンフィンガーグローブ戦に分があるセーマペッチが巧みなコンビネーションで試合の流れを握りはじめる。1ラウンド後半には前蹴りをキャッチし、セーマペッチが左右のフックでフラッシュぎみのダウンをひとつ取ってラウンドを終えた。
2ラウンド、パンチ精度の高いセーマペッチは、再びリッテワダの前蹴りに合わせるようにアゴへ右を当てて再びグラつかせる。遠距離での攻防で流れを掴めないリッテワダは近距離での打ち合いに持ち込むが、ショートパンチの打ち合いを制したのもセーマペッチだった。
“セーマペッチ優勢”の流れが続くなか、ラウンド中盤、たった一撃で形勢が逆転する。流れを変えたいリッテワダが、プレッシャーをかけ左ヒジを振り抜くと、これがセーマペッチの目尻をかすめ、大流血。
ダメージを見てレフェリーが割って入り、ドクターチェックが入る。試合を中継したABEMAの視聴者からはキレ味鋭いヒジの一撃に「速すぎて見えなかった」「すごい返り血」など驚きの反応が聞かれた。その後、セーマペッチが負った傷が深く、試合続行は不可能に。2ラウンド2分10秒、TKOでリッテワダが逆転勝利を収めた。
好勝負の最中カットによる不完全燃焼の結末に「もう少し試合が見たかった…」と言った声も多数上がったが、スロー映像で勝敗を決めた一撃の様子が流れると、カミソリのように目尻を鮮やかに切り裂いたヒジに「すごい縦ヒジ」「凄い切れ味だ」など改めて戦慄が走った一方、「深い…」「カットも技術だからな」「これもムエタイ」などさまざまな反応も寄せられた。
ダウンを奪うなど主導権を握りながらも、ヒジ一発で大逆転を許したセーマペッチは悔しそうな表情を浮かべたが、パックリと深くえぐられた右目尻が衝撃の敗戦を物語っていた。